エヌエヌ

ノベルゲームコレクションにてフリーゲームを公開しています。 https://novelgame.jp/users/profile/17240  本noteでは、各作品の攻略を紹介しています。

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最近の記事

部活の記憶(パラドクス自己解説・その9)

『パラドクス研究部の解けない謎のナゾとき』は、そのタイトル通り、部活を舞台にしている。 僕の人生において、部活という存在・概念は実に大きいものである。 そんな記憶を語りたい。 中学生のとき、文系の小さな部活に入った。 三年生の先輩はおらず、二年生の先輩が二人、僕ら一年生は六人ほどいたが幽霊部員もいて、最も真面目に出席していたのが僕だった。 ひと部屋の部室が与えられ、放課後だけでなく、昼休みなどにもよく行っていた。 部室には先輩二人と僕だけ、というシチュエーションもよくあった

    • 配役を決める、という楽しさと怖さ(ミス・キャスト自己解説)

      ノベルゲーム『ミス・キャスト・レッド・フード』では「配役を決める」ということの楽しさと怖さを描いたが、この作品が生まれた背景を語りたい。 そもそもの着想の発端は、歌舞伎である。 コロナ禍で外出が制限されていた頃、ニコニコで「超歌舞伎」が配信された。 中村獅童と初音ミクとのコラボ作品であり、歌舞伎を知らない人間にも非常に分かりやすいものだった。 ここで歌舞伎の面白さを知り、その後、歌舞伎の解説の本などを読んだりした。 その中で、同じ演目を代々の歌舞伎役者が演じるということによ

      • 人類の最初で最後のパラドクス(パラドクス自己解説・その8)

        創作作品は「現実から離れた遊戯」「作者が読者に見せる手品」「作者が創る箱庭世界」であるべき、というのが僕の基本的なスタンスである。 よって、現実的な要素、特に宗教的な要素や政治的な要素、経済的・社会的な要素が作品に入り込むことは、個人的には好まない。極力、そうした要素は排したい。 しかし、一方で作品は、現実とは無関係ではいられない。 自己解説・その5でも記載したが、この作品を作っていた2022年にはロシアによるウクライナ侵攻が始まった。 このため、当初は主人公をマッドサ

        • 攻略「ミス・キャスト・レッド・フード」

          ここではノベルゲーム「ミス・キャスト・レッド・フード」の攻略を解説しています。 ゲームは以下URLからプレイできます。 1.通常エンド(END1~6)①1つ目の分岐 ゲーム開始時のメニュー画面がこれです。 最初は「開幕」「続きから」のみ選択できます(3つ目と4つ目のボタンは「未解放」状態) 「開幕」からプレイ開始、名前入力の画面になります。 名前は後で大事な意味を持ちますので、ニックネームでも何でもいいので「あなた」自身の名前を入れることをお勧めします。 最初に出て

          その理由は、ただ「好きだから」

          ミステリの「謎」には、多くの種類がある。 最も一般的なものは「誰が犯人か?」という「Who」に関する謎である。 また、犯人は分かっているものの、どのように犯行に及んだかが焦点となる「How」に関するミステリもある。 しかし最も興味深いのは、なぜ犯行に及んだのか、という「Why」に関するものだ。 恨み、復讐、愉快犯・・・。 こうした動機に関する人間の心理を考える上で、神崎ユウさんの『四季-移ろいゆく季節の中の変わらぬ狂愛-』は、興味深い事例を教えてくれる。 この物語の主

          その理由は、ただ「好きだから」

          『夏休みは時計仕掛け』感想

          5月19日(日)に開催された文学フリマ東京38にて神崎ユウさんの『夏休みは時計仕掛け』を購入。 『蝶塚』に続いて、小説第二作目である。 『蝶塚』はこちらのページに感想を書いた通り、奇妙な病をテーマにしたものだったが、今回は「視える子」である主人公の「過去の回想」という体裁の物語である。 よって、『蝶塚』とはかなり異なり、ファンタジー要素が強く、また、主人公はとりあえず無事で過去を語れているのだという前提で安心して読める作品である。 -----<以下、ネタバレ>-----

          『夏休みは時計仕掛け』感想

          a study in "Idiot Savant"

          注意 ・この文章は、ユウさん(Ⅹ(旧ツイッター)@kurousa_box)のノベルゲーム「Idiot Savant」について、僕が感じた魅力を記したものです。  あくまで僕という一人のプレイヤーとしての解釈を記したものであり、作者のユウさんの意図とは異なる可能性があります。  また、作品の内容に大いに踏み込んでいますので、当然ネタバレがあり、全エンドクリアを前提にした内容です。 ・「Idiot Savant」の内容に応じて、精神疾患などの話題にも触れますが、作品同様、現代フ

          a study in "Idiot Savant"

          ティラノゲームフェス2023 フィナーレによせて

          ティラノゲームフェス2023が先日フィナーレを迎えました。 作者の立場としては『大正占術奇譚』で参加し、多くの方にプレイしていただけ、コメント・ファンアートもいただいて嬉しい限りです。 ただ、リアルの仕事の方が大変なことになっており、『大正占術奇譚』は完成させられたものの、時間がとれず、プレイヤーとしてのフェス参加あまりできなくてプレイできた作品数が非常に少ないのが残念です。 しかし、その中でも新たな出会いなどがあり、大変ありがたいです。 このような貴重な機会を設けてい

          ティラノゲームフェス2023 フィナーレによせて

          大正占術奇譚 番外編 ~証の占ひ クガタチ~

          はじめに 本作品は、フリーゲームの実況を中心に活動されている狼系の個人Vtuberの天凱彼岸花様(X(旧ツイッター)@tengaihiganbana)をモチーフにした、FAおよびショートストーリー作品です。 本作を創作することについては、事前にご本人の了解を得ています。 ただし、内容の事前チェックは無しですので、ご本人も知らない内容です。 大正占術奇譚 番外編 ~証の占ひ クガタチ~ 第一の証言 ~喜一 深夜の訴え~ あなたは「人狼」というものをご存じでしょうか?

