フリー病理医だから見える景色 フリーランス病理医日記2022年12月
2022年が終わろうとしている。
今年もいろいろなことがあったが、なんと言っても大きいのはロシアのウクライナ侵攻だろう。
あれ以来、世界は大きく変わったと思うし、私たちも変わった。もちろん突然変わったわけではなく、変わったことが私たちの目の前に出てきただけとも言える。
安倍元首相の「暗殺」も衝撃的だった。あれ以来いろいろなものが噴き出してきた感じがする。「すずめの戸締まり」でみた、地下を蠢いていた「ミミズ」のようなものが地上に出てきたような感じだろうか。映画を見ていない人には恐縮な表現だが。
そんな中、淡々とフリーランス業を続けていた私にも大きな変化があった。
詳しくは有料部分に書くが、頼まれて良かれと思ってやったことが裏目に出てしまうという出来事がなんと言っても大きい。人の頼み事を安請け合いしてはいけないということを痛感した。なんでもハイハイいうから、「国際ロマンス型詐欺」に遭いそうになるし。ロマンス詐欺じゃないですよ。あくまでロマンス型。
ともかくこれによって私の働き方も大きく変わった。休みがなくなり、睡眠時間が激減したのだ。幸い毎日1万5千歩歩く生活を続けて、体調は悪くはないのだが、「睡眠負債」的なものは溜まり続けているなと思う。
「後ろ盾」がないフリーランスの弱さを痛感した一年だったと思う。
こうした中、以前から続けている中国に渡った基礎科学研究者を記事で援護する活動とともに、雇い止め問題にも深くコミットすることになった。
私も請われて上記の「研究者の雇用安定を求める有志」に参加した。また、各地で講演会をしたり、記事を書いたり、取材を受けたりとできる限りのことはした。
こうしたことも、組織に所属しないフリーランスだからできることなのかなと思っている。
このように、病理医の仕事をフリーランスでやりながら収入を得つつ、組織に属さないことでできる情報発信などを行うというスタイルが、波乱がありつつもなんとか板についてきた年だとも言える。
フリーでないとできない発言もした。
医学界の大物の問題を顔出し、実名出しで批判できるのは、まさにフリーランスだからと言える。
フリーになって3年。どこにも寄る方がない独立した存在だからこそ見える景色はより明瞭な色彩を帯びているように思える。フリーの強さと弱さの両方を痛感した一年だったと言える。
というわけで、ようやく板についてきたフリーランス病理医の生活。当然来年も続けるわけだが、さてどうするか。
まずは仕事を整理して、睡眠時間を確保したい。
そして本の出版をなんとかしたい。複数の依頼があるが、この生活ではなかなかできない。noteに毎日文章を書くのは、実は本を書く「筋トレ」であり、一部は本の草稿でもある。幸い200日以上連続で描き続けており、20万字以上は書いているわけだ。スマホで隙間時間で書くスタイルが確立したので、これを続けたい。
こうした生活を続け、雇い止め問題の解決など、フリーだからこそできる活動を続けていきたい。どこの組織にも所属していないからこそ、立場の違う人をつなげることができる。そう思ってなんとか独立独歩を保ちたい。
来年も変わらずよろしくお願いいたします。
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