たすく(枝輪祐)

たすく(枝輪祐)

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はんなり、しっぽり、シュワシュワ

元気に動き回れる日と、一日中眠い日が交互にやってくる。交互にやってくるので、それにあわせて生活している。不意にやってくるのではないので、修羅や苦難という訳ではないけど、この生活がいつまで続くのだろうと頭の片隅ではぼんやりと考えていたり…。もしかしたら、そんな真実。 窓をあけて眠るのはとてもよかった、と明日恋人に伝えようと思う。国道を走る車の音がする。それ以外はまるで静かなのだが、車の音は、静穏な水面に落とされた水滴が波紋を生むような、ある種の自然さを帯びた喧騒で。胸中に心地

    • たぶん、秋海の泡沫。

      深紅色をした十年物のクッションをぽーんと乱暴に蹴り上げると、部屋の隅にへばりつくように収まった。布団を敷く。今晩の僕は眠ることが使命で、でも眠るには、体力とか、集中力とか、バランス感覚とか、いろんなものがいる。 なぜ僕が突然こんな風に文筆を逸っているのかというと、それは穂村弘を読んだからです。穂村弘の「ラインマーカーズ」。恋人が僕の誕生日にくれた本。恋人はたまに本をくれる。中原中也の「汚れちまった悲しみに」とか。僕も本をあげる。読み終わってなくてもあげることもある。何故なら

      • 先生、もう帰っちゃうんですか

        • 丁寧な暮らしごっこ

          「本を持ち歩く習慣をつけたいね」  そう言って恋人は、一冊の文庫本をかばんにしまった。寺山修司だか、江國香織だか、とにかくひいきにしている作家の本。恋人は本が好きで、よく本の話をする。今日はこんな本を読んだよ。この話がおもしろかったよ。それはとても色とりどりな話だ。時に楽しげだったり、時に寂しかったりする。僕は、そんな話を聞くのが好き。と言いつつ、楽しそうな恋人が見たくて、恋人が好きで、惚れてるからかもしれない。  恋人の真似をして、僕も本をかばんに入れてみた。かばんはち