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【大学受験】数学の公式は導出できるようにしておくべきか

受験数学を勉強していると一度は耳にする
「教科書の公式を全て導出したら数学ができるようになる」という話。

今回はこれについて考えていこうと思います。


受験する大学の問題による

先に結論から。
私個人の考えとしては「求値、証明ともに論証が必要な問題を出題する大学」を受験する場合には教科書にある定理、公式の導出を経験しておくことを推奨します。
旧帝大をはじめとするいわゆる難関大を受験する場合にはやっておいて損はないです。

一方、穴埋め形式の問題を出題する大学では、丸暗記の方が効率がいい可能性が高いと思います。

以下、より深く見ていきましょう。

証明を経験しておいた方がいい人

北海道大学公式の採点講評には次のようなことが書かれています。

答案は他者に読ませるものとして作成するという心構えとそのための練習が必要である。正答と値が同じになったとしても、同じ評価になるとは限らない。そこに到達するために必要な計算、論証などを解答用紙に明確に表現してほしい。

北海道大学 令和6年度一般選抜(前期日程) 数学β 採点講評
https://www.hokudai.ac.jp/admission/faculty/general/R6examanswers.html

求値問題であっても論証力は問われているということです。
京大が公式で出している「出題意図等」にも同様の記載が見られました。

受験生はこの論証力を身につけていかなければならないわけですが、これはそう容易いことではありません。

求値問題を演習している際に、記述の不備に常に意識を向けているのは疲れますし、だからと言って採点をその都度お願いしにいくのもなかなか面倒です。

そういった場合に、どのようにして論証力を磨いていけばいいかというと、証明問題を解くことが一番手頃な選択肢だと思うんですよね。
採点をする際に、否が応でも解答の文言や論理をしっかりと追うことになり、論証の仕方を効率的に体得していけます。

証明は「一から積み上げていけばいつか達する」という類のものではなく、どちらかというと「最初にゴールまでの道筋を立てて、それを辿る」という性格の強いものです。一度経験を積んでおかないと筋道を立てるのはほぼ不可能でしょう。
先に述べた通り、この論証力は記述式の求値問題でも必要になってきます。

なぜ教科書の定理・公式か

この道筋の作り方に習熟していく必要があるんですが、これが全く知らないような事柄を証明するのか、ある程度知っているものを証明するのかだと、後者の方がゴールの素性がわかっているという意味で勉強しやすくなります。
使ったことのある公式・定理だからこそ、論証力を磨くのに打ってつけなのです。

さらに、ある公式がどのような場面で使えるのか、について自信を持てるようになることもメリットでしょう。
公式は覚えているが、どの場面で使うものなのかわからないという悩みは証明を追っている過程で払拭されます。

証明を経験する必要がない人

ここまで書いてきたように、私個人としては公式・定理の証明は肯定派なのですが、必ずしも全員に必要かと言われればそんなこともないように思います。

例えば、多くの私大が採用している標準的な穴埋め問題では、論証の正確性ではなく数値計算の正確性、速度が問われる傾向が強いです。
この場合、教科書に掲載されていない公式でも、便利な公式であれば覚えてしまっている方が得点力は高いと言えます。

よって、この場合には証明の理解に時間をかけるだけのメリットがあまりないため、公式を暗記し、過去問で運用する練習をするのが最適解であると考えられます。

まとめ

数学の公式を証明できるようにしておくべきかは志望校によって変わってくるということをお話ししてきました。
まとめると、

・北大以上のレベルの大学を志望するのであれば、公式の証明はやっておいて損はない。(特に東大、京大であれば推奨)
・多くの私大(穴埋め形式)の問題であれば、公式暗記+過去問演習が最適。

となります。

参考図書

数学に苦手意識がある人は教科書の前に以下2冊を挟むといいでしょう。
1週間くらいでさらっと読めるのでおすすめです。


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