人は人のなかで繋がり生きて生かされるていく
こういう仕事があることをはじめて知った。驚いたし少し怖いなと思った。
上書きしちゃえば、なかったことになるなんて消しゴムみたいだなぁと思った。
本屋で買うのを迷った本だったけれど、「東京ロンダリング」というタイトルがどうしても気になって面白くなくてもいいか、と買ってみた。そう思える本は案外少ないのだけれど、読んでよかったと思える本だった。
ありえない設定がいくつも重なる内容で、後半はミステリーのような展開でドキドキしたけれど、読み終わった後はさらりと心地よくもう一度読み返したくなった。
東京という大きな町には、自分が知らない世界がまだたくさんあるのだろう、東京という町もロンダリング(浄化)という仕事も知りたいと思ったし、一方で人はいつか死ぬんだから特別なことじゃないよな、とも思う。
主人公は、都内の物件を転々と移動しながら事故物件を浄化する仕事をしている。帰る場所も居場所をなくしてた女性だ。訳アリ物件と訳アリな人。
どちらも、誰とも深くかかわらずに存在したくても、誰ともかかわらずに生きているつもりでも、どこかで誰かと何らかのかかわりをもって、人の中で生きている。
人を傷つけ傷つけられてひっそりひとりでいたくても、人のなかで再生していく。生きるとは、人の中にいてどこかで何かしら人と関わっていくこと。
人の気配を感じて暮らしていくということ。
たとえひとりきりで暮らしたいと思っても、帰る場所がなくても、人が生活する音や声を感じられる場所を自然に求めている。それを失った時、生きる力も失うのだな、とこの本を読んで感じた。
人は人の中で生きていかされる。
袖すり合うも他生の縁、緩くてもいい明確でなくてもいい、人はつながりを求めているのだと思う。
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