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音楽業界


※前提として、23卒の大学院生、大学生、短大生、専門学校生に向けた音楽業界研究について記述しています。したがって、特別な資格を必要としないレコード会社や総合エンタメ企業の中の音楽業界に関する事柄が中心になるため、PA、照明、楽器店職員、アーティストの仕事などの専門的な職業の研究は省略させていただいております。
ご理解の上、記事を楽しんでいただけましたら幸いです。


〇業界規模

日本レコード協会による発表によれば、2020年の国内音楽市場では、2727億円の売り上げがあったとのことです。(前年比9%減)

新型コロナウイルスの影響により、店舗へ直接CDを購入しに行ったり、コンサートやライブの開催が中止となったりして打撃を受けた一方で、ストリーミングサービスやデジタル音楽配信の分野は順調に業績を伸ばしています。

エンタメ業界全般に言えますが、コロナウイルスを通して個人的に痛感したのは、「娯楽は不要不急であり、飽きられてしまえばそこで終わり」だということです。今後サービスを提供する側を目指される方々は、日常の中のどんなに小さな出来事でも構わないので、人々の楽しい!面白い!という気持ちに、いかに効率よくサービスを直結させられるのかをご自身の普段の生活と紐づけて考えられると良いと思います。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ104XI0Q1A310C2000000/



〇ビジネスモデル

現在はエイベックスやソニーミュージックグループなどのように、音楽事業のみならず複数の事業を手掛けることで(気になる方は総合エンタメnoteも見てみてね!)売り上げを順調に伸ばしています。

一方でCDの配給やライブハウス・コンサートホールの運営、アーティストの所属事務所など一つの事業を手堅く行って長期の経営に成功している企業もあります。

業界を目指す上で「こういうビジネスに関わりたい!」という明確な思いがあれば、少数の企業に絞って対策を行っても良いと思いますが、特にないのであれば様々な企業に挑戦してみて、音楽業界のビジネスの在り方を学んでいく事も可能です。


◯将来性

現代では音楽が「いつでも、どこでも、手軽に」楽しめるエンタメになってきているため、今回のような感染症の流行を含めた有事の際にも、他業界に比べれば比較的打撃を受けにくい業界であると考えられます。

しかし、一般人も楽曲を気軽に投稿できるサイトの存在や、海外音楽の圧倒的な人気などから、国内・プロの音楽のみに固執した体制では、現状維持が難しくなっていることは確かです。
海外アーティストとの契約を積極的に締結したり、一般人も参加できる企画(フェスでのインディーズステージなど)を考案したり、柔軟な姿勢を取れている企業であれば安定した存続も期待できます。


◯他のエンタメとの違い

他のエンタメ業界と音楽業界の大きく異なる点は音楽の知識がなくても就職できるチャンスがあるということだと思います。
先述の通り、昨今の社会のデジタル化やコロナウイルスの影響によって、音楽業界は従来のCDやコンサート・ライブビジネスのみでは生き残れない状況にあります。

そこで企業は、人々の関心を今後も集めていくために、「音楽以外の何か」と「音楽」を掛け合わせた新規のビジネスに注力しています。
作曲家や演奏家、歌手など音楽のプロフェッショナルは既に企業側に沢山いるので、「音楽以外の何か」に精通している人を求めています。
読書、料理、スポーツ、アクセサリー、乗り物、動物、、、何でもいいので好きだと思うことの対象が音楽以外にあると、選考において強みになる可能性が高いと思います。


◯就活生が感じたリアルなメリット・デメリット


【メリット】


・礼儀やマナーにそこまで厳しくない
→もちろん最低限の言葉遣いや、目上の方々とお話をするときの態度には気を付ける必要がありますが、それ以外はあまり気にしなくて大丈夫。
服装についてもオフィスカジュアルを通り越してがっつり私服の学生が多いですし、それについて怒られている場面も見たことがありません。(むしろ派手な服を着ていってセンスを褒められ、最近のライブグッズのデザインの話題に繋がった、という例もあります。)
私も当日はめちゃくちゃでかいイヤリングと真っ赤なリップを付けて行ってました笑  面接官は普段通りのあなたを知りたがっています。自分のカラー全開で選考に臨んでほしいです!

・対策がいらない(というか通用しない)
→面接の際はテンプレの質問が1つもなく、面接官がESを見て気になったことをポンポン聞いていく方式。
正直一夜漬けの対策では意味がなく、今までの人生の行動にどれだけ意味を持たせられるかが勝負だと思います。自己分析は無意味だという意見もありますが、エンタメ業界に限っては必須だと感じました。
予測できない質問をされることを不安に感じる方々もいるかもしれませんが、正直普通に会話ができて、更に面接官の興味を惹く言葉や素質を持っていれば勝算は十分にあります。



【デメリット】

・ストレス耐性確認の圧迫面接あり
→A&R、マネージャーやディレクター、イベント企画などの現場に直接関わる職種では、圧迫面接を経験した学生もいたようです。
具体的な例を挙げると、グループ面接で自分だけ質問の時間が短い、面接官が足を組んで椅子にふんぞり返っている、「あなたうちの会社に向いてないんじゃない?」などの言葉を投げかけられる、など、、、。実際の仕事現場はまだまだ上下関係に厳しい体育会系の雰囲気が残る場所も多く、仕事仲間やお客様にどのような態度を取られても冷静でいられるかを見られているのではないかと推測します。とはいえ面接官も演技でそのような態度を取っていることが大半なので、あまり真に受けず、落ち着いて受け答えができれば特に問題ありません。

