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【エッセイ】 ピタッとくる言葉

ピタッとくる言葉、というのがある。

そのことで思い悩んでいたわけでも、困っていたわけでもないのに、
その言葉を聞いたとたん
「それ!それだよ‼︎」
となるような。

たとえば、


語彙力は画素数である。   金田一秀穂

何で見たのかは忘れてしまったが、この言葉に出会った時、まさに膝を打つ思いだった。

画素数が高ければ、画像はより鮮明に見える。
語彙が多ければ、物事がより詳しく伝えられる。

ただ「丸いよ」と伝えるより
「球体に近くてね」とか
「厚みのある円盤状で」などと形容した方がより伝わりやすいというもの。
なかなか相手に伝わらなくて歯痒い思いをすることがあるのは、私に語彙力が足りなかったからか、と妙に納得してしまった。 

金田一先生ご本人は、後にこの言葉では言い足りないというようなことをおっしゃっていたのだが、私に刺さったのはこの言葉だった。


スターとアクターは別物なんです。   戸田奈津子

これは確か新聞に載っていた言葉。

個人的に前々から、木村拓哉さんについての評価やコメントに納得できない何かを感じていた。
何をやってもキムタク、とかキムタク臭とか、何かにつけてくさすようなコメントを目にするたびに、それの何が悪いの?と。

私は特に木村拓哉さんのファンでもなんでもないけれども、ドラマも映画も、観たものはそれぞれ良かった。
かつて名優と言われた石原裕次郎も、高倉健も、田村正和も、何をやっても本人の色が出まくっているではないか。
彼の方々が良くて、キムタクは気に入らないのはなんで?と。

この戸田奈津子さんの言葉を見て、大いに納得したのだった。
役になりきって(憑依して、みたいな言い方もしますね)
自分を消せるのがアクター=役者で、
役から個性が滲み出るのがスター=花形・人気者なのだ。
つまり、キムタクをくさすのはスターへの憧れの裏返し、人気者へのやっかみなのではないか。
なあんだ。みんな気になっているから突っかかるのか。
小学生の男の子が、好きな女の子に意地悪するみたい。
異論はあろうが、私はこれで納得できたのだった。


簡単というのは本人だけが使っていい言葉    髭

これはInstagramで漫画を掲載しているB B軍曹さんの漫画にあった言葉。

髭さんというのは軍曹さんのパートナー。
「晩御飯どうする?」と聞いた時に、「簡単なものでいいよ」とは言わない髭さん。なぜかと問う軍曹さんに
「(仕事などの場面で)言われて自分も嫌だったから」と。

ウチの夫君は、少なくともご飯に関しては
「簡単なものでいいよ」とも
「◯◯なら簡単でしょ?」とも言わない。
それはわたしが口を酸っぱくして料理の手間を伝えてきたからでもあるし、週に1回は必ず晩御飯を作ってくれるから。
実感としてわかってくれているのだと思う。

唐揚げは、揚げることそのものより、生肉を切ったまな板や包丁の処理や、揚げた後の粉や油の後片付けが面倒なことを。

冷やし中華は、具材の準備にいかに手間がかかるのかということを。(なのに結果として一品しかできない理不尽さも!)

仕事で「あなたなら簡単にできるでしょ」と言われた時モヤモヤするのはなんでだろうと思っていたけど、言った本人は若干褒めている感を出すから余計、なんだな。きっと。

作業そのものは容易であっても、それを「簡単」と言って良いのはやる本人だけ!
ほんとそう!

皆さん、本当にいい事言うなぁ。
うーん、こんな言葉じゃ伝わらなそう・・・

・・・あぁ 語彙力・・・。

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