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2011年9月5日日記「ふっつうだなー」

※昔、ミクシィに掲載していた日記を掲載中

名言はどこに潜んでいるのか?
取材対象者から引き出そうと思っても中々、引きだせるものじゃない。
ディレクターはVTRの終盤に
「あなたにとって○○とは?」と
最後に紋切り型の質問をするが
大概は「私にとって○○は人生そのものです」とか
ありきたりの返事が返ってくる。
それじゃ、納得できんのだよ。


先日、TBSの「なんだ君はTV」という番組で
虫ガールと称して
「昆虫を食べる会」の人たちを紹介した。
その日は、セミアイスといって
アブラゼミを素揚げしたものをアイスクリームに
載せて、みんなわいわいと試食し合っていた。


会に参加する人々に
ディレクターがインタビューを試みた。
すると、みんな口を揃えたように言う。


「ああ、美味しいですね」
「全然、イケますね」
「うん、美味い」と答えた。


会に参加するだけあってみんな好奇心旺盛なのだろう。
無理して「美味しい」と言ってるわけではなさそうだった。
そんな中、虫のTシャツを着た一人の女性がいた。
彼女は蜂の子を載せた丼をパクパクと食べ、
その時点で、ワンステージ高いレベルにいることは
ひしひしと伝わっていた。
そんな彼女が遂に「セミアイス」を口にし、こうつぶやいた。

「ふっつうだなあ~」


セリフは「ふっつうだなあ」だが
言葉の背景は深い。
それは長年、積み重ねた経験者だけが言える一言だった。
「セミのアイス」を食って、「ふっつうだなあ」って
そうそう言えないだろう。
「ふっつう」なのに名言という変な感覚がこれまた楽しい。
名言はどこに潜んでいるのか、分からんなあ。

 世界の主婦3人と柴犬による食にまつわるトークショーをやってます。最近の人気回「ずっと見ていられる調理風景」です。


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