墓じまいの相談で寺を訪ねてからの50代三姉妹でジェットコースターの振り幅…その2
墓じまいの心を決めた私たちは、夏日となった10月のある日、鼻息も荒く3人で寺に乗り込んだ。通された応接で、私はノートとペンを取り出して、本気度を演出。
住職はご不在だったが、いつも話を伺うご母堂に対して、まずは父の三回忌の日程から口火をきり、いよいよ本気で墓じまいを考えていることを伝える。
実家に跡取りがいないこと、今は元気でも私たちにもいつ何があるかわからないこと、これは姉妹の総意であり、今きちんと決めておくことが、双方に一番良いと思うこと。
ご母堂は、よそのお家の例を上げながら、甥御さんがお墓を継いでもいいとか、苗字が違っても問題ないとか、なかなか本題に辿り着かない。まあ、想定内である。
何度も何度も逸れそうな話題を戻しながら、結果、寺の墓所内で墓じまい及び合祀できること、8柱の合祀なら100万円ほど、閉眼供養にいつもの法事時のお布施程度(遺言により一千万円のお布施を納められた方もいるとか言ってた。ホントかいな?)、プラス墓石の撤去の際に石屋さんに支払う20万円で墓じまいできることが確認できた。
考えうる最善の結果だった。
聞けば、最近は墓じまいや改葬の申し出が増えているんだそうな。
寺側にしても、いつか無縁墓になってしまうくらいなら、墓じまいしてもらえれた方が都合が良いのだろう。
キャンセル待ちとまでは言わないが、空けば都度埋まっていくものらしい。
散骨すると言って墓じまいした人の話も聞いた。
散骨できるのはお骨の一部なんだそうな。
残りはどうなるのか?
考えたくないけれど、もしかして産業廃棄物扱いなのだろうか?
兎にも角にも、目指す方向は見えた。
寺を出た私たちの足取りは軽かった。
自然と笑いがこみあげる。
ちょっと肩の荷が降りた気分。
いやいや、待て待て。
まだ叔父叔母への説明と、百万単位での出費が待っている。
が、もうすでに、大きな仕事を成し遂げた気持ち。
(まだ何もできてはいないのに笑)
ちょっと遅くなったがお昼を食べようと歩き出したところに、ステーキ屋さんのランチメニューが!
フラフラと引き寄せられ、3人して見入っていると、中からきれいなお姉さんが、お席ございますよと誘う。
気が大きくなって、いつもはスルーするようなお値段のお店に入ってしまった。
目の前で手際よく焼いてくれるステーキの美味しいこと!
食後に、サービスで出てきた飲み物が、ウインナーコーヒーだったことに感動!
「やはりごきょうだいですか。よく似ていらっしゃると思いました。またおいでください。」と、会計後見送りに出てくれたシェフに言われながら、大満足なランチを終えた。
上野で育った私たちにとって、浅草は懐かしい場所。
浅草寺に参拝の後、うきうきした気分のまま、よし、花やしき行っちゃおうということになったのだった。
半世紀近くぶりの花やしき!
ほんの小さな頃に、今は亡き父と母に連れてきてもらった記憶がある。
下の妹は、
「その時、私もいた?」
「いたよ!」
本人が覚えていないほど昔のことだ。
50代三姉妹でのお化け屋敷に、ジェットコースター!
墓じまい、からの遊園地。
緊張と緩和、振り幅大きすぎ、最終的には浮かれすぎな休日、だったw。