西村経産大臣発言を考える。

下部に添付した西村経産大臣のツイートが少し話題になっている。

なぜLNGを減らして原子力を稼働させると言う発想になったのか。しかも貿易収支の赤字と言う文脈上にあると言うのも、なんだか良く分からない。

LNGと原子力は、一方を減らして、一方を増やすトレードオフの関係にあると言うよりは、「安定供給」という至上命題の為に、どういうエネルギーミックスで電源供給をしていくかを戦略的に考えることが重要だと思う。

LNGの受け入れインフラが整っている日本国にとっては、現時点ではLNGの方が安全性のリスクが低いうえに、調達先が近隣国ではオーストラリアやマレーシア、中東はカタール、何より米国産のLNGも選択肢に入って来るとなると、圧倒的に、地政学的なリスクを分散できる。

そもそも、一般的に20年といった長期契約のLNGを急に辞める前提が唐突なのと、1000億円程度の貿易赤字が減らせて「お金が浮く」というのも、国家予算のオーダーから見ると、あまり嬉しくない。

戯画的だが、あたかも所帯やつれした昭和の主婦が家計簿をつけながら「今月も赤字だわ。。」と溜息をついているような貧乏くさささえ漂う。

日本とLNGの契約を結んでいる国々やスポット取引をしている関係者からしても、いきなり日本の経産大臣が、「LNGをカットしたら、、、」などと、良く分からない試算をツイートしたら、国際関係上も失礼な気すらする。

米国の日本語の堪能な駐日大使が三井物産の天然ガス事業を絶賛するツイートを日英の両言語で書き込んでいたのが先週である。

繰り返すが重要なのは、エネルギー源や、エネルギーの調達先の多様化であり、原子力がこけても、他でカバーできると言う強靭な補完性である。

選挙、G7と慌ただしい日々が続いたから、色々訴えたいところがあったのかもしれない。

以上。

西村経産大臣の2023年4月22日付のツイート。

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