【海外フェス】オンラインライブで目指すべきベクトル【業界ニュース】
昼でも夜でも、おはようございます。
エンタメ業界ではたらくサラリーマンです。
今日は、オンラインライブで目指すべきベクトルというテーマで書いていきたいと思います。
その前に少しだけ、いきなり本編と内容が逸れますが、2つの大きな夏フェスが中止になったことについて、軽く触れます。
ROCK IN JAPAN FES 2021
京都大作戦2021
Twitterでも、この二つのフェスの中止については触れました。
業界の人なら共感すると思いますが、めちゃくちゃ悔しいですよね。
色んなところで書かれているように怒りや苛立ちのような感情が沸きます。
その一方で、人の命・健康を脅かすリスクがあることは当然承知しているわけで、要請されれば従わざるを得ないのが、主催の立場の弱いところです。
国や政府の方針は、この状況でもエンタメを実施して、業界に関わる人々の生活を守るという方向だったはずです。
その為に、業界ごとにガイドラインを作ってきました。
業界は、少しづつ実施する中で、ガイドラインをブラッシュアップしてきました。
感染予防の対策は万全に行ない、感染の拡大を抑制しながら、実際にクラスターなどを出さずに約1年間、公演の実施を続けてきた実績があります。
さらに、政府はガイドラインを遵守した上で、補助金を出すなどして活動を促してきました。
だから各企業は、業界で働く人の雇用を守るためにも、何よりエンタメを心待ちにしているお客さんの為にも、利益が出なくても、とにかく実施しようというスタンスでここまで来ました。
来られるお客さんに対しても、色んな不自由やご不便をおかけしながらも、それでも協力してくださるその気持ちに支えられて、必死に準備をしてきています。
かといって中止の要請自体を責めることも出来ない、地元の気持ちを考えれば致し方ない、やり場のない感情だけが残ってしまいます。
せめてもっと早く、準備の前から声を上げてくれていればよかったのか、それとも全自治体の医師会の許可が無ければ開催できないルールにすればよかったのか、正解は分かりません。
しかし、これが現実です。
改めてエンタメ業界の立場は弱いことを痛感しました。
フェス中止について思うことはまだまだありますが、長くなるので今回はここまでにしておきます。
しかし、指をくわえて見ているだけにならないようにしたいです。
企業活動のリスクは、感染症だけではありません。
他のどんな要因があっても企業活動を止めなくて済むように、ライブが出来ない=収入がゼロ、とならないような事業環境を作っていかなくてはならないという気持ちを強くしました。
それが、このnoteを書き始めたときの気持ちでもありますので、いつでも忘れないようにしたいと思います。
今回のテーマも、そうしたことを考えるきっかけになってもらえると嬉しいです。
さて、日本では中止になった夏フェスですが、その一方で、海外の音楽フェスはオンラインライブとして実施します。
TOMORROWLAND AROUND THE WORLD
SPLENDOUR XR
オンラインライブの可能性について、noteの記事でもずっと書いてきましたが、改めてオンラインライブのメリットとデメリットを確認しながら、最後は私が考えるオンラインライブで目指すべきことについて書きます。
特にこんな方に読んでもらえればきっと参考になるはずです。
・オンラインライブには可能性が無いと思っている人
・オンラインライブのプラットフォームを運営している人
・リアルライブに限界を感じている人
もし「なるほど!」とか「参考になったよ!」と思って頂けたら、フォローやスキしてもらえると嬉しいです!
それでは本編いきましょう!
オンラインライブのメリット
オンラインライブのメリット
現場に行く必要がない
ライトなファンにはちょうどいい
売り切れることがない
現場に行く必要がない
オンラインライブのメリットとデメリットを順番に見ていきます。
何と言っても一番のメリットは、現場に行く必要がないことです。
遠方からでも観らえる、というのはもちろん「夏の野外は暑くて行きたくない」という方も多いでしょうし、何より病気や怪我などが理由で家から出られない人でも観られます。
さらに何と言っても、海外からでも観られるのは、最大のメリットです。
簡単には海外には行けませんからね。
もちろん日本に来られない海外の人が日本の公演を観ることも出来るわけです。
ライトなファンにはちょうどいい
オンラインライブは、割と安いことが多いんですよね。
高いチケットを買って、時間を使って、わざわざ会場まで行って鑑賞するよりは、ずっとハードルが低いです。
「一回観たかったんだよね」くらいの軽い気持ちで観られるのは魅力の一つではないでしょうか。
売り切れることがない
欲しかったアーティストのコンサートのチケットが売り切れてて買えなかった、という経験はありますよね?
