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連邦法の「Click to Cancel 」ルール

(※冒頭の画像はDALL-Eで生成しております。)

私たちがサブスクリプション契約をキャンセルしようと思っても、なかなかキャンセルまで辿り着けないという場面にみなさんも出会ったことがあるかと思います。
この問題を解決すべく、連邦取引委員会(FTC)は、2024年10月16日、新たな「Click-to-Cancel」ルールを公表しました。(FTCのHP)

このルールは、1973年の「Negative Option Rule」(16 CFR Part 425)を大幅に改正し、特にインターネットでのサブスクリプションを通じた定期購入契約の不公正で欺瞞的な慣行を是正することを目的としています。

本法は、2024年11月15日にFederal Registerに掲載され、2025年1月14日から効力発生となります(なお、遵守期間はFederal Register掲載から180日の対応猶予があるため、2025年3月14日までに対応を行う必要があります)。

本法では、「ネガティブオプション機能」を、「消費者が商品・サービスを拒否するためまたは契約をキャンセルするための積極的な行動を取らない場合、その消費者の沈黙や不作為がが、オファーの承諾や継続承諾とされる契約条項」を指し、例示として、自動更新や継続プランが含まれると明記しました。(§ 425.2)。

この法律では、以下のような内容が定められています。

  • 425.3条(虚偽表示):ネガティブオプション機能による商品・サービスの販売促進やオファーに関連し、重要事項に関して明示的・黙示的に虚偽表示を行うことを禁止しています。

  • 424.4条(重要情報):ネガティブオプション機能による商品やサービスの販売促進やオファーに関連し、販売者が消費者の請求情報を取得する前に、無料期間後に料金が発生することや無料期間の日数、キャンセルを行うために必要な情報など、重要条件を、明確かつ目立つ形でかつ開示する必要があります。

  • 425.5条(同意):ネガティブオプション機能による商品・サービスの販売促進やオファーに関連し、消費者の明示的な同意を取得した後でなければ請求を行ってはなりません。この同意には、①ネガティブオプション機能に関する同意を、取引の他の部分とは別に取得すること、②消費者の同意を妨げる情報を含まないこと、③同意の記録を少なくとも3年間保持することが含まれています。

  • 426.6条(Click to cancel):ネガティブオプション機能による商品・サービスの販売促進やオファーに関連し、①ネガティブオプション機能を解約するためのシンプルな仕組み、②商品・サービスの請求自体・請求額の増加を回避するための仕組み、③繰り返し発生する請求を直ちに停止させる仕組みを用意する必要があります。①の仕組みについては、(c)(1)で詳細が記載されており、インターネットでは、「シンプルなキャンセルの仕組み」が必要で、424.4条の情報開示だけでは不十分とされています。また、消費者がネガティブオプション機能への同意時に、ライブ担当者またはバーチャル担当者(チャットボットなど)とやり取りしていない場合には、キャンセル時にそのような担当者とのやり取りを求めてはいけない旨の記載があります。

今回の「Click-to-Cancel」ルールは、特にインターネットでのサブスクリプション契約の透明性を高め、消費者が簡単にキャンセルできる仕組みが確保されることが期待されています。また、最終ルールでは削除されましたが、引き留め(Save)の禁止については、FTCによって追加のルール(a Supplemental Notice of Proposed Rulemaking)がなされるともいわれています。

一方で、今回のルールに対しては無効化を求める訴訟も提起されており、また、新大統領就任後における修正の可能性も考えられます。ただ、消費者保護には重要な対応となると考えられ、今後の動向が注目されます。

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