人生ブランコ11月11日「特に特徴がないのが特徴です」
文章を書いてると、手垢のついた表現というのは極力避けたいものだ。
「隠れ家的レストラン」とか「全米が泣いた」とか「グラビア界の最終兵器」とか。まあ、いろいろあるだろう。というフリを書いたのには訳がある。
昨日、青森への旅行に行ってたのだがそこで最終日に立ち寄ったのが青森県営の浅虫水族館である。虫であるのに水族館ってのがいい。
大人になるとそうそう、水族館から足も遠のくが時間も空いたので寄ってきた。いきなり入り口を抜けると出迎えるのはウミガメである。デカい。知ってたけど間近で見るとやはりデカい。そして何より目が怖い。亀の目ってこんな怖いのかと知る。別の言い方をするとちょっと歌舞伎ちっくな目元でもある。
一方で、こちらのフグはなんとかわいい事。文章も思わず小学3年生レベルになる。
生憎、名前を忘れた。写真を撮るのに夢中になりすぎた。と書いたところでさて、今回の本題である。それは「むつ湾のカレイ~君は全てわかるかな?~」という説明書きを見た時だった。
ややもすると、見過ごしがちだが放送作家としての嗅覚が働いた。他のカレイにはそれなりの解説がされているのだが、マコガレイは違った。
「特に特徴がないのが特徴です」と書いてある。
これはどうなんだろう。もしも自分がマコガレイだとしたら?自己紹介ならぬ他己紹介されたとしよう。 「島津君は特に代表作もなく、これといった特徴はありません」と紹介されたらかなりのトラウマな案件である。水族館の職員はこれをどう見るのだろう?上司もまた「そうだね、マコガレイは特徴ないからねー」と言ったのだろうか?テレビの世界で「特に特徴がないのが特徴」というナレーション書いたら次から仕事は来ない気はする。
でもここに表現の妙があるなと思う。どう考えてもプロがやる仕事とは思えないのだが私のような人間の心に刺さっているのだ。数多のきちんとした説明書きを差し置いて記憶に残るフレーズとなっている。
テレビを作ってる頃はよく、どう突っ込ませるポイントを残すのかはひとつのテクニックだと思ってきた。そういう意味ではつい突っ込みたくなる要素を兼ね備えている。1周周っていいような気もする。手垢どころか新鮮な気すらする。
ちなみにこんな文章もあった。
大きなお世話である。これが人間界なら炎上案件のフレーズだ。さらに興味深かったのは「食」に絡めての説明書きだ。
「青森で食べられるサメの代表」である。
水族館で「キレイだな」と言うか「美味しそう」だなと分かれるのはある種の定番だが説明書きでも徹底してるのが新鮮であった。芸術作品しかり、水族館の説明書きも見どころだなとつくづく気づく体験であった。
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まじな話ね。
よろしくお願いします。
青森観光の記事。こちらは弘前城の「菊と紅葉まつり」