江口寿史イラストレーション展 彼女 -世界の誰にも描けない君の絵を描いている-を観てきた。
かねてより、ずっと観に行きたいと思っていた「江口寿史先生のイラストレーション展 彼女」に行ってきた。場所は、千葉県立美術館。入場料は500円だが交通費の方がかかる状況だが鑑賞料と思えば安いものだ。事実、鑑賞後の今、尚、自らの感情の洪水というか、マグマが噴き出すというのかいろんな思いがよぎり、まだ、興奮の真っただ中にいる。
現在49歳の私は江口先生の作品に出会ったのはいつだろうか?確か、1981年ぐらいでいとの家に遊びに行ったときに部屋に置いてあったDr.スランプとストップ!!!ひばりくんの単行本だったと思う。小学校に入って間もない自分にとっての10歳以上年の離れたいとこがハマる世界に、瞬く間に魅了された。理屈とかそんなものはどうでもよく、感性で子ども心に革命がもたらさされる瞬間は今も色あせない。
ギャグ漫画でありながら学園の恋愛モノ、、、あとで振り返ればその後ハマった「ツルモク独身寮」も江口先生の多大な影響を受けていたのではないかと勝手に推測している。
「あれから何年経ったのか?」
もはやいいおっさんになった私だが、今更ながらになんでこんなにハマっているんだろうとこの際だから考えようとはしてみたものの、どこか虚しい。というのも先生の描く作品は「みんな好き」なのだ。ハマる自分が特別ではない。多くの人を虜にする力が先生の作品にあるということは自明の理だ。「広瀬すずってかわいいよね」というぐらい情報価値のないことだ。
みんなに好かれる理由を紐解くのは、置いといて自分が何をどう見ているのか?どう心が震えているのかは記すのもいいかのかもしれない。さて、解説文だったか、江口先生の作品は現代の美人画か?という説明もあったが、ちなみにドイツのニンフェンブルク城にある美人画ギャラリーは王様が愛した女性を飾っているものであり、江口先生の描く彼女とは趣旨が違うだろうと思うが参考までに乗せておこう。(江口先生がここを訪れる番組とか面白うそうだな。)
さて今回の展示会、章ごとに作品の中身が変わり、ほかにライブドローイングや映像コーナーもあり、500円の入場料とは思えないほどの充実ぶりである。(これを見たのが2023年1月9日、期限は15日まで)ちなみに撮影は自由。撮りたい放題である。なので私もありがたく写真を撮り、拡散する。
第1章は「遭逢|ポップの美神たち」と題し、2000年代のCDジャケットやらの作品群が並ぶ。「ロックの美術館」の表紙やら、銀杏BOYZのジャケットのひばりくんのイラストなど、一度はお目にかかった作品がご挨拶だ。
で、大瀧詠一さんの「A LONG VACATION」40thトリュビュートイラストの前でパチリ。これまでの人生でアイドル追っかけなど一度もやったことはないが、一緒に収まりたい衝動を抑えられず。撮ってもうた。
実はこの後展示会の構成として、
第2章 恋慕|マンガからイラストレーションへ 1977年
第3章 素顔|美少女のいる風景 1999年ー2000年
第4章 艶麗|ワインを持った女たち 2002年~
第5章 青春|音楽とファッション 2000年~
第6章 慈愛|いまを生きる女たち 2014年~
等身大スタンドポップ・壁シート貼り作品
映像、ライブドローイング、千葉特別展示「すすめパイレーツ」扉絵イラストの世界という流れになっている。
時系列で、、、というのは美術作品において作者の手法とか進化具合とか時代背景と絡めて味合うのが常だろうがこと、先生の作品の場合、その時代の彼女であるので、自然とその時のファッションを見ると自ずといつの作品であるのか、分かるのは面白いものである。これは先生の作品の系譜を見ると同時にファッション史を見るのと同義でもある。
会場入り口で今回の「出品目録」を手にしたことで最初は、どういう風に瞳の描き方を変えているのか?どういう構図で描いているのか?とかその変化ぶりを楽しもうとしていたが、ずっと作品を見るにつけ、それもまた、どうでもよくなってきた。
次第に展示室に時折先生の言葉と思われる貼り紙が要所に配置されているのに気付いた。
最後の言葉に特にハッとさせられた。ひばりくんも、男に生まれたがゆえに理想の女性を求めていく、そこに江口先生の作品の原動力があったのかと今回、初めて知ることになる。
でも、鑑賞者である私は違う。先生の作品は「こんな子と一度でいいからデートしたいな」「この子は実際、付き合ったらどんなだろう」という永遠に手に入らない妄想恋愛へ駆り立てるれっきとした、私にとってのアイドルである。現実のアイドルに焦がれることが一切なかったが江口先生の描く女性には妄想したくなるキュートさが常にあり、私にとってひたすらに恋愛対象で見ている。それが実に楽しい。
けど、いろいろと作品を見ていると、それ以外の感情も沸々と湧き上がってくる。それはクリエイターとしての目線になるのだろうが、とにかく描かれる女性がどんな場面であれ、とにかくキラキラしているのだ。
これが写真なら、きらめく一瞬を捉えるのだろうが、イラストは違う。その一瞬は切り抜く行為ではなくすべて創作である。モデルはきっと実在するのだろうが江口寿史という目が見たフェイルターのすごさを感じぜずにはいられない。で、私になりに勝手に再編集というか、くくりをつけてみた。
背景編
先生の描く作品には通底してリアリティーがあると思っているのだが、それは時代性であるファッションとか影とか服の皺とか、細部にも宿るのだが
とりわけ、背景の絵の細部へのこだわりも尋常ではない。そんな私の好きなポイントを集めたのが次の作品群だ。
と、背景の圧倒的なリアリティーがより女の子の命を吹き込んでいるのだが、ラスト2枚に関しては「見返り美人」も意識してるのかなと思う。で、ちょっと目線を変えてアド街風というのもある。
アド街風編
で、何気に好きなこのイラスト。看板のさびれ具合というのかな。鈴木英人さんを彷彿とさせる一枚。ジーンズの破け具合とか最高にいい。時々、友達のFacebookを見るとこの手のラフなスタイルでいる子を見かける。数年後、スタイリッシュないい女になってるんだよな、これが。
ワインを持った女たち
これはコーナーにもなっているのだが、やはりワインという一本のボトルを徹底的にリアルに描くことで女性の美しさが際立つ。またポージングもなんて可愛いのかと恋愛モードさせる。
やばいな、パンツのチラ見せが。。。しかもジーンズのホックが外れてる絶妙すぎるセクシースタイルだな、品があるんだよね。
なんだろうな、さすがにこんな後ろ向きで持っている女の子には出会ったことがないがこんな子と付き合ったらという妄想全開モードの作品だ。
キュートエロ編
江口先生の描く作品にもエロというか、「性的」ニュアンスがにじむ作品があるがとにかくキュートだ。下着メーカーとか声を掛けたくなる仕上がりだろう。で、何気にアングルとしては彼氏にしか見せないというか、知りえない無防備なショットにハッとさせられるのだ。
ガテン系
なんだろうか、あえてガテン系と名付けたが従来、男性の仕事場とかそんなものに女性がいることでの違和感とかがやけにキュートだ。
とまあ、ほかにも「空編」とか「音楽編」「目線編」という見どころもあるが個人で楽しもう。
先生の作品を見ていると、彼女たちはいつもキラキラしている。仕事をしている時もだらだらしている時もキラキラしている。どうやったらこの子と付き合えるかと妄想する自分もまた、楽しい。
さて、Planet of foodの最新作は
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