【家族】出産したあと「死ねる」と思ったはなし

母親のインタビューなどでよくみられる
「この子を産んだ時『絶対私が守らなきゃ』って思ったんです」
ということば。

実は私、感じたことがありません。

むしろ逆で、産んだあと
「あ、もう私死んでも大丈夫だな」と思いました。

だって、産んだら、助産婦さんたちが抱き上げてくれる。
なにかあったら、保育器にいれてくれて
ミルクやおむつを世話してくれる。

「私でなければいけない理由」が、
どこにもないんです。

「あぁ、お腹にいるあいだは確かに『私』しか赤ちゃんを
守ることはできないけれど、産んだあとはわたしでなくてもいいんだなぁ…」

出産したあとの最初の挫折だったのかもしれません。
 
赤ちゃん、すぐ抱っこしたかったなぁ。
おっぱい、すぐにあげたかったなぁ。
 
「私でなければいけない」って
思いたかったなぁ。。。
 
帝王切開で動けない私は
じぃっと天井を見つめるしかなかったのを覚えています。

数日赤ちゃんに会えなくて、
会えるのは看護師さんばかり。
「赤ちゃん、元気ですよー」なんてほんとかどうかわからないことを
言われても、うれしくもなく。

産んだあとの無力感たるや。
 
1人目のときは、それでもなんとかがんばって一日早く会わせてもらって
2人目のときは、絶対安静であきらめるしかなくて
3人目のときは、もう開き直って本を読みまくる。

そんな出産でした。

産んだあとは
「母親でなければいけない」ことなんて、ないんです。

今の日本は
ミルクもあれば、病院も整っている。
困ったら、保護する体制は整っている(はず)。
少なくとも、訴えさえすれば
こどもの命を危険にさらす自治体はない。

「母親でなければいけない」こともなければ
「父親でなければできないこと」もありません。

この事実に思いがけず直面した時は
かなり悲しかったけれど
育児をするうえで前向きになれる気づきでもありました。

自分で抱えずに、声をかけてくれる人たちの
手を借りながら、育ててもらおう。

これが今の私がたどりついた
ひとつの育児の在り方です。

サポートしてくれたあなたに、幸あれ!