・「音楽が好き」だけでは通過が難しい
→何度も繰り返しますが、現在の音楽業界は音楽と別の分野を掛け合わせたビジネスに力を入れています。そのため、音楽以外の趣味や特技(映画、読書、ゲーム、旅行、スポーツ、、、何でも大丈夫!)がないと、インパクトを残すことは正直難しいかもしれません。実績や優劣は関係ないので、何か自信をもって好きだと語れる分野を音楽以外にも持っておくと心強いです。
加えて音楽もそれ以外の趣味も、どうして好きなのか、それらのどこにビジネスチャンスが転がっているのかを言葉で説明できるようにしておくといいと思います。


〇職種と働き方

まず働き方としては、固定でそれぞれの職種を担当して、専門的な知識を身に付けていく働き方か、総合職として部署移動を経験しながら幅広い知識を身に付ける働き方に分かれます。
企業によってはグループ会社一括採用といった特殊な採用制度もあるので、昨年度の新卒採用サイトなどを元に予め自分がどのような働き方をしたいのか考えておくと良いです。

そして職種については、個人的に大きく3つに分類しています。

【企画・制作系】
→ライブなどのイベント企画担当、グッズクリエイター、ファンクラブの運営、デザイナーなどがこの系統に当てはまります。お客様とアーティストの双方にとってプラスになる空間・商品づくりを行います。会議や研鑽が何度も必要になりますが、人々の笑顔を一から創り出すことのできる仕事です。

【現場系】
→マネージャー、スカウト、営業などを指します。アーティストの一番近くで働くからこそ苦労はつきものですが、その人たちの人生に関わり、成長や成功の瞬間に立ち会えた時の喜びは他業界では味わえないと思います。

【管理系】
→人事・法務・経理・エンジニアなどを指します。音楽業界は他の業界以上に所属するアーティストや従業員、取り扱っている商品に関するトラブルの引き金が多いです。居心地の良い職場にできるように、企業経営を裏側から支えます。


どうしても音楽業界と聞くと、現場系職種のイメージが先行しがちです。しかし実際には想像以上に数多くの職種に支えられて一つの仕事が完成します。
やりたいことや適性と相談しながら、自分にぴったりの企業や職種を見つけてみてください。


〇キャリアステップ

上記の職種と働き方の観点から、「一つの分野を突き詰めたプロフェッショナルとして音楽業界の役に立ちたい!」「企業内で様々な職種が経験できるなら飽きることはなさそう!」と考えられる人は、同じ企業で長いキャリアを積んで管理職・役員クラスを目指すのもアリ。忙しいイメージはあるものの福利厚生はわりと整っているので、女性にも働きやすい職場が大半だと思います。

私の知り合いに意外と多いのは、音楽業界内で転職を繰り返している人。エイベックスからアミューズ、ソニーからユニバーサル、、、企業から企業へ渡り歩いている人(正社員雇用扱いとなるのかは企業によるので注意)よく見かけます笑 それを咎める風潮もないみたいので、転職ありきで就職活動をする人にもオススメと言えばそうかもしれません。

他業界へ行くにしても、音楽業界はわりと知名度の高い企業が揃っているので、転職活動の際に怪訝な顔をされることもないはず。今後音楽ビジネスの在り方も時代に合わせてどんどん変わっていくので、あまり気を張りつめすぎずに受けてみるのも良いのではないでしょうか。

〇音楽業界を受ける23卒へのメッセージ

[Erika]
音楽業界と一口に言っても、ビジネスのやり方働き方も採用フローも企業によって本当にバラバラです。(だからこのnoteも内容がちょっとぼんやりしてしまっているかも、ごめんなさい。)倍率が高くて敬遠してしまいがちですが、音楽業界への関わり方は色々あるので、可能な限り多くの企業を見て、自分に合った場所を見つけてほしいです。キラキラしていなきゃいけないとか、音楽に詳しくなきゃいけないとか、そんなルールはないのでぜひ挑戦してみてください!ESの設問によっては、選考を受けるにあたって自分と向き合わないといけない時間も増えるため、自己分析にも役立ちます。
何か相談に乗れることがあれば乗るので、いつでも下記のIDにDMしてください!(FF外でもやり取りできるように設定しています。)

[しずく@22卒]
音楽は誰しもが生きてる中で関わるもので、一度はみんな夢見たことがある世界なんじゃないかなーと思います。それを実現しようとこのnoteをみてる皆様は本当に素晴らしいなと思います。私も音楽が大好きで、小さい頃から関わらなかったことがないくらい「音楽!!」って人間でしたが、結局音楽のみを取り扱う企業で受けたところは1つだけでした。音楽を主力事業として行うところ、芸能や映像も扱うところ、楽器を主に扱うところ、主力事業ではないけれど事業としては存在しているところ・・・など企業によってそれぞれ特色が強くあると思います。音楽って一言に言うだけでもかなり幅広いです。自分がやりたいこと、自分に合った企業はどこなのか是非向き合ってみてください。「好き!」と言う気持ちは絶対に自分を強くしてくれます!私は頑張る皆さんを応援しています!


執筆者  :Erika(@0613usgv)
協力者  :しずく( @i_am__7310 )

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