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傍流医師として生きる

 いつも刺激的な記事を書かれている東大卒の人生を考える会さんが、興味深い記事を出していた。

ある職種が有する価値は基本的に2つの尺度で評価される。

その2つとは、社内価値と社外価値の2つである。

社内価値が高いとはつまり、社内で出世しやすくマネジメントを目指していけるポジションのことを指す。

社外価値が高いとは、その専門性や経験から転職市場において評価が高いことを指す。

この2つの軸を用意した時に、ある職種は基本的に4つに分類することが出来ることが分かる。

①社内価値も社外価値も高い
②社会価値は高いが、社外価値は低い
③社内価値は低いが、社外価値は高い
④社内価値も社外価値も低い

上記記事

 落ち武者、つまり傍流系の部署に勤めている社員というのは3に相当するという。

 社内価値はいわゆるメンバーシップ型雇用、ジョブ型雇用なら幹部に適応される部分だ。

 社外価値が一般的なジョブ型雇用の世界だ。

 この分類を医師に当てはめてみれば、色々なことが言えるなあと思う。

 1が教授や病院の院長など幹部になる医師、3が一般の勤務医や開業医、4がキャリア初期の医師や、大学病院などに囲い込まれている医師ということになるだろう。

 そう、2があまりないのだ。強いて当てはめれば、研究主体の医師で、出身校以外に出たことがないとか、臨床の経験がないという感じか。

 今話題の東京女子医大の元理事長の逮捕なんかは、創業一族出身ということであれだけの権限を持ったわけで、女子医大以外では一切通用しない権力だったと言える。

 ともかく医師含め、ジョブ型の専門職というのはおおむね3に相当し、社内価値的なものを追求しなくても、収入的にも、そして心理的にも満足できる。傍流社員に近い部分がある。

 再受験や学士編入など遠回りして医師になる者がそこそこいるのは、メンバーシップ型なら不利益になる年齢というファクターが、さほど影響を与えないからだ。社内的価値を無視できるのも大きい。

 さらに、うまくできているなあと思うのが、大学に勤務し社内的価値を得る医師は年収が低めで、社会的価値を捨てて働いたほうが年収が高いという点だ。地位と収入が反比例する傾向にあるのだ。

 勝者総取りにならないのも、医師のよいところだ。

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