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生きづらい地球を愛してみる

台湾留学中の友人から電話がかかってきたのは、軽い外出と昼寝を済ませてぼんやりとベッドに寝転がっていた時だった。
同じアルバイト先で働いていた彼女とは、日ごろほとんど連絡は取り合わないが今回のように何だかんだ数回通話する、という緩いつながりを保つ関係性だ。
つい先日、そのアルバイトを辞めることをLINEで伝えていたのでそれで電話を寄越してきたのだろう。
開口一番、件の失恋について一部始終を友人に報告し、一通り文句を言い合って他愛もない話をする。
恋愛に就活にと良いことが何もない私と、楽しいことが何も無いという友人で脳みそを介さない会話がだらだらと続いた。

「地球大好き」
そんな会話の中で彼女が冗談交じりにつぶやいたその言葉が胸に残った。
おそらく「(こんなに可愛い推しがいる)地球大好き」という文脈で放たれた、どうしようもなくバカみたいな言葉だったのだけれど、でもそんなドデカい対象を愛していると言える彼女のスケールの大きさにどこかホッとした自分がいた。
そして、「確かにこの地球は愛おしい」と納得した自分がいた。
とんでもない振られ方をして、内定の一つもくれやしない世界だけれど、それでも計り知れない愛おしさをこの地球はどこかに秘めている。
それは胸を動かされる素敵な音楽だったり、近所のカフェで食べたふわふわのホットケーキだったり、都会の並木道の木漏れ日だったり、帰り道寄ったコンビニのラス1のファミチキだったりする。
そんなくだらなくて無駄なことかもしれないものたちが存在する地球が、その友人の言葉で確かに愛おしく感じた。

まだまだ未練たらしく泣いてしまう自分も、授業中に爆笑をかましてしまう友人も、こうして一生懸命この愛おしい地球の上で生きていて、その愛おしいものの仲間入りをしている。
そう考えると、生きづらいけどまだまだこの地球という星を愛しながら生きていたいと思えた。


今日のアルバム
「Sky Blue Sky」-Wilco

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