オンラインライブでは理論的には売り切れることはありません。
実務的には、サーバーの都合やプラットフォームの処理等の都合で、上限数の設定がかかることもありますが、費用がかかっても良ければこれはいくらでも増やすことが出来ます。
売り切れが無いから、いつでも買えるので安心ですよね。
オンラインライブのデメリット
オンラインライブのデメリット
視覚と聴覚でしか楽しめない
買い方がわかりにくい
プレミア感がない
視覚と聴覚でしか楽しめない
デメリットの方も見ていきましょう。
視覚と聴覚でしか楽しめない、つまり体験価値が低い、ってことです。
やっぱりライブに勝るものはありません。
音だけでなく、音圧も大切ですし、お目当ての人だけをずっと追っていきたい、カメラが映して人だけじゃなくて、舞台の端で何が起きているのかも観ていたいと思うものです。
さらに、ライブハウスの独特の匂いとかも実はテンションが上がることだったりしますし、友達との雑談も盛り上がりますよね。
それがオンラインだとどうしても薄れてしまいます。
買い方がわかりにくい
リアルのコンサートもわかりにくいですが(笑)
オンラインライブって本当にわかりにくくないですか?
何故かというと、配信事業者が乱立したからです。
映像を撮って、リアルタイムで配信する技術を持っているところは山ほどあるのです。
リアルの場合は、座席指定のことも多いので、ここには特殊なシステムとノウハウが必要なのですが、ライブ配信にはそれが不要なのです。
そのため、どこで情報が出ているのかも分からなければ、買い方もコンテンツによって千差万別、会員登録もそれぞれに行なって…と、本当に面倒なのです。
スマホアプリ一発で出来るだろう、というのも技術的には可能なのですが、プラットフォーマーに支払う手数料が、業界の標準と比べて高すぎるので出来ないのが現状です。
結局、購入をPCで行なう必要があることも、要因の一つかもしれませんね。
プレミア感がない
メリットとデメリットは表裏一体だったりします。
売り切れが無い、というのはプレミア感がないということです。
完売しないので、早めに買っておくというインセンティブがないのです。
先行予約受付なんて必要ないんですよね。
当日、開演時間までに買えば間に合うので。
簡単に言うと有難みもないですね。
オンラインライブで目指すべきこと
海外の視聴者を取り込む
現場では得られない価値を提供する
スポンサーの獲得
海外の視聴者を取り込む
さて、ここまでメリットとデメリットを見てきました。
結局オンラインライブについてどう考えればいいの?
ということに対して私の考えもを紹介させてください。
やはり、何と言ってもオンラインライブの最大のメリットは、売上が青天井になる可能性があることです。
BTSはリアルタイム・オンライン・コンサート「BANG BANG CON The Live」が、最も多くの視聴者が観たオンライン・コンサートとしてギネス世界記録を達成したこともあります。
強力なファンベースを持つアーティストにとっては、オンラインライブは強力な武器です。
冒頭に紹介した2つのフェス「TOMORROWLAND」「SPLENDOUR XR」はベクトルとしては同じ発想だと思います。
つまり、世界中を対象にフェスの認知度を高めることは、これからの時代に必須だと考えている、ということです。
アメリカの「Coachella」は、無料ではありますが毎年YouTubeで配信をやってきましたね。
Perfume - 「だいじょばない」 Live at Coachella 2019
そして、日本からでも今年海外に向けてオンラインライブを有料販売する動きが出てきました。
ひきこもりたちでもフェスがしたい!~世界征服Ⅱ@東京ドーム~ONLINE
歌い手アーティストという、自身にしっかりファンがついていて、独自のコンテンツを持ってやれるアーティストの強みがここでも発揮されますね。
この公演は、前に記事でも紹介しましたが世界最大のコンサートプロモーターLive Nationが買収したveepsでチケット販売を行ないます。
さらには、中国最大のSNSプラットフォームweiboでも配信するようです。
今すぐに商業的にうまく行くかどうかは別として、狙うべき市場はまさにココです。
オンラインライブの最大のメリットは、売上を青天井に伸ばせることですから、最初から海外で販売することを意識した方がいいです。
