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中国「144時間トランジットビザ免除」 上海~温州 乗り鉄の旅

最近の日中関係の悪化ですっかり近くて遠い国になってしまった中国。
それでも中国鉄路に乗ってみたい!という中国語が全くできないオタクは、144時間トランジットビザ免除プログラムを使い、「汚染水」問題で大騒ぎの中国へ渡航、上海から在来線の客車列車のヒルネと高鉄を使い浙江省温州市への乗り鉄旅へ行きました。



旅行の概要

旅程

8/28
羽田~上海浦東 Peach MM899( 2:45~5:00)
上海外灘を散策

上海南駅~金華駅 K351次列車(10:13~14:13)
金華駅~温州南駅 G1994次列車(15:39~17:15)
温州市内散策

8/29
温州の下町を散策
温州駅~金華南駅 K1238次列車(11:30~15:50)
金華南駅~上海虹橋 G7310次列車(16:49~18:56)
上海虹橋~上海浦東空港 机場一線(バス)

8/30
上海浦東~仁川 中国南方航空 CZ369 (7:20~10:30)
仁川~成田 アシアナ航空 OZ106(15:50~18:15)


144時間トランジットビザ免除について

中国に行きたい勢の間では、既に結構な認知度の高さになっているであろう
「144時間トランジットビザ免除」。簡単に言えば「ソウル~上海~東京」や「東京~上海~ソウル」のように、中国に入国する前に滞在していた国とは違う第三国に出国すれば、定められた条件の下144時間ノービザでの滞在を許しますよ、という政策です。

今回は「羽田~上海~仁川~成田」という旅程で航空券を取り、無事入国ができました。
ネット上では帰国便の席の指定や航空券の取り方等の細かい議論が多く見られましたが、上海の入国審査では帰国便のEチケットの写しだけを提示すればOKでした。恐らく帰国便の座席の指定までは必要ないです。
(上海~仁川・仁川~成田は別切りの航空券を買いました)

地域によって入国審査の厳しさが違うようですが、上海の場合は帰国便の情報と、滞在先の情報があれば、中国語が一切できず、中学レベルの英語力しかない私のような人間でもスムーズに入国審査を通過できました。

リンク先ブログの記事が今回の旅行に大変役立ちました。また肌感覚的にこの執筆者の方のリラックス感は上海の入国審査の温度感とマッチしていると思います。


旅行へGO!

中国入国

8/28日のPeachの羽田~上海の深夜便で中国へ。チェックインカウンターでは144時間トランジットビザ免除で入国する旨を伝え、上海~仁川の英文チケットの写しを出力した紙を提示。144時間トランジット免除の利用率は高いようで、数分の確認の後スムーズにチェックインができました。
搭乗率は三列シートに各1名づつ程度で、LCCながら片道4万円近い運賃は致し方無いのかなぁ…といった感じ。

ガラガラの機内

乗客の8割以上は中国人だと思われましたが、がらがらの深夜便なので機内は沈黙、うとうとしたりしていたらあっという間に上海浦東空港に到着。

上海の入国審査も早朝ということもありガラガラ。
外国人の入境カウンターの一番奥に144時間トランジットビザ用の窓口がありましたが、可動はしておらず、空港スタッフにメモ帳に書いた「144小时过境免签」の文字を見せたら、臨時入境用の入国カードの置いてある場所や、書き方まで指導をしてもらえました。谢谢!

