常野物語について
中高生時代恩田陸先生の本をよく読んでいました。なかでも好きだったのが「ドミノ」と「光の帝国」からはじまる常野物語シリーズです。
どこか好きかと聞かれたとき、「ざっくりわくわくするところ」とお話ししましたが、よくよく考えるとちょっと違うかもしれない。後に出来上がる好みに多大な影響を与えた作品、なので、”好きなところ”を語るのが難しいのです。影響を与えられたな、と思うところは本当にたくさんある。この作品自体の構成もそうだし、異能力を持った一族概念もそうだし、書見台の子の話もそう。禁書目録とか、蟲師のあの子とか、最近だと司書正が好きなんですけど、そういうものの始まりがこれなような気がする。SCPの「多元宇宙とたんぽぽのお酒」というSS?が好きなのですが、その好きの気持ちも遡ると、そこには「蒲公英草子」があるような気がする。
中高と自転車通学だったのですが、部活の関係で朝6時過ぎに家をでていた時期は片手で「光の帝国」を持って読みながら登校していました。いま思うとめちゃくちゃ危ない。「蒲公英草子」は数学の時間にこっそり読んでいたのを今でも覚えています。いま思うとめちゃくちゃよくない。
学生時代に読み親しんだものは、後々の好みの礎となるうえに、その時々の思い出とセットで大切なものになってしまうので、普通にちょっと面白い作品じゃ太刀打ちできなくなってしまうのが面白いなと思います。
学生じゃなくなってから読んだ恩田陸先生の著作では、蜜蜂と遠雷も好きです。当時「うわ!こんなの面白くないわけないじゃん!」となった感覚を未だに覚えています。いちごケーキの美味しいいちごの部分だけで物語が出来上がっているような作品。本当にすごい作品だったな、読み返したいな…せっかくなのでピアノの森も一緒に、いつか。