土地の声が聞こえるワイン
姫路山陽店スタッフの藤井理史です。
皆さんは初めて飲んだワインのことを覚えていますか?初めて飲んだワインは、味わいと共に当時の記憶と強く結びついているものだったりします。
今回は、そんな私が初めて飲んだワインとワインの持つ魅力について、書かせていただきます。
エーデルワインとの出会い
私が学生時代を宮城県仙台市で過ごし、ワインをはじめ日本酒やウイスキーまで、お酒の原点の多くを学びました。大学では農学部ということもあり、微生物を扱うことも多かったため、東北地方にある酒蔵やワイナリーにも足を運んでいて、自然とお酒に興味を持つようになりました。
そんな私が初めてワインに触れたのは、大学時代に初めて訪れた岩手県にあるワイナリー「エーデルワイン」でした。
エーデルワインは明治から昭和を代表する文豪、宮沢賢治の出身地で有名な花巻市に位置する、岩手県の中でも最大規模を誇る老舗ワイナリー。東北の規模の大きな生産差が県外ブドウも使用することが多い中で、岩手県内栽培のブドウにこだわっている生産者でもあります。
そこで初めて口にしたのが「五月長根葡萄園リースリングリオン」でした。
記憶に残っているのはテロワール
初めてのワインの試飲は、所謂「テイスティング」であるわけで、「このワインには青リンゴを思わせる非常にクリーンなアロマ、清涼感のある酸が心地いいですね」…という言葉が出てくるはずもなく、当たり前かもしれませんが「オイシイデスネ」という表現しか出てきませんでした。
ただ、初めてのワイナリー訪問で飲むワインだからこそ、味わいだけは覚えようと必死でしたが、その時に覚えているのは、大迫を吹き抜ける清々しい風とマルカンの大食堂です。
それから、本格的にワインを知りたい、学びたいと思った時に思い出したのは、その時に飲んだワインの味わいと花巻市の風土、ワイン的な言葉で表現するならば「テロワール」でしょうか。
花巻の夏場にも関わらず、夕方に抜ける頬をなでる優しく穏やかな風と、宮沢賢治が記した「雨にも負けず。風にも負けず」。
決して押しつけがましいわけではなく、染み入るように飲み手に寄り添ってくれつつも凛と佇んでいるような印象でした。
人の心や土地に寄り添うワイン
有名なワイン評論家であるヒュー・ジョンソンは、ワインを「サン・パロール」、「言葉のない漫画」と記したこともありました。
しかし、言葉がなくとも雄弁に「私はこうだ!」と自身の生まれなどを語りかけてくれるワインが私はたまらなく好きです。
現在はペアリング全盛で、ロゼワインやオレンジワインなど食事に合わせて輝くワインや気軽に楽しめるワインが非常にトレンドとなっていますが、人の心や土地に寄り添い、どのような料理に合わせるかを超えて、ワイン自身のオリジンがしっかりと感じられるワインもまた素晴らしいのではないでしょうか。
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エノテカでは、「皆さんが笑顔になって、豊かな時間を過ごすとき、そのシーンに相応しいワインに巡り合っていただきたい」と思っています。
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