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【エッセイ】 おいしいものが好き だけど
料理が好きなようである。
「ようである」というのは、そうした自覚があまりないからである。
毎日のことだし、本当に面倒くさいと思うこともあるし、外食しちゃおうよという日もある。
息子二人が独り立ちして夫婦二人になった時、一番心配だったのが、料理する気が起きなかったらどうしよう、ということだった。
四人家族で、うち男子が三人。食べさせがいだけはあった。
食べ盛りには、餃子は百個、唐揚げはキロ単位、カレーは大鍋である。
夫婦しておしゃべりなので、空の巣症候群の心配はなかったけれど、料理に対するモチベーションの低下は否めないのではないかと。
が、全くの杞憂であった。
当たり前に作っている。量自体はもちろん減っているが、皿数は増えているくらいだ。
かつては副菜に何を作れば良いのか悩んだものだった。レパートリーは少ないし、かと言ってレシピを見ながら調味料を計るのがめちゃくちゃ面倒くさかったのだ。
それを乗り越えられたのは、ちょっとの思いつきと、お気に入りのレシピアプリを見つけたことだった。グッジョブ!過去の私。
レシピアプリ(サイト)もさまざまで、一般の人の投稿が見られるもの、動画で手順がみられるもの、調味料メーカーが自社商品を使って作るものなど。
個人的には、
1 プロが作ったレシピを
2 きれいな写真で
3 わかりやすく 見たい。探したい。
動画は見てるとイライラしてくる(笑)ので却下。同じ理由で、手順を確認したいだけなのに、いちいち動画を挟んでくるのも却下。
その点、今愛用しているナディアというレシピサイトは写真はきれいだし、動画は見たい人だけ見られるようになっている上、サブスク登録すればレシピを組み合わせた献立も記録できて使いやすい。
私の野菜副菜が充実したのは、大袈裟ではなくナディアのおかげなのである。
とはいえ、レシピをありがたく作る過程で、甘すぎじゃない?と砂糖を減らし、多すぎでしょとしょうゆを減らす、我ながら勝手なやつである。
思いつきの方は、百円ショップでかわいい計量スプーンを見つけたことがきっかけ。買っちゃおうかなぁ、でも持ってるしなぁ。あれ?もしかして計量スプーンってたくさん持ってた方が良いのでは?
ということで、計量スプーンで計る可能性のある、小麦粉、片栗粉、砂糖、塩、鶏ガラスープの素、コンソメ、昆布茶など、可能な限りほとんど全てに計量スプーンを入れたのだった。
そうしたら、あら不思議!計ることが億劫ではなくなったのだ。
カレー粉とベーキングパウダーは、缶が小さすぎて入らなかった。無念である。
ちなみに醤油などを計るための液体用の遊軍は、二組持っている。
子供が生まれる前からずっと作り続けているメニューも、少しずつ進化を続けている。
ミートソースは、ひき肉を焼き色がつくくらい焼くようになった。旨みが強くなるとテレビで見たからだ。赤ワインを電子レンジで半量まで煮詰めたものと、味噌と中濃ソースで作るなんちゃってデミグラスソースを加える。夫君の大好物である。
餃子には以前は蒸し鶏を作った時にできるスープを入れていたが、焼くまでに皮が湿ってしまうのでやめ、今は鶏油を入れることにしている。鶏皮をジリジリ焼いて出てくる脂だが、普段から鶏のソテーなどを作った時に出た脂を、餃子のために冷凍してとっておくようにしたら楽になった。
あんのキャベツと白菜は茹でるより生よりレンジ加熱が甘味がでるようだ。豚ひき肉に先に調味料を馴染ませるのもコツである。
バターチキンカレーは牛乳とヨーグルトをトマト缶と共に煮詰めて作る、グルテンフリーかつ生クリーム不使用のオリジナル。チキンは先にソテーして取り出しておき、煮込まず最後に入れるとぷりぷりして美味しい。
チキンから出た脂で玉ねぎを飴色になるまで炒めるのもお約束。
赤缶のカレー粉を使い、ガラムマサラやクミンなどをたす。市販のルーはもう何年も買っていない。
こうしてみると、我ながら意外にガチな感じがする。
テレビやネットから仕入れた知識は試してみて、良ければレシピを更新するので、A4コピー紙に書いたメモは赤ペンだらけである。息子たちにはPDFにしておいてと言われているが、ほとんど迷路状態なので、データ化する意味があるのかどうか…
料理、好きなのだろうか。
美味しいものも、食べることも好きなのだから、料理もイヤではないのだろうな。
けれども料理を仕事にしようと思ったことは、半世紀以上生きてきて、ただの一度もないのだ。好きと言い切れない何かがある。
ん?
て、ことは、なんだ、ただの食いしん坊じゃん。