カムバまでに改めて整理したい ONF 5th mini AL『SPIN OFF』Featuring J-US(スンジュン)君。
自分のなかでは、オネノプの世界観がどんどん研ぎ澄まされていった『Why』(アルバム 『GO LIVE』)が最高作で、そこで止まっている。
5枚目のミニアルバムは、それまでのオネノプとは違う世界(といいつつ繋がっている)だったので、正直なところ驚きつつも…
(『Road to KINGDOM』でようやく世に少し知れ渡った)メンバーのキャラクターをより強く押し出せるようになってきていたし、
『It`s Raining』のカバーでみせたように、音楽にのってただ純粋に歌って踊ることで魅了することができる“ONFのパフォーマンス力”が、どんどん向上してきていた状況だったので、『스쿰빗스위밍 (Sukhumvit Swimming)』がタイトル曲というのは最高に良かったわけです。
バラバラのキャラの6人が、フィーリングで音楽にのっている楽しさや、表情ひとつで楽しんで魅せる場面も作っていけるような楽曲は、これまでになかったモノだったから。MonoTree(황현 ファンヒョン さん)との蜜月度はどんどん深まっているわけだから、彼ららしさを引き出しやすくなっているでしょうし、ミュージシャンシップの強いミンギュン君(&ジェヨン君)の制作面への参加度が上がってきていることで、6人のカラーはどんどん色濃く出やすくなっているのでは、とも思えるし。
で、結局アルバム全体を通して聴くと、やっぱりONFらしい仕上がりで(そりゃ、そう。デビューから一貫して同じPDチームですから)、リリースから半年経った現時点でも、わたくしは通勤時には毎日アルバムを通して聴いてしまいます。
ONFは、サビ(FOOK)を1人が歌い通すことはほとんどないし、同じパートを同じ人がずっと歌い通すことも、ほとんどない。…です。
「歌好き」としては、そこがONFを聴いていてなによりも楽しいところで、同じ歌詞・同じメロディなのに、歌い手によって曲の表情がどんどん変わっていくのが、たーまーらーん、のです。※レンジが広い(音域が広い)歌が多いのに、全員がどこのパートでも歌うって、どんだけ歌がうまいグループなんだよ…。この「上手さ」が解りやすく派手な「上手さ」ではないところも特徴。
超個人の主観ですが、『SPIN OFF』ではスンジュン君の“歌力”が各段に上がっていると感じていて、どの曲を聴いても、彼の歌にグッとくるものがあるのです(もちろん、全メンバーにも同様に感じるところはあるのですが)。そこを具体的に書き留めておきたくて、こうなりました。
『첫 키스의 법칙 (Belle Epoque)』
(ミンギュン君の歌い出しも最高ですが)
「오늘따라 더 진한 너의 샴푸 향기는 나를 안달 나게 만들 너의 큰 그림이니♪」
「자꾸 왜 웃는 거야 나도 웃고 있지만 혹시 내가 너무 어설퍼서 그런 거니♪」
「아주 오래 지나도 잊지 못할 거야♪」…とスンジュン君が歌うライン。
今日に限って濃いシャンプーの香りが~とか、なんで笑うの?僕も笑ってるけどさ~とか、どれだけ時間が経っても忘れられないよ~とか……女の子とうまくいってデートして初めてキスをするという情景を描いている曲なので、とにかく、曲そのものが、あまーい!!!わけですが。
そのなかで特に、スンジュン君が歌うと、情景が想像できて表情までみえて、ドキドキする気持ちまで伝わってくるような感覚になります。
❝表情が見える歌❞というのは、実は結構難しい。
派手にハイトーンが出る、ピッチやリズムが正確、声そのものがイイとか…歌が上手いといっても色々あって。韓国みたいにスクールに通う子が多いと基礎的な歌の上手い人はた~くさんいて、アイドルでも、みんなしっかり上手いです。ただ、「表現者」として上手いというのは、またちょっと別の才能のような気がしますし、レッスンだけしていても身につかない感性的な部分でもあります。スンジュン君はそこが、ぐんぐんと上がった感じがしています。
『제페토 (Geppeto)』
この曲はスンジュン君の歌い出しで曲の世界に完全に心をもっていかれます…。「날 움직이게 하고 내가 숨을 쉬게 했죠♪」…このひと言で、もう、はい、切なさMAX。
