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ゼロから始める『北大数学』独習法

私自身、北の大地に憧れ、志望校としていた時期のあった北海道大学。
京大と北大の合同実習が毎年開かれており、人里離れた研究施設で見た星空は忘れられない思い出としてあります。

さて、塾の教え子が第一志望とし、無事進学(総合理系)まで見届けた経験をもとに今回は北大数学をゼロから攻略していくとしたらどのように学習していくべきかについて考えていきたいと思います。


北大数学の特徴

数学に限らず、北海道大学は標準的なレベルの良問を出題する傾向にあります。

他の旧帝大に比べると難易度は低めに落ち着くことが多いものの、2022-2023年は問題の水準が上がり、肌感としては京大の問題よりも解きにくいように感じました。

最新の2024年の問題ではそれ以前の水準に戻り、標準的なセットとなっていましたが、いつ難化水準に戻ってもおかしくはない状況かと思われます。

また、難化したセットでも比較的完答しやすい大問は少なくとも1~2題はあり、完答はできなくとも部分点は狙える大問が多い印象です。

目標地点が安定して合格点を超えるレベルであるとすれば、
標準的なレベルの問題を見抜いた上でしっかりと完答できる力
を養っていくことが最優先事項でしょう。
難しい問題を完答するよりも、標準的な問題を落とさない意識の方が大事だと思います。
医学科を志している受験生でも(なおさら)この意識に変わりはありません。

以上を踏まえてこのような標準的な力を身につける学習ルートを提案してみます。まずはIAIIBから固めていきます。

1.基礎理解段階: マセマ『初めから始める数学』 (一旦IIBまで)

大学数学版のマセマの参考書には本当にお世話になりました。
初学者にこれ以上ないほど優しくかつ、本質を逃さない説明のなされた参考書です。一冊あたり1週間かからず終えることができます。

最初の学習段階では、とにかく短期間で基礎事項を網羅的に把握することが重要です。
授業等を聞いていた人はいきなり青チャート等で学習を始められる場合もありますが、初学であれば特にこのあたりから始めることを強く勧めます。
実体験から言えることですが、どんなに高いレベルを目指すにあたっても、基礎から着実に積み上げていくことが重要です。

授業を全く聞いてなかった範囲だけでも
1週間で一冊のペース
を基準に読んでみるといいでしょう。

取り組む際に意識すべきことは一点だけ。
掲載されている練習問題は全て手を動かして解けるようにすることです。
(数学や物理は特に)ただ目を通すだけでは力になりません。確実に全ての問題を何も見ずに解ける段階まで持っていきましょう。

まずは数学IIBまで終えた段階で次の『2.標準パターン理解段階』に進むことを勧めます。

今(8/30時点)確認したところ、Kindle Unlimitedで読み放題でした。

2.標準パターン理解段階: 『黄チャor基礎問+α』 (一旦IIBまで)

ここからは標準パターン演習の段階になってきます。
授業を聞いており、ある程度理解の進んでいる範囲に関してはここから始めてもいいでしょう。

一冊を堅実にこなせる人私のような飽きっぽい人で勉強スタイルが大きく異なることを踏まえ、分岐をつくりました。

基本的には
堅実にこなせる人は黄チャートをやり込む。
飽きっぽい人は一冊あたりの分量が薄めの基礎問→文系の数学(赤い方)で標準レベルの問題を制覇

といった感じがいいでしょう。基礎問の方に同レベルの演習書を一冊追加しているのは、以下のような懸念があるためです。(主に実体験を踏まえて)
・基礎問一冊では網羅性が心配なこと
・飽きっぽい気質のため、復習が疎かになっている範囲が無意識に存在すること

青チャートではなく黄チャートとしている理由としては青チャートにはややレベルの高い問題も含まれており標準パターン演習の際には、それが効率を大きく下げてしまうことが考えられるからです。
無論、最終的にはそういった問題も解けるようになることが望ましいのですが、ゲームで強いボスがなかなか倒せないとつまらなくなってくるような(私のような)人にとってはなかなか苦痛のある旅路になってしまいます。
※逆にそういった状況に燃えるような人は青チャートと相性が良いかもしれません。

IAIIBをここまで終えたら数学III『初めから始める』に取り掛かる

数学IIIはIIBまでの知識を前提とする範囲です。消化不良を起こさないためにも数学IIBまでの標準演習を終えたこの段階から始めるのが吉です。

『3.標準演習段階』以降の数学IIBの演習と並行して数学IIIの学習を進めるのが望ましいですが、時間的にかなり厳しいのが現実かと思います。

そこで、『合格る計算(IAIIB)』を並行して読み進めると良いでしょう。
合格る計算は高校時代東大に余裕合格した友人が好んで使用していた覚えがありますが、効率の良い計算の仕方、正しい考え方が網羅されており復習にもちょうど良い参考書です。

高2の初め等、数学IIIを急ぐ必要もなくIAIIBをがっつり演習する余裕がある場合には理系プラチカ(IAIIB)が進めるのが最もお勧めです。

まとめると
数学III: 初めから始める→「黄チャ」o「r基礎問+数学III重要事項完全習得編」
並行: 「合格る計算(IAIIB)」 余裕があれば「理系プラチカIAIIB」

3.標準演習段階: 『入試の核心(標準編)』

ここまでくればあとは標準レベルの演習を積んでいくのみとなります。
数学IIIまで一冊でまとまっており、かつ問題も厳選されており過去問演習前の最終チェックとして非常におすすめの問題集です。

4.過去問演習

北大数学については赤本の15ヵ年が出版されていますが、良くも悪くも分野別に分けられているため1セットごとの傾向を掴みたい場合にはあまり適しません。
本番レベルの問題を多く解くという意味ではこの右に出るような問題集はありませんので、持っておいて損はないでしょう。

個人的におすすめな勉強法は
青本や無料の過去問データベース等を使用して1年分ごとに解き進め、詳しい解説が欲しいところだけ赤本で使用する
というスタイルです。

北大の問題は難化した場合を考えると、時間に余裕がなくなることも考えられます。より実戦的に問題を解く順番を選んだりする目を養うためにも、一年一年時間を測って演習を進めるのが良いでしょう。

時間的余裕がある場合や、標準レベルの問題演習をより多く行いたい場合には神戸大の15ヵ年もおすすめです。

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