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お人好しの日本人はトランプにも裏切られる

日本でもトランプ支持者は多そうだ。確かに彼が大統領に再選されたら(そして彼が運よく嘘つきでなかったら)、ウクライナ戦争は終わるかもしれないし、イスラエル・ハマス戦争も区切りがつくかもしれない。資金を止めるというのだから戦争は継続できない。それで、「任期中に戦争を起こさなかった数少ない大統領のひとり」とかの「歴史的」評価と相俟って、「平和の使者」などと勘違いされるのかもしれない。だが、熱心なトランプ・ファンには悪いが、おそらくその期待は裏切られる。支持者たちはトランプが相当根深い反中派(というより、反アジア派)だという私的怨嗟に近いバックグラウンドを忘れてはいないだろうか。今熱心に親トランプを表明している特に日本の「良心的」人々がそう遠くない将来、地団駄を踏んで歯噛みをすることになると予想できないほどに想像力が欠如しているのだろうか。何故トランプがそこまで全能的存在として信用できるのであろうか。

不動産経営者としてのドナルド・トランプは、中国財閥に対する反感を自分のビジネス経営の中で培った可能性が高い。彼が任期中に中台戦争が実現する方に動いたとしても不思議はないし、すでにそのための布石をかつて大統領であった時に打ってある。米国の台湾側への軍事的梃入れは、中国にとっては実に腹の立つ当該地域の不安定化要素だ。アメリカが何もしなければ中台関係は変化せずに推移する。しかし、台湾が相対的に強くなるとなれば、そうなる前に中華人民共和国が手を打つ判断を採ってもおかしくはなく、それは米政権の台湾への肩入れが直接原因だ。つまり米国はすでに台湾有事を準備してきて久しいのだが、西側のメディアはそうした米国の動きを一切報じない。ウクライナでの米国の梃入れやロシア侵攻の前に、10年も先んじてウクライナに対して米国が行ってきていた悪事をメディアが報じてこなかったことと、まったく同じ構図となる。

トランプは米軍を東アジアから撤退させたい。政府の財布から金が流出することをすぐにでも止めたいし、米軍兵士を極東や東南海などで無駄に死なせたくないからだ。そして何よりも米中戦争などという「即、核戦争」に直結する紛争当事国にはなりたくないからだ。だから紛争の火種を撒いて、いつでも言いなりの日本を戦争の惨禍に引き摺り込んだとしても、米国は絶対にその当事者にはならない。あくまでもウクライナ戦争における米政権の立場と同じ態度を中台紛争においても貫く。他ならぬトランプが貫く。そして「台湾有事は日本有事」という何の根拠もないスローガン通りに日本を戦争に駆り立てておいて、やるのは兵器の供与だけで、米国の兵器産業を超え太らせるための、「他人の戦争」に過ぎない。つまり、ウクライナから資金を引き上げるのは、その資金をやがてくる対中国戦争に回すための、言い換えれば、米国の対露、対中という両面作戦を回避するための力の転換に他ならないのだ。

おそらく岸田首相は一見してトンチンカンとしか思えない外交活動を展開しているが、日本がすでに中台戦争に巻き込まれることがアメリカのシンクタンクのシナリオ通りに「織り込み済み」なのをよく理解している前提なのだ。日本が他所の戦争に巻き込まれるのが避けられないのであれば、せめて味方だけは増やしておきたい。アメリカが頼りにならないなら、せめて欧州連合は味方に付けたい。この、日本の安全保障の観点で何の役にも立ちそうもないNATOへの擦り寄りというおよそ理解不能に見える外交努力も、日本が戦争当事国になることが決定済みであるからこその、足掻きであると捉えれば、なるほど納得できる動きではないか。

https://www.youtube.com/watch?v=qC-HYrM4ln8
(この胡散臭い人物は半ば引退しているアメリカの政策に影響を与えるシンクタンクのメンバーのひとりだ。DSのことを評しつつ、本人がDSのひとり。つまり米政権の起こす事態について、あらかじめ知る立場にいるインサイダーなのだ。そうしたインサイダー情報の一部を日本国内の一部の金持ちに明かしてどちらの側に投資するのが得かということを指南して金持ちから金を巻き上げるやり方で小銭を稼いでいるような人物。まあ、愛国者を僭称する悪人で、アメリカの投資ファンドのようなことを日本でやっている実にさかしい人物だが、今後何が起こるのかについてその辺で推論ばかりを述べる「評論家」たち以上に参考になることを呟くのでこういうのはたまにチェックしてみるのがいい。)

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