Legal Limelight Chronicles: 海外エンタメローの備忘録

アメリカ在住のエンタメ分野を取り扱う弁護士が気になった海外エンタメローの備忘録|諏訪公…

Legal Limelight Chronicles: 海外エンタメローの備忘録

アメリカ在住のエンタメ分野を取り扱う弁護士が気になった海外エンタメローの備忘録|諏訪公一|弁護士(日本(二弁)・CA・NY)| クマのアイコンはDALL-E2にて生成しています。| 不定期です。|全て個人の見解ですが、ニュースの深掘りはしません。

最近の記事

デジタルコンテンツの「購入」に関するカリフォルニア州法(AB2426)について

(※冒頭の画像はDALL-Eで生成しております。) 2024年9月、カリフォルニアでデジタルコンテンツの購入に関する法律が成立し、2025年1月1日に施行されます(AB2426)。 同法制定の目的は、音楽、映画、書籍、TV番組や映画をオンラインで購入する際、消費者は紙の書籍やCD・DVDなどのメディアを購入した際と同様、を永続的な視聴が可能であると考えてしまいますが、実は消費者はライセンスを購入しているにすぎず、販売者の利用規約に基づいてそのライセンスを取り消すことができ

    • Anime Expo in LA / AnimeNYC in NY 2024

      (※冒頭の画像はDALL-Eで生成しております。) 2024年も、ロサンゼルスで開催されたAnime Expo (2024年7月4日ー7日)とニューヨークで開催されたAnimeNYC (2024年8月23日ー25日)に参加してまいりました。(サンディエゴコミコンにも行っておりますが、それはまた別で紹介いたします) Anime Expo(AX)は非営利団体であるSPJA(Society for the Promotion of Japanese Animation)が行う日

      • JERTO LAによるアニメレポート(2024/7)

        (※ヘッダーの画像はDALL-Eで生成しております。) JETROのLA事務所が「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート」を2024年7月に公開しております。 要旨については、7月上旬のアニメエキスポ(LA)にて発表もされておりましたが、詳細版もその後公開されておりました。 JETROのLA事務所の皆様には以前からお世話になっておりますが、JETROのLA事務所の皆様が北米でアニメ関連に携わる複数社にインタビューを行い、そのまとめもわかりやすく記載されております

        • 木目紙の著作物性に関する訴訟 in US

          (※冒頭の画像はDALL-Eで生成しております。) Toppan InternationalがWhalen Furnitureに対して、Whalenの「Wooden grain paper」(木目紙)がToppanの著作物を侵害するとして、United States District Court for the Southern District of California(南部カルフォルニア連邦地裁)に訴訟を提起しており、現在も係争中の事件があります。(Toppan In

        デジタルコンテンツの「購入」に関するカリフォルニア州法(AB2426)について

          米国司法省によるLive Nation/ Ticketmasterへの独禁法訴訟

          (※冒頭の画像はDALL-Eで生成しております。) 2024年5月23日、米国司法省(DOJ)は、30のAttorney Generalと共に、Live Nation(100%子会社にTicketmasterを有するLive Nationを、シャーマン法2条に違反したとしてニューヨーク南部地区連邦地裁において独占禁止法違反で訴えました(訴状はこちらです。) Ticketmasterは、アメリカでイベントのチケット買う時は一度は使ったことがあるサービスではないかと思いますが

          米国司法省によるLive Nation/ Ticketmasterへの独禁法訴訟

          米国著作権法507条b項の損害賠償についての最高裁判決(2024年5月9日)

          (※冒頭の画像はDALL-Eで生成しております。) アメリカ著作権法507条b項では、民事訴訟は、”within three years after the claim accured” (請求権の発生後3年以内)に訴訟を提起しなければならないと定められています。この「3年内に訴訟を提起」した場合に、3年より前の損害賠償を請求できるかどうかについては各巡回区裁判所によって判断が分かれていましたが、アメリカ合衆国最高裁判所(SCOUTS)は、2024年5月9日に本件について、

          米国著作権法507条b項の損害賠償についての最高裁判決(2024年5月9日)

          アメリカ著作局と特許・著作権局のNFTレポート(2024年3月)の一部をご紹介

          (※冒頭の画像はDALL-Eで生成しております。) 米国特許商標庁(USPTO)と米国著作権局(USCO)は、2024年3月12日、「Non-Fungible Tokens and Intellectual Property」と題する報告書を議会に提出しました。 この報告書では、NFTにまつわる著作権、商標権、特許権にまつわる問題について記載がなされています。 本報告書によれば、NFTと著作権に関しては、30頁にわたって記載されています。その問題点は、以下の3つのカテゴリ

