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地面師たち

Netflixシリーズ(Netflixが制作している番組)で好きな動画はいくつかあって、ドラマだったら、相撲界を描いた『サンクチュアリ(聖域)』や『忍びの家』。そして今回『地面師たち』が加わった。

つらつらと感想を書いて行く。
ネタバレがあるのでまだ見ていなくて今後見る予定がある人はここで閉じてください。

『地面師たち』というのは実際にあった不動産詐欺事件を下敷きにしたドラマである。積水ハウスが、五反田の広い地所の空き家の売却を持ちかけられ、70億の架空取引に応じ、そのうちの63億円をだまし取られたのだ。

『地面師たち』を見る気になったのは、私が大ファンであるピエール瀧さんが出演しているからなんだけれど、この瀧さん演じる後藤という男、終盤で死んでしまうんだよね。
ドラマ自体は詐欺集団のボスであるハリソン山中(豊川悦司)は逮捕されず行方不明という状況で幕を閉じるので、続きがありそうな雰囲気なんだけれど、シーズン2があっても瀧さん出てないのか、と思うと非常に残念、というか、見ないかも?

役者というひとたちは方々で出演をしているものなので、
私にとってのピエール瀧さんのように、「ファンである」→「出演作を見る」というファンのありようの他に、
「最近見るもの、好きなものにこの人やたらと出て来るな」という役者もいて、見る機会が多いからだんだんに愛着が湧き、ファンになる、という、「出演作を見た」→「ファンになる」というケースもある。

それが、山本耕史さんである。私にとって。

長いキャリアを持つ山本耕史さんであるけれど、
ここ数年のものだけ数えても、

『鎌倉殿の十三人』
『きのう何食べた?』
どちらもなくてはならない役を演じていた。

そして、最近見た日米合作ミュージカル『レント』(シアターオーブ)では英語で主人公の一人マークを演じ切って歌って踊るだけでなく、助走なしで両足で飛び、テーブルに乗るという身体能力まで見せていた。
この舞台のプログラムを見るまで知らなかったのだけれど、彼はミュージカル『レ・ミゼラブル』のガブローシュという子役でキャリアをスタートしていて、ミュージカル俳優なのだ。なんという芸達者。

そしてこの、
『地面師たち』

ここでは詐欺師にだまされる大手デベロッパーの開発事業部部長を演じているのだが、存在感が良い。だまされるべくしてだまされていく、賢いつもりが術中にはまっている、という様を視聴者はつぶさに見ているわけだけれど、びっくりするほど「かわいそう」という気にならない。

たいていだまされる人ってどんなに悪い人でもちょっと気の毒というか、自分に置き換えて考えてしまうところがあるんだけれど、一切、自分に置き換わるところがないんだよなぁ…。

派閥争いのライバルである商業事業部部長のほうがよっぽど山本耕史に同情しているように見える。

そして、彼に同情が集まらないことが、このドラマの肝であると思う。

ドラマ終盤の話をしよう。

港区の静かな寺の続きにある大きな駐車場、ここが地面師詐欺で売買された土地なのだけれど、ここで住職(尼僧)が掃除をしようとしていると、土地を買ったつもりの開発デベロッパーのチームが測量を行っている。

「何をしているんですか?」

と尼僧が尋ねると、測量士たちは
「今日から作業させていただきます、ビラもご近所に配っております、よろしくお願いします」
と挨拶するのだけれど、尼僧は、
「は?」
となる。

それもそのはず、取引をしたのは小池栄子演ずる地面師詐欺集団の一員、麗子なのだ。(ここで鎌倉殿の十三人で尼将軍を演じた小池栄子が尼僧に扮するところもニヤリとするポイントだ。)
本物の尼僧には、土地を売る話など寝耳に水だ。

そこへ責任者である山本耕史がやって来る。

ばれるぞ、ばれるぞ、…視聴者は息を詰めて見ている場面だ。

そこで、押し問答のあげくにやっと山本耕史は自分が売買取引を行った小池栄子と尼僧が別人であるということ、すなわち地面師詐欺にあったのだと悟って「うそだ!!」と半狂乱になるのだけれど、それがほんとに、期待通りなんだよなぁ…。

パンツ履いたままの立ちバック(これは見てみてください)に関しては、お尻は見せたほうがよかったんじゃないの、と思っているけどね。

でもそんな山本耕史も死んでしまう役だったし、ますます、Season2があっても、見ないかもなぁと思う。

トヨエツ演じるハリソン山中という男、すごい気持ち悪かったしな。

という、つらつらとした感想。

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