          大正占術奇譚 番外編 ~証の占ひ クガタチ~

          『蝶塚』感想

          昨年(2023年)11月11日に開催された文フリ東京37で、神崎ユウさんの『蝶塚』を購入。 もともとkindleで買っていたものの、なかなか読めていなかったのだが、ついに読了したので感想を記す。 僕はやはり紙の方が好きなので、紙の本で読了した。 『蝶塚』は300ページ超の大ボリュームで、このずっしりとした重さを手に取り、ページをめくること自体が一つの楽しみであると思う。 そしてカバーを外すという行為も紙の本ならではだ(なお、本編を読む前に慌ててカバーを外してはならない。ま

          『蝶塚』感想

          攻略「大正占術奇譚」

          ここではノベルゲーム「大正占術奇譚」の攻略を解説しています。 ゲームは以下URLからプレイできます。 ①通常エンド(8つ) ゲーム開始時のメニュー画面。 通常エンドは8種類あり、どれか一つでもクリアすれば下3つのボタンが解放されます。 ゲームそのものは選択肢の「信じる」か「信じない」かを選ぶだけです。 選択は3回出てくるので、「選択肢2つ×選択肢2つ×選択肢2つ」で計8エンドです。 一度クリアすれば章選択画面から飛べるようになるので、選択肢直前にセーブする必要は

          攻略「大正占術奇譚」

          ティラノゲームフェス2022 フィナーレによせて

          先日、ティラノゲームフェス2022がフィナーレを迎え、入賞作品の発表がありました。 『パラドクス研究部の解けない謎のナゾとき』で参加しましたが、プレイしていただいた皆様、コメントやファンアートを送っていただいた方々、応援していただいた方々に改めてお礼を申し上げます。 また、プレイヤーの立場として他の方々の作品をプレイしましたが(プレイできた作品数は少ないですが)、新たな気づきや発見、新たな世界との出会いなどがあり、大変有意義で刺激的なものでした。 こうした素晴らしいフェ

          ティラノゲームフェス2022 フィナーレによせて

          高次元で会えたらいいな(パラドクス自己解説・その7)

          科学や数学の世界には、実に魅力的な概念が数多くある。 が、文系人間にとっては、それらを正確に理解することおろか、ざっくりしたイメージを掴むことすらなかなか難しい。 新潮文庫のScience&History Collection、ハヤカワ文庫の数理を愉しむシリーズ、講談社ブルーバックス、科学雑誌ニュートン、日経サイエンスなどなど、そうした概念を比較的分かりやすく解説したものがあるが、それでも難しい。 難解な概念についてのイメージを少しでも得て、創作に活かすことができた良い

          高次元で会えたらいいな(パラドクス自己解説・その7)

          本、本、とにかく本が好き!(パラドクス自己解説・その6)

          ゲーム製作にあたっては、数々の文学作品から得たビジョンやイメージが大きく影響している。 今回はそうしたイメージの元となった文学作品を紹介したい。 『パラドクス研究部の解けない謎のナゾとき』の物語は、春から始まる。 春は温かく希望にあふれる素晴らしい季節であるが、僕の頭の中には、これを逆転的にとらえたエリオットの詩があった。 「記憶と欲望を混ぜ合わせ」というフレーズも大好きなものであり、第六パラドクスの冒頭、部室でレミがユウに言う言葉はこれを意識している。 最初の小噺は

          本、本、とにかく本が好き!(パラドクス自己解説・その6)

          当初構想『パラドクス研究所の迷宮』(パラドクス自己解説・その5)

          自己解説・その4までは重く堅めの話が続いたので、今回は少し話題を変えて、パラドクスのゲームがどのようにしてできたか、経緯を記したい。 1.パラドクス研究所の迷宮 僕の好きなものを色々詰め込んだゲームにしたい、という想いがあり、これらの要素を「パラドクス」という切り口で横軸を通して描く、というコンセプトはわりとすんなり決まった。 が、どのような舞台で、どういったキャラを出すかということに悩んだ。 パラドクスの元ネタは、数理系のものが多いことから、謎の研究所を舞台にすると

          当初構想『パラドクス研究所の迷宮』(パラドクス自己解説・その5)

          少なくとも「俺」だけはいる。空っぽで無意味な俺だけれど。(パラドクス自己解説・その4)

          ・この記事は、ノベルゲーム「パラドクス研究部の解けない謎のナゾとき」の元ネタとなるパラドクス(=解けない謎)を解説するものです。  ゲーム部分(=解ける謎)の攻略については、別のページをご覧ください。 ・この記事ではパラドクスの面白さを説明することを重視していますので、学問的な正確性には欠ける可能性があります。 ・以下「だ・である調」で書かせていただきます。 ・バックナンバーはそれぞれのページをご覧ください。  自己解説その1「絶対に0点しか取れないテスト」  自

          少なくとも「俺」だけはいる。空っぽで無意味な俺だけれど。(パラドクス自己解説・その4)