(「왜 나를 만든 거죠~♪」からのヒョジン君の、少しアタック強めの歌い方も素晴らしいし…全部いいんだけど)
最後のライン、曲の締めのパート「you are my geppetto. but I’m not pinocchio,anymore♪」も、スンジュン君。
自己が崩壊しているちょっと狂ったような世界観、やりきれなさ、でも怒りをぶつけるようなものではなくて…という複雑で難しい感情。これが表現が出来るオネノプってすごいなぁ。
そして、スンジュン君がその大事なところをキメてるという感じがして、「こんなボーカリストだったっけ?」と、いい意味でスンジュンに関して驚かされた( ゚Д゚)代表曲。
『선인장 (Cactus)』
これも1番はジェヨン君、2番はユト君の歌い出しが素晴らしいし、どこを切っても…ONFというグループの歌の良さが光る曲で。
本当に愛しあったのに傷つけあってしまう、だから別れようという(オネノプには珍しい)別れの曲。
丁寧に言葉を紡ぐように歌うんだけど、どちらかと言えば明るい曲調のなかで淡々と“別れ”を歌うので、余計に切なくなるという…。
これも上級な感情表現を求められるものだと思うけど、最後のライン、曲の締めがスンジュン君の「너무 아픈 사랑은 이제 그만해♪」。
この最後の最後で、ドーンと悲しみさがMAXになり、我慢していた涙があふれてしまうような感覚になります。
それにしても、これもボーカルのレンジが広い曲だな。
『Message』
これも、歌い出しのヒョジン君の「슬픈 노래가 아닌♪」で、伝いたい気持ちがまっすぐに届きすぎて、泣きそうになってしまうんですが(毎曲それか!でも、それぐらい「歌い出し」って重要なもの)。スンジュン君は、もともと声色が明るく響く方だと思うので、「아주 멀리 있어도 느껴지던 너의 진심이야♪」の後半にハイトーンにもっていくところで、明るい光を指すような感じがしてきます。
この曲は…これまでのオネノプの曲名がちりばめられていて、ファンと一緒に過ごしてきた時間も感じさせてくれという仕掛けもうれしいし、「心配しないでね」「会いたいと思ってるんだよ、必ず会おうね」…という気持ち、オネノプらしい“ファンへの思い=優しさ”いっぱいの曲。
『신세계 (SPIN OFF Ver.)』
これはオネノプの得意な(?)『No Control』のようなアニソン風で、ロトゥキンで発表されたときには、「まさに新世界きちゃったよ…」と感じた曲。「약속했던 건 지키고 싶어♪(約束したことは守りたいんだ)」のパートを繊細さが光るチャンユン君に歌わせるとは、とてもずるい…(☜大正解という意)。
スンジュン君のパートのなかでは、ラップの後の「누가 더 나빠야 이긴 걸까/이 세계는 뒤틀렸어/사랑의 의미도 흐려져」のところが素敵。
誰の方が悪ければ勝つのだろうか、世界は歪んでいる、愛の意味もかすんでいく…と、強く訴えたい気持ちと悲しさとが相まって、ズンと重たい気持ちが伝わってきちゃうところ。
…恋しさと せつなさと 心強さと…みたいなヤツ(そろそろ語彙力の限界)。
それにしても。
パラレルワールドで迷い続けて、ヒューマノイドの苦悩(人間との戦い?)のなかでタイムリープして、機械仕掛けなのに死を感じながら絶望と向かい合っている青年たちに…「新世界に連れて行ってあげるよ、パラダイスへ行こう」なんて言われたら、涙腺が崩壊しますよ。まったく中二病の感覚は持ち合わせてないワタクシでさえ、です。重たいのに希望的な曲。
そのパラダイス(ユートピア)がSukhumvit Swimmingという都市なのか!?と思うと、ここでもまた、ストーリーがグルグルする。
『오늘 뭐 할래 (Good Good)』&『스쿰빗스위밍 (Sukhumvit Swimming)』
『오늘 뭐 할래 (Good Good)』はスンジュン君の明るい声にピッタリだし、『스쿰빗스위밍 (Sukhumvit Swimming)』の「달이 뜨면 더욱 뜨거운 그곳에서 너를 만날래♪」の“만날래”の歌い方なんて、最高に軽くてちょっとセクシーさもあっていい。
