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映画業界

※今回は映画業界についてになりますので、3社内における他事業は極力触れずに書いてます。

◯業界規模

2019年から2020年の映画業界の業界規模(主要対象企業17社の売上高の合計)は7,996億円となっています。

その内、映画館収入は前年比0.1%増の2,938億円。
入場者数は、同5.6%減の1億6,239万人でした。
映画館収入は好調に推移したものの、入場者数は前年から961万人が減少、2年連続のマイナスとなりました。

引用元(gyokai-search.com)


◯ビジネスモデル

基本は興行収入
加えて、Blu-ray等のディスク化によるパッケージ製品やテレビでの放送権や配信、劇中のキャラクターの商品化等の二次利用があります。 


◯将来性

【最近の事例】
今月公開されたマーベル作品の『ブラックウィドウ』が、全米での興行収入が88億円、配信のDisney+で66億円を売り上げ。これまでならば、映画館で上映、Blu-rayやDVDへのパッケージ化→その後に配信やテレビ放送の流れが当たり前でした。
しかし、コロナ禍により、映画館での上映が難しい故に採られた施策がこのような結果になり、映画館の存在意義がより問われています

【予想】
4DやIMAX等、従来と異なる楽しみ方で差異をうみだしています。
テレビからYouTube、そして配信サイトと私たちはエンタメにあまりお金をかけずに享受しています。一方、新作映画を視聴するには一作毎にチケットを買わねばなりません。この状況においてどうやって消費者に満足してもらいながらお金を落としてもらうか、ビジネス視点がより一層求められるのではないでしょうか。
現在はチケットの単価を上げることで売り上げの上昇を狙っていますが、二次利用展開となるIPビジネスで異なるタッチポイントから収益を上げていくと予想しています。
いずれにせよ、面白い映画をつくることが最優先です。



◯業界地図

今回は東宝、東映、松竹の大手3社に限定して簡潔に書かせて頂きます。

①東宝
毎年話題作を提供しているNo.1会社。
シリーズ作品としても『名探偵コナン』『ドラえもん』があります。
最近は自社IPでもあるゴジラを海外に売り出す等、ライセンスビジネスにも力を入れつつあります。
直営劇場である帝国劇場やシアタークリエを利用した東宝演劇も事業として存在。


②東映
テレビのシリーズモノに強み。
『仮面ライダー』や『戦隊モノ』といった子供をターゲットにした作品は勿論の事、『相棒』や『科捜研の女』といった大人向けの作品も。
子会社の東映アニメーションは自社IPとして『ドラゴンボール』や『ワンピース』『プリキュア』等の長期に渡る人気の作品を所有しており、ライセンスビジネスが強い。
催事関連事業部門が存在。この部門には勿論、舞台演劇が含まれていますが、先に挙げた子供に人気のコンテンツの他展開を図る上でのキャラクターショーがあります。
東京ドームシティで僕と握手って聞いたことありません? あれです。


③松竹
前2社と異なり、事業紹介において先頭に位置するのは演劇事業です。
歌舞伎座をはじめとした直営劇所を複数所有しており、唯一の歌舞伎興行主です。
映画事業自体はここ数年苦戦していますが『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』や『ザ・ファブル』シリーズ等、話題作は公開されています。


少し脱線して2019年の国内の映画興行ランキングを見ていきましょう。(20年はコロナで映画業界は大打撃なので外しました。)

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(2019年邦画興行収入ランキング - 映画ランキングドットコム (eiga-ranking.com)より一部抜粋)

6位の『ONE PIECE』シリーズ、7位の『翔んで埼玉』を除き、8作品の配給会社が東宝でした。3社が大手と言われていますが、東宝が圧倒的です。今回挙げた年に限ったことではありません。
別の年のランキングを見たい方のためにリンクを貼っておきます。
(過去興行収入上位作品 一般社団法人日本映画製作者連盟 (eiren.org))



◯他のエンタメとの違い

元々水商売とも言えるエンタメ業界ですが、特に映画業界はその傾向が強いです。人気の役者さんを起用したからヒットする!なんてことは難しく、最近ヒットした作品の多くはアニメ関連(実写含)や元々人気のあるシリーズの続編です。
コンテンツの初公開が映画館という非日常空間であることも、ひとつ大きな違いです。