そうでないと、オンラインライブのメリットを最大限生かすことが出来ないからです。
国内需要だけなら、ほとんどのアーティストがリアルの動員数を超えることすら難しいでしょう。
兼ねてから、海外でのプロモーションを強化しよう、海外に出ていこうと言っているのは、オンラインライブでのメリット享受するためでもあるのです。
現場では得られない価値を提供する
ゆくゆくは、VRなどで超リアルな体験が出来るようにはなると思いますが、今すぐで出来ることでいいので、現場では得られない価値を出すことです。
一番シンプルなのは、バックステージの様子を見せるなどでしょうか。
リハーサルの映像や、終演後の様子、終わってすぐにファンとオンライン打ち上げ、というのも面白いかもしれませんね。
ここは、工夫する余地がいくらでもあると思います。
スポンサーの獲得
「Coachella」を例に出したように、無料配信の場合はスポンサーの協力が必要です。
有料の場合であっても、すぐに収益化できるアーティストは一握りでしょう。
既に、企業スポンサーなどがついているアーティストは、海外向けの配信について、スポンサーメリットを出せるメニュー開発が必要です。
ステージ後ろのバックドロップやタイトルにスポンサーロゴを入れるというシンプルなものから、配信映像から商品リンクに飛ぶとか、ステドリがスポンサー商品とか、ここもやり方は工夫次第です。
企業にとっても、海外市場を狙う動きはこれから加速するわけで、オールジャパンで世界に打って出る動きを今から始めておくことが大切です。
まとめ
ここまで見てきて、以前の記事を読んでくださった方は気づいた方もおられると思います。これから音楽業界で働く人が身に付けるべきスキル5選が必要ってことです。
マーケティング
外国語
デジタルの知識
法律
会計
この5つです。
詳しくは過去の記事も読んでください。
これらの知識に少しでも触れておけば、全世界オンラインライブに直接役に立ちます。
一人の中にこれらの知識があれば、その組み合わせで新しいアイディアが生まれてきます。
音楽業界の仕事は、刺激的で非常に面白いので、全く別の業界の知識を吸収することを敬遠する人が多いです。
もちろん、そういうことをしたくないからこそ、音楽業界を選んだはずなので、致し方ないんですが(笑)
しかし、同じ世の中に生きている以上、否が応でも世界の流れや社会の動きの影響を受けることになります。
全然違う知識に触れることも大切ですし、海外のフェスや音楽業界の動きも積極的に勉強していくことが必要ですね。
今回、オンラインライブのこれからをテーマに書いてみました。
単に配信をすることだけを考えれば、すぐに成功させるのは簡単ではないと思います。
しかし、世界を見ても昨年から続けて、全世界オンラインライブを実施しているフェスがあるということは、成功する可能性があると思っているか、もしくは既に成功しているか、ではないかと思います。
ですから、短絡的に儲からないと判断するのではなく、どうすれば成功させられるのか?どういうやり方をしているのか?をよく見て勉強していくことが大切です。
そのためには、うまく行ったらやろう、という気持ちではなく、何とかして儲かるようにしよう、とかこれが出来たらすごい、面白い、という気持ちでトライアルしていけるようになればいいなと思います。
少しでも参考になったらフォローして頂けると嬉しいです。
Twitterもやってます。記事のダイジェストや、気になるニュースを紹介しています。
最近は、Twitterでもこのnoteを取り上げて頂けることが増えてきました。
やっぱり音楽業界あるあるなところも共感して頂けていると思いますし、共通の課題を抱えている人も多いんだなぁと実感しています。
ビジネス的な視点を持って言語化していけば、共感も得られるように思いますので、これからも考えたことをこの場で発表していきたいと思います。
そして、読んで頂いている音楽業界の方の情報感度がどんどん上がっていけばいいなと思います。
きっと至る所に新しいビジネスのヒントがたくさん転がっているはずですし、出来れば意見交換できる場も出来て行けばいいなと思います。
これからも更新は続けていきますので、是非色んな方に広めてもらえると嬉しいです。
次回の記事も楽しんで学んで頂けるように頑張りますので、宜しくお願い致します!
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