一般の入国審査ゲートに並び、入国審査官に滞在日数と「目的地」の第三国の国を伝え、中文のEチケットの写しを渡したら審査はそれで終わり。
5分程ゲート外のベンチで待機したら無事に臨時入境シールが貼られたパスポートが戻ってきました。第一関門を突破しました。

臨時入境許可

第二の関門はキャッシュレス決済が浸透した中国で、独自のQR決済アプリが使用できるか否か。
一応400元の現金は持ってきましたが、それだけでは足りるはずもなく、また現金決済は露骨に嫌がられる等の話を聞いているのでドキドキでした。
日本でVISAのクレジットカードに紐づけてきたAlipayで、空港内の自販機で決済をしてみたら無事決済ができこれまた一安心。

ネット回線は初めてのesim、入境は変則的なビザ無し入国、そして不調が多いとされる外国人のAlipay利用まで、すべてがスムーズに進み旅の準備が整いいざ上海市街へ向かいます。

上海

上海市街へは地下鉄二号線で向かいます。始発は6時からなので改札が開くまで結構待ちます。もっと早い時間でも需要はありそうですが、共産国の公営鉄道なのでそこらへんはキッチリ決まっているのでしょう。

浦東空港発の時点で立ち客あり、幸い私は席を確保できましたが結構な乗車率の高さ。上海外灘の最寄り駅の南京東路まで1時間、途中から朝ラッシュも始まったので席を確保できて良かったけど、樹脂製の硬い椅子にずっと座っているのはちょっとしんどい….
南京東路の駅を出るといきなりシャレオツな旧租界の街並みが広がります。


南京東路駅付近
お約束の上海タワー
広場舞。中国へ来た感すごい。
路地も良い雰囲気
朝食は生煎包。かわいい急須に入っている赤酢のような色の甘酢が美味しい。


生まれて初めて見たトロリーバス


地中化されていない電線が好


雨予報でしたが、雲の多い晴れでめちゃくちゃ蒸し暑い。地下鉄人民広場駅から一号線で上海南駅まで移動。いざ乗り鉄の旅へ~

・上海南~金華 K351次列車 
・金華~温州南 G1994次列車

上海南駅から浙江省の金華まで、在来線客車列車の硬臥で向かいます。
温州に行くなら上海から高鉄(新幹線)で直接行けば良いじゃないという話だけど、私は列車に乗ることを目的に渡航しているので、わざわざ遠回りをします。

列車は上海から遠く四川省の成都まで向かう超直距離列車。私は浙江省から外には出られないので金華までの乗車。
ボーっと車窓を眺めたり、寝台に横になったり、腹が減ったら食堂車で飯を食うなど、気ままな4時間の列車旅。

金華から温州は高鉄、こちらは普通の新幹線。

中国の鉄道の乗り方は下記リンクに詳しくあるので、興味のある方はご参照くださいませ。


上海南駅
杭州を過ぎて硬座から移ってきた人が来るまで、
寝台の一区画貸切。
隣の子連れが賑やかだけどそれもまた旅の味



食堂車は乗務員の休憩所みたいな感じで若干気まずい
辣子鶏は想像したのと違いフレッシュの青唐辛子と鶏肉の炒め物。
成都鉄路局担当の列車なのでしっかり辛い。


列車は浙江省ののどかな田園風景の中を進む


金華駅 駅の周りはやや閑散としている。
痰を吐く人民が多く、上海から来ると田舎に来たなと実感。
金華から温州までは高鉄でワープ。

温州

高鉄で温州南駅に到着、疲れていたのでタクシーで宿まで。
高層ビルの間を通る都市高速上で自転車レースのような位置取りをしながら走るタクシーはかなりスリリングでした。

宿は温州の目抜き通りの五馬街の眼の前という好立地。早速五馬街をぶらつきます。
五馬街は中華民国期前後に建てられた建物をリノベーションした商業施設が立ち並びます。インスタ映えしそうな街並みでした。
ここで妻と子供へのお土産を購入、ちゃんとしたお店しか無い通りなので、子供服は日本で西松屋価格に慣れた身としては高く感じました。