…と、ここまできたらメンバー6人全員分やりたくなってきてしまったのですが、時間がないのでここまでに。
2月末にリリースされるONF初のフル・アルバムの世界観への下準備(?)として、公式資料[Album Review]からONFらしいコンセプト関連だけを自分のためのメモとして転載。※こういうライナーはファンヒョンさんが書いているとおっしゃっていた。
ONF(온앤오프)5th ミニアルバム『SPIN OFF』(2020.08.10 Release)
☝クリックすると「Spotify」へ飛びます
1. 스쿰빗스위밍 (Sukhumvit Swimming)
Composed by 황현, 윤종성 (MonoTree), MK (온앤오프)
Lyrics by 황현 (MonoTree), MK (온앤오프), WYATT (온앤오프)
Arranged by 윤종성, 황현 (MonoTree)
君と僕を繋ぐ未知の空間に飛び込むという内容。スクビットスイミング(Sukhumvit Swimming)は、現実に探していたユートピアなのか平行世界の話だったのかは分からない。
2. 첫 키스의 법칙 (Belle Epoque)
Composed by 황현, NOPARI (MonoTree)
Lyrics by 황현, Inner Child (MonoTree), WYATT (온앤오프)
Arranged by 황현, NOPARI (MonoTree)
時間旅行をするONFは過去への旅行をする。過去に良い時代を意味するベルエポック(Belle Epoque)という題材を持つ曲で、誰にでも一度だけの「ファーストキス」の状況を面白く表現。
3. 제페토 (Geppetto)
Composed by GDLO, 황현, Inner Child (MonoTree), MK (온앤오프)
Lyrics by 황현, Inner Child (MonoTree), MK (온앤오프)
Arranged by GDLO (MonoTree)
僕たちは誰かのピノキオなのかな? ゼペットなのか? 単純にピノキオの反抗ではなく、ピノキオの覚醒を素材にしたこの話は私たち皆に同じ質問を投げかける。 ※システムエラーが作った物語というワードがアルバム全体を通した解説文にあって、おそらくこの曲の事。
4. 오늘 뭐 할래 (Good Good)
Composed by 황현, G-high (MonoTree), MK (온앤오프), WYATT (온앤오프)
Lyrics by 황현, Inner Child (MonoTree), MK (온앤오프), WYATT (온앤오프), 박지연 (MonoTree)
Arranged by G-high, 황현 (MonoTree)
メンバー全員がボーカルとラッパーの役割を行き来するSPIN-OFF曲
5. 선인장 (Cactus)
Composed by 황현 (MonoTree)
Lyrics by 황현 (MonoTree)
Arranged by 황현 (MonoTree)
ONFの曲の中で最もシンプルな楽器構成を持つ曲。悲しい内容を淡々と明るく伝えるボーカルの節制美も、この曲の違う特徴。
6 .Message
Composed by 황현 (MonoTree)
Lyrics by 황현 (MonoTree), MK (온앤오프), WYATT (온앤오프)
Arranged by 황현 (MonoTree)
相手に対して大切なことに気付き、必ず会おいうという約束をメッセージにこめた歌詞には、ONFが活動してきたストーリーが含まれている。
7. 신세계 (SPIN OFF Ver.)
Composed by 황현 (MonoTree), MK (온앤오프)
Lyrics by 황현 (MonoTree), WYATT (온앤오프)
Arranged by 황현 (MonoTree)
暗くて重い単語をたくさん使いながらも、「君と僕が一緒なら、暗くて荒い現実から脱して、夢見た新しい世界へ行くことができる」という希望に満ちた内容を歌詞に盛り込んだ。