毘沙門灌頂!
今年は寅年。
本当なら寅の月に行われるはずだった毘沙門灌頂、
コロナのため延期になり、10月になりました。
いよいよ明日から始まります。
なんだか暑いくらいの陽気ですが、非常に気候の良い今日この頃。
明日からの灌頂、良いお天気に恵まれそうですね。
週末を中心に行われますよ。
この灌頂は12年に一度、ご縁の寅年に行われます。
実は内容が毎回少しずつ異なっているそうで、
5回受けるとコンプリートになるそうです。
私は今回初めての入壇なので、あと4回。
…は無理かなあ(笑)48年かかるし。
灌頂はもともとはインドで国王が即位する時や、王子が立太子する時に
行われた儀式を仏教が取り入れたもので、
特に密教においては資格や位などを得る時に行われます。
昔のインドの即位式では、四つの大海の水を新国王となる人の
頭頂に注ぐことによって、彼が世界を掌握することを象徴しました。
仏教においては、修行を終えた菩薩が
諸仏から智慧の水を注がれることによって如来になるとされています。
密教においては、弟子入りして密教の学びを始める時、
一定の修行をして阿闍梨などの位を授かる時、
新しい学びを始めるための許可を得る時などに灌頂を受けます。
大学で、僧分で已灌頂の人だけが受けることのできる
伝授や講伝の性質を持つ授業を受けるときには
最初に大阿さま(先生)が洒水という水を注ぐ作法をしてくださいますが、
これも学ぶ前に簡易的な灌頂を受けているということ。
このように、日常的に灌頂を授かるシーンというのが多々あります。
また、在家の人でも入壇できる結縁灌頂は、特定の仏さまとの
ご縁を結ぶために行われます。
高野山でも久しぶりにこの10月1、2、3日に
秋季金剛界結縁灌頂が行われましたよ。
今回の毘沙門灌頂も、毘沙門さまとのご縁を結ぶ
結縁灌頂の性格を持つもの。
毘沙門さまファンや寅年の方にとっては、毘沙門さまとの
ご縁を深める絶好のチャンスです。
こういった結縁灌頂は一度受ければそれで十分
と思いがちなのですけど、
灌頂の機会に遭遇することがあればできる限り受けたほうがいい、
というのが私のお師僧さまが教えてくださったこと。
灌頂というのは、仏さまの智慧の水、智水を注がれる儀式。
仏の智慧を得ることを目指して密教を学ぶ者にとっては、
本や資料で勉強したり修法を重ねたりという三次元的な努力だけではなく
儀式で象徴的に与えられるものを受け取ることも同じくらい重要なもの。
ですので、その機会があることを知ったらできる限り逃さず
積極的に受けなさい、ということですね。
智慧の水は注がれれば注がれるほどいいわけですし(笑)
灌頂の智水は、言うなれば
行者である私たちが本来持っている仏の本質を引き出すために
仏さまの側から注がれる呼び水でもあるわけです。
密教は象徴の教え。
シンボリックな儀式の持つ力や意味というものを
重視するのは当然、ともいえるでしょう。
とはいえ、入壇料などお金もかかることですし
何かの節目の年に特別に行われることが多いうえ
関係者や檀信徒であることが条件だったり、
紹介が必要だったりすることもありますので
なかなか次々片っ端から、ともいかないことも確かです。
そういう中で、この毘沙門灌頂や
高野山の結縁灌頂(今年は制限があったようですが)など
広く一般の人でも入壇できるものはなかなか貴重。
機会があれば参加してみることをお勧めします!
次の高野山の春季胎蔵界結縁灌頂はどういう形になるか
まだはっきりしませんが、一番受けやすいのはここかな?
来年5月3、4、5日です。
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