鏡

短歌連作「君は不完全」

背を向けているのに君の不躾な冷たい足にからまれる夜

聞きたくもない出来事を聞きながらなるべく温い言葉で返す

追い焚きのボタンを探すこともなく冷えるに任せ僕らは氷る

二度寝して浅い夢見る 太陽は照らすどころか雲に隠れる

眼を入れて髪を伸ばして顔を描く 完全体になってゆく君

玄関でギロチン台の音がした 電車は遅延しているらしい

※短歌連作サークル「あみもの」第十一号を改敲

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