          アメリカ著作局と特許・著作権局のNFTレポート(2024年3月)の一部をご紹介

          Tiktokからの楽曲引き上げに関するユニバーサルのコメントを読む

          先月末、ユニバーサルとTiktokの楽曲利用の契約の更新について、2024年1月31日までに合意を達成することができず、同社のカタログ楽曲を取り下げる旨のニュースがありました。 ユニバーサルからは、"An Open Letter to the Artist and Songwriter Community Why We Must Call Time Out on TikTok" としてOpen Letterが出されています。英語のOpen Letterはこちら、ユニバーサル

          Tiktokからの楽曲引き上げに関するユニバーサルのコメントを読む

          CCライセンスで出典表記なしで利用した場合のフェアユースの可否(Philpot事件)

          第4巡回区控訴裁判所で、2024年2月6日にフェアユースに関する判決が出ました。事件名は、Philpot v. Independent Journal Review, Case No. 21-2021 (4th Cir. Feb. 6, 2024)です。判決文は、こちらで確認することができます。 本件の事案は、以下の通りです。 写真家であるLarry Philopotは、2013年7月に、ミュージシャンTed Nugentの写真を撮影し、2013年8月21日に著作権登録が行

          CCライセンスで出典表記なしで利用した場合のフェアユースの可否(Philpot事件)

          ”Made in USA”表記と3億円の制裁金

          2024年1月26日、FTCは、Kubota North America Corporationに対して、200億ドル(約3億円)のCivil penaltyを支払う和解を行なったとのアナウンスがありました(FTCのアナウンス)。これは、Kubota North Americaなどが、交換部品の一部に、「Made In USA」という表記を付していたことが、「Falsely labeling」(虚偽表示)に該当するとされている案件です。FTCによれば、Made in USAの

          AIバトルーNew York Times対OpenAI

          2023年12月27日、New York Times(NTY)がOpen AIを著作権侵害でニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に訴訟を提起したニュースはみなさんご存知かと思われます。 69頁にわたる訴状も公開されております(訴状はこちら)。 こちらの内容は、さまざまなニュースで紹介されていますので、詳細はニュースにてご確認をいただければと思いますが、主な内容としては、NYTの記事をOpenAIがChatGPTに許可なく学習させたことによる著作権侵害が争われています。 訴状

          フィギュアスケートの音楽に関する紛争の顛末を探る

          2022年北京オリンピックのフィギュアスケートペア米国代表のAlexa KnierimさんとBrandon Franzierさんは、米国チームで銀メダルを獲得しました。同ペアが演技の際に利用した「House of the Rising Sun」という楽曲について、2022年2月に、当該楽曲の権利者が著作権侵害で訴訟を提起した、というニュースがありました。 私もよくフィギュアスケートを見ますので、当時このニュースに接していましたが、ニュースを見る限りで、これはどのような問題だ

          フィギュアスケートの音楽に関する紛争の顛末を探る

          アサヒスーパードライのManchester Cityの練習着のロゴ(しなさい)

          「極度乾燥(しなさい)」という、日本人であれば最初見た時「?」となったであろう服飾ブランドSuperdryが、Manchester Cityの練習着に描かれているAsahi Super "Dry"をイギリスで訴えたというニュースがありました。(今ではアパレルのSuperdryも有名ですが) 日本ビールメーカーのAsahiは、2023年/2024年シーズンに関し、「オフィシャルキットパートナー」として、Manchester Cityの全ての男子・女子の練習着の前面にブランドを

          アサヒスーパードライのManchester Cityの練習着のロゴ(しなさい)

          妊婦の女性の写真とアルコールの宣伝について

          アメリカにおけるアルコールの宣伝については、Distilled Spirits Council of the United States(DISCUS)という米国で蒸留酒を販売する生産者やマーケターを代表する業界団体により、アルコール広告に関するCodeが定められています。 今回取り上げるのは、Woodford Reserveというウイスキー会社のMaster DistillerであるElizabeth McCallさんを紹介するWisheky Magazineが、同広告コ

          妊婦の女性の写真とアルコールの宣伝について

          Fortniteのemoteと振り付けの著作権

          Fortnite内で購入可能なエモート(emote)につき、振付師であるKyle Hanagami氏の振り付けの著作権を侵害したとして、Hanagami氏からEpic Gamesに訴訟が提起されていました。 オリジナルの振り付けのYouTube”How Long”はこちら。44秒くらいから47秒くらいなど、何度も同じような振り付けが出てきます。 エモートの比較については、2022年8月24日の地裁によるOrder Grating Motion to Dismiss内の10頁

          Steamboat Willieの著作権切れ

          1928年11月に公開されたSteamboat Willieが、95年の時を経て2023年12月31日をもって米国での著作権期間が満了し、パブリックドメインとなりました。 早速、この著名なキャラクターをモチーフにした「Infestation: Origins」というゲームが発売された模様です。 https://store.steampowered.com/app/2635640/Infestation_Origins/ パブリックドメインになるのは1928年公開のものだけで