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オラファー・エリアソン展 相互に繋がり合う瞬間が協和する周期
概要
麻布台ヒルズギャラリー
2023/11/24~2024/3/21
始めに
出来たばかりの麻布台ヒルズにギャラリーがあって、そのこけら落としのオラファー・エリアソン展に行ってきました。
YouTubeに上げていますので、
ぜひ見てください!
体験付きチケット
動画の中で触れている、ハーモノグラフの体験付きチケットですが、平日はまだ空きがあるようですので、ぜひお早めにご検討ください。
ハーモノグラフはオラファー・エリアソンが父と共同で行っていたドローイング・マシーンの研究の源泉のひとつだと思われ、
体験はただ楽しいだけ、作品を自宅に飾れてお得なだけ、ではなく、作品全体、展覧会全体の理解に繋がり、一層深く楽しめると思います。
瞬間の家
心を根こそぎ奪っていく作品、「瞬間の家」は現地でごらんになることをお勧めします。プログラムやWebサイトで公開されている「瞬間の家」の写真は得も言われぬ美しさですが、現実の作品とはまったく別物です。
それはカメラには映らない美、そこにいることでしか触れることのできない神殿なのです。
日本文化に通じる表現と、環境問題
オラファー・エリアソンの、人間が一定のコントロールを加えながら、仕上がりを自然の偶然性に任せる、というやりかたは日本のやきものの文化にも通じるものであり、日本人には非常になじみのある思想です。
私たちは自然の偶然性に何を求めているのでしょうか?
神仏が、あるいは鬼が手伝った仕事といつかめぐり会うこと?そして作品が自分を凌駕すること?
オラファー・エリアソンは気候変動や大気汚染などの環境問題の取り組みの中で、海の波、風、日の光、溶ける氷、といった自然現象をアートの作り手に加えています。
ただ海の波を利用して絵を描くとか、溶ける氷で絵具をにじませるとか、それはもしかしたら誰でもできることかもしれないけれど
そこに美をもたらすために
オラファー・エリアソンは研究を重ね、コントロールと偶然性のバランスを取りながら作品を創っています。
今回の展示により改めてそのことがすっと胸に入り、
また、私たちの地球のことを考えること、それも継続して考え続けていくことが実現可能だということを、少しだけ理解できたように思います。
また、オラファー・エリアソンのファンとして、彼と父との関係をここまで強く感じさせてくれたことに、企画への感謝の気持ちを持ちました。そして彼のバックグラウンドの全てがシンプルに作品に結び付き、現れ、かつ美しいということに感動しました。
麻布台ヒルズギャラリーと森美術館
麻布台ヒルズギャラリーは、ギャラリーと銘打っているとおり小さく、また中地下というわかりにくい場所に抱かれるように隠れていて実にこじんまりとしています。
オラファー・エリアソン展は森美術館による企画ですが、森美の大きな箱では逆に難しい、ひとつのテーマを最深部まで掘り下げた良い企画でした。
今後の展覧会も森美術館が携わるのだとしたら、森美術館は新たにやりがいのある場所を手に入れたことになると思います。
もし他の様々な団体によって企画が立ち上がっていくなら、それはまた興味深いことです。
恒久展示
森JPタワーのロビーに、オラファー・エリアソンの相互に繋がり合う瞬間が協和する周期というハンギングスカルプチャー作品が恒久展示されています。
これはパブリックアートですので無料で楽しむことができます。ロビーには美しい中央広場を眺める大変背の高い窓とソファーがありますので、ゆっくりとした時間を過ごしながらアートを楽しむことができます。
その際に、この作品の持っている強い環境問題とそれが私たちの手によって実現可能だという力強いメッセージを知っておいていただければ、そこで過ごす時間もまた味わい深さを増すことでしょう。
また、そのまま庭を見れば白い糸杉の木のような紡錘形の彫刻が見えますが、これは奈良美智氏の「東京の森の子」というパブリックアートです。
かわいい顔が反対側を向いておりますので、中央広場に出てぜひ見物してみてください。
最後に
乱文になってしまいましたが、まだ会期も1ケ月半ほど残っておりますし、ご興味もって足を運んでいただければ嬉しいです。個々の展示についてはYouTubeをご覧いただければと思います。
ではまた。