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短歌連作ネプリ「連弾の春」感想文
うたの日でご活躍中の芍薬さん(@yuritanyogini)と天田銀河さん(@tancaloid_ginga)からなる有楽町チョコミンツのおふたりが編まれた連作ネプリ「連弾の春」を読みました。
有楽町チョコミンツはR2ぐらんぷりで誕生したペアで、以下の歌を投稿されました。
鍵盤を昨夜の指が駆け抜ける好戦的な獣のように 天田銀河×芍薬
私はこの歌を特選としました。
(はずがシステムがわかっていなかったのかエラーなのかわからないけど点数反映されてなかった…土下座)
この歌を作る過程で生まれた歌たちを見事な連作に仕上げたのが今回の「連弾の春」ということです。
雨、花、蝶など、儚げな永遠ではないものが散りばめられているように思います。そもそも連作タイトルにも入っている「春」という四季も移ろうものです。作中主体の心の移ろいも投影されているように感じます。
冒頭を飾る芍薬さんの「prelude~ready to bloom~」と締めくくる天田さんの「postlude~before sunrise~」の対比が素晴らしく好きです。夜から朝まで、一晩を共にした(であろう)ふたりの濃密な恋の連作です。大人…!
全体を通して好きな歌を一首ずつひかせて頂きます。
地下書庫の匂いを連れて退社するわたしは雨にばかり好かれる 芍薬
以前、図書館で半年ほどアルバイトしていたことがあり、地下書庫独特の湿度管理された香りが蘇りました。その香りと雨を結びつけたことが素敵です。「雨にばかり」と言うけど太陽にも好かれたいのかなと思いきや、この主体は決してこの雨の雰囲気が嫌いではないと思います。しっとり。
羽化をしたばかりの翅の不自由さであなたを抱いたあの雨の朝 天田銀河
蝶々が羽化をする瞬間を思い出します。ぎこちないけど繊細に「あなた」を抱いたという景色が美しく浮かび上がります。雨の日の朝特有の薄暗さが不自由さとも相まって気怠い雰囲気を醸し出していて素敵です。声に出して読みたい下の句(芍薬さんが好きそうです)。
こちらのネプリは4月19日23:59まで出力可能です。
予約番号は15043340、A3白黒、20円(セブンイレブン)
QRコードから読めるおまけのシークレットトラックも付いているよ♪
まだの人はセブンイレブンへ急げ!