◯就活生が感じたリアルなメリット・デメリット

・メリット
興行収入〇〇突破!等、自分の関わった作品が世間に及ぼす影響力が分かり易い、やりがいが目に見える。
メディアに自身の考えた宣伝が取り上げられる。
チケットを実際にもぎる(上映スクリーン入る前の確認)ため、エンドユーザーの顔がわかるので誰のために仕事をしているかを感じられる。
給与はエンタメ企業の中なら良い。
スターダムの階段を登っていく役者さんの姿を間近で見れることも。

・デメリット
エンタメ業界の中でもESがとにかく重い。手書きで書くことも。
突破できてもデザシコが待っている等、面接に辿り着くまでが大変。
ジョブローテを採用しており、自分でこの業種一本でやっていくと考えるのは危険。
水物商売をカバーする上での不動産事業が存在するため、配属される覚悟が必要。
イベントは基本お客さんを呼びやすい土日に開催なため、暦通りには休めない。
採用人数が少ない且つ中途採用での募集が殆どない(明るみになってないだけかも)ために新卒カード1枚のみの勝負。(外資は違う)



◯職種と働き方

映画を世に出すに当たり様々な工程が存在します。


・企画・製作
 映画をつくる工程。0→1

・配給
 映画を売る工程。出来上がった作品を見てもらう場所を確保する・増やす  
 営業や世間に作品の魅力をアピールする宣伝が該当。1→10

・興行
 上映業務や接客業務の工程。
 東宝ならTOHOシネマズ、東映だとティ・ジョイ、松竹は松竹マルチプレックス シアターズのように自社の映画館で上映可能。

・二次利用
 作品を映画館の外で売り出す工程。

自身がどの工程で働きたいかを考えるのが大事です。



◯キャリアステップ

・東宝
一括採用
・東映
一括採用
・松竹
一括採用

どの企業も総合職採用なため、映画だけではなく、演劇や催事、不動産の事業に配属される可能性あり。
また、映画館等の劇場で実際に働くため泥臭い仕事でも頑張れる方の方が向いていると思います。
東宝は積極的にジョブローテーションあり。


◯この業界を見ている後輩へのメッセージ


[縁下]
エンタメ業界は水物商売と言われていますが、コロナ禍で大打撃を受けたこともあり、映画業界は特にそう感じました。
今回はコロナが原因でしたが、ヒット作に恵まれなければ、当然ながら業績は悪化します。その博打とも言える事業を支えるのが不動産事業であることを認識しておいた方が良いです。映画や舞台に関わりたいと思って入社しても、不動産事業に配属されることは起こり得ます。

個人的な話になると、自身が映画のどの部分に関わりたくて志望しているのかをしっかりと言語化すべきだったと後悔しています。(企画、製作、営業や宣伝、興行、二次利用の部門)
また、エンタメ業界を志望されている方皆に共通しますが、コンテンツに触れた際の感情を言語化することを普段からやっておいた方が良いです。この際に、ビジネス視点で消費者を見ることができれば更に◎。
好きな映画は?と聞かれてもしっかり答えられるようにしておきましょう。


〇最後に(少しネガティブです)
リスクヘッジとして自分の志望する分野に関連する業界や職種を並行しながら就職活動に取り組むべきだと思います。
今回取り上げた3社はエンタメ業界の中でも恐ろしく難易度が高いです。私自身これに本当の意味で気づけたのは本選考が始まる直前でした。自身が映画を使って何を成し遂げたいかを考える中でエンタメや他の業界で共通点を見出しすことをオススメします。エンタメ一本にこだわるならば、マイナビやワンキャリに載っていない企業様も数多く存在するのでご自身の足を使って調べてみて下さい。
少し脱線しましたが、本選考がはじまる3月に向けて就職活動と並行してコンテンツにどんどん触れていきましょう。斜に構えず、ミーハー気分でコンテンツに触れ、生産者視点で何故ヒットしたのかを自分なりに考えた蓄積がポテンシャル選考の新卒採用では重要だと感じました。


長くなりましたが最後までお付き合いいただきありがとうございました。 

参考資料
東宝株式会社 新卒採用2022 (saiyo-info.net)
東映株式会社 新卒採用サイト (toei.co.jp)
松竹のビジネス|松竹株式会社 新卒採用 (shochiku.co.jp)

執筆者  :縁下( @vm8GWOzFINyol6f )


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