縁日のような雰囲気

翌朝は早朝からやってる包子屋で朝食を取り(青菜だけの中華まんが美味しかった)瓯江沿いの下町の古い町並みを歩きました。

市内を流れる瓯江
多くの現役家屋が史跡認定されていました。
裏路地にも監視カメラ。監視社会です
永宁巷の入口。この付近に低層住宅が密集していま

共産党施設の史跡のようです。

壁面には文革っぽい感じのスローガンが残っています


B109路バスで温州駅へ向かう。
この路線は途中から専用車線を走るBRTになっている。


温州駅


あまり見られなくなった社会主義核心価値観の
モニュメントが健在。

温州駅11時30分発のK1238次で金華へ向かいます。列車に乗り込む際の身分証チェックの後、列車員が日本人がうんたらとヒソヒソ話をしていて、ああ「汚染水」の話ししてるんだろうなぁと思いながら列車に乗り込む。

温州と金華を結ぶ在来線の金温貨線は非電化単線、
架線の無い駅構内はスッキリ。



嵩上げされていない低床ホーム、
一昔前の中国の鉄道の雰囲気が残っている。
軟臥のコンパートメントは最後まで貸切。

温州の市街地を抜けると車窓は、川と湿っぽい山が続く日本と同じような風景が続きます。

金温貨線は定尺レールなので「ガタンゴトン」というジョイント音が常に聞こえます、これは高規格の鉄道路線が多い中国では珍しいようです。

食事は食堂車で皆大好き西紅柿炒鶏蛋。不味いという心配の無い安心の一品。

長大編成の客車列車の寝台車で寝そべりながらローカル線を旅するという、日本では遠い昔に失われた鉄道旅行の原点を味わえました。


金華南からは高鉄で上海虹橋駅まで。駅の待合室のサイネージに流れている新疆ウイグルでの新線建設のプロパガンダ映像を見すぎてちょっと食傷気味。

高鉄では指定の座席におばさんが座ってるというよくあるイベントが発生。交渉する語学力が無いので通りがかった客室乗務員に頼みどうにか席を確保。おばさんはその客車乗務員と揉めていたので自分で話しかけなくて良かった…

上海虹橋駅に隣接する虹桥天地购物中心という、ルミネのようなショッピングセンターで海老餃子を食べました。
オーダーはテーブルのQRコードをAlipayでスキャンしてスマホ上で注文し同時に決済を完了するシステム。夕食時の忙しい時間帯にこのお店で現金決済をすることは難しいかもしれません。

明日早朝の飛行機で上海を発つので、エアポートバスで浦東空港に向かいました。朝夕のラッシュ時間で無ければ虹橋からは地下鉄よりバスのほうが楽だと思います。
到着後は空港直結の大衆空港賓館に投宿。翌日は7時20分発の飛行機なのでさっさと寝ました。

帰国

帰りはソウル経由で帰国。朝の浦東空港は結構混んでいて、南航のチェックインカウンターでも保安検査でもかなり並び、空港の大きさと相まって搭乗口に到着したのは搭乗開始時間ピッタリ。少し焦りました。
WeChatのミニアプリを使って申告する「中国税関出入国健康申告」のQRコードはもはやスキャンも何も無く、QRコードを表示したスマホ画面を空港職員が目視で確認する謎システムになっていました、なんじゃそりゃ?

何も前情報を仕入れていなかったので登場口まで電車に乗ることにビビる

仁川では5時間の乗換時間を使って空港鉄道で空港の隣の雲西という街へ。街のカルグクス?屋さんで食事。中国では見られなかったお店のおばさんのビジネス笑顔が眩しかった。

雲西、溢れるハングルを除けば日本に帰ってきたみたいな感覚に
本場のキムチは美味しかった。

仁川~成田の飛行機内は中国便とは違い観光客で埋まり賑やかな雰囲気。

海外旅行初心者には少し難しい旅程での旅行に挑戦しましたが、これといったトラブルも無く無事日本に帰国、あっという間の二日間の旅行でした。
私のニーハオと没有ぐらいしかわからない中国語力では現地での反日ムードの高まりを感じることはできず、意外と親切な中国の方のお陰で快適で楽しい旅を送ることができました。谢谢!


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