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努力量に比して成績が伸びない理由

「一日10時間、あるいはそれ以上机に向かっているのにも関わらず、それに見合うような成績上昇がない」
「自分より勉強時間が少ないはずの友達が自分と同程度かそれ以上の成績」

と言ったことが受験勉強においては起こります。
このような一見不合理(あるいは残酷)に思えるような事象がどのようにして起こるのかについて実体験をもとにしつつ考えていきます。


ただ問題集を回すだけの勉強になっている

理科や社会科目で、全統記述レベルの問題は解けるが、難易度の高い記述問題や資料問題・考察問題でいきなり解けなくなり、解説を読んでも初見でできる気がしない。
という人は大抵、パターン偏重の学習になっていることが伸び悩んでいる原因です。

少し自分の経験を話します。
私は一度現役で不合格を経験しているのですが、この一番の原因が理科(化学・生物)で伸び悩んだことでした。

化学は重要問題集を3週以上したし、生物についても理系標準問題集や基礎問題精講を何周もしている。結果、全統記述や駿ベネ記述ではそれなりの成績(名大B判定程度)は出るようになった。

しかし、一向に京大の過去問や京大模試の問題が解けるようにならない。
解説を読んでもちんぷんかんぷん。こんなに問題集をやっているのに何が足りないのか…

という状況で入試本番を迎えることになり、案の定不合格となってしまったわけです。

さて、いろいろあって浪人期に入ります。
勉強法改革をせねばならぬということで、
問題演習と合わせて解説で飲み込めなかった箇所の教科書の精読・理解を行いました。
教科書を読みながら断片的に散らばっていた知識がつながっていく感覚を覚え、最後まで読み終えた時には京大の過去問であろうが、センター試験(当時)の問題であろうが、何の迷いもなく解けるように。

この経験から学んだことをまとめると
・現役時代には基礎=基礎問題を覚えることと認識していたため失敗した。
・浪人期には教科書等、基礎の理解を徹底したことによって問題の型に囚われず、どんな問題でも解けるようになった。

要するに、
難関大の入試で問われるのは基礎の理解であり、パターンに当てはめて解く機械的な能力ではない
ということです。

具体的な勉強法

もう上で答えは出ているようにも思えますが、もう一度まとめ直しましょう。

このような事態の解決法は
教科書や講義形式で内容を説明している参考書を読み通す
という方法です。

一応言っておきますが、問題集を闇雲にでも学習した経験が無駄になることはありません。むしろ、その状態で流れがまとまった参考書に触れることで断片的に散らかっていた知識が頭の中で整理され、その科目の見通しがよくなるはずです。

日本史なら「実況中継+教科書」
生物なら「教科書+図説」
化学なら「Doシリーズ+教科書」
といった具合です。

生物は他の理科科目に比べ、暗記量が多いためややキツく感じる方も少なくないと思います。
個人的にうまくいった方法としては
「東大25ヵ年」の大問を1日1~2つと決めて時間制限なしに学習し、その内容を教科書・図説で確認する
というやり方があります。
東大の生物では基礎〜標準的なこと、言い換えれば教科書レベルの内容から逸脱することはありません。(時間制限がキツすぎるのが難易度の原因)
生物に関してはさまざまな有名問題集に手をつけた私ですが、学習用問題集としては東大の問題が一番良いと自信を持って言えます。

『センス』が無いという決めつけ

名もない自称進学校から最難関大を目指そうとする人や中学までにそれほど勉強をしてこなかった人にありがちなこととして、
「自分のセンスを疑う」
ということがあるように感じます。

勉強をあまりしてこなかったがために、自分がどれだけできるのか、そもそも勉強とは何かということを認識できていないがために起こる事象だと思うのですが、こういった学生ほど誤った努力主義に陥りがちな印象があります。

「自分は周りよりできないから努力をするのだ」

この考え方は一見潔く美しいようにも見えます。現に、勉強の進め方さえわかっていればこういった人はグングン伸びていく印象です。
一方で、先に述べたような問題演習偏重の学習に陥ってしまう人はそれで成績が伸び悩むと「まだ努力が足りないんだ」と意気込んでさらに沼にハマっていくことが少なくないように思うのです。

ここから思うのは、勉強をする際には一旦センスなどという不確定要素を度外視して冷静に自分の進め方を分析する時間を作るのが大事なのではないかと。
センスがあるかどうかなど、他人にも自分にもそう簡単にわかるものではありません。自分に対する「センスがない」という決めつけに縛られていないか疑うべきなのでは無いかと。

たかが受験勉強…と言ってはいろいろ言われてしまいそうですが、常に自分の立ち位置を認識して基礎から進めていければ成績は伸びるものです。
パターン偏重での学習ではそもそも自分がどの程度の実力なのかを測るものさしがなくなり、問題集を何冊やったとか、何時間勉強したといった本質的でない努力に振り回され、自分の立ち位置がわからなくなってしまうのです。地に足のついていない人に安定は訪れません。

安定して合格を勝ち取りたいのなら地に足のついた学習が必要ですし、受験勉強はその思考法を身につける機会としてぴったりだと思います。

もし高校生・浪人生で「自分にセンスがないから」と思っている方がいれば、とりあえずそんなことは度外視して冷静に勉強の自己分析を大事にしつつ淡々と進めてみて欲しいなと。
(難関大を目指そうと思えている時点で最低限のセンスは保証されていると思いますし)

心はホットに保ちつつ、頭はクールにしておくことが肝要です。

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