長男の妻も今後は安心?! 介護に報いる特別寄与料
【相続法改正⑥】
長男の妻も今後は安心?!
介護に報いる特別寄与料
☆夫の親御さんの介護をしている方
☆妻に親御さんの介護をしてもらっている方
☆将来、夫の親御さんを介護する可能性のある方
は特にお読みください(^^)
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アシストします!
弁護士の盛田哲矢です(^^)
本日は、
長男の妻も今後は安心?!
介護に報いる特別寄与料
のお話です!
1 特別寄与料とは
特別寄与料とは、
亡くなった方の親族が、
亡くなった方の介護などをしていた場合に、
所定の条件を満たせば認められる
金銭の支払いを求める権利です。
請求する相手は、相続人です。
最もわかりやすいのは、
亡くなった方と同居していた長男の妻が
亡くなった方の介護をしていた場合ですね!
この特別寄与料は、
2019年7月1日以降に発生した相続から
適用されます。
2 どうして特別寄与料がつくられたのか
⑴ 寄与分は相続人にしかない
どうして特別寄与料が新設されたのでしょうか。
寄与分という制度と関係があります。
寄与分とは、
亡くなった方の「相続人」が
亡くなった方の介護等をしていた場合に、
所定の条件を満たせば認められる
相続分を増やすためのものです。
ここでポイントとなるのが、
「相続人」という点です。
そうです。
「相続人」にしか認められていないので、
長男の妻のように相続人でない親族には
寄与分を認めようがないのです。
⑵ 妻の介護が報われないのは不公平
したがって、
長男の妻が夫の親御さんを
一生懸命に介護していたとしても、
相続のときには考慮してもらえず、
報われないことが多いのです。
これでは不公平でしょう、
ということで、
特別寄与料が新設されました。
3 特別寄与料のメリット
特別寄与料のメリットは、
相続人以外の親族にも、
相続のときに、
介護等の報いとして、
金銭の支払いを求めることができるようになった
ことです(^^)
一生懸命に介護をした
長男の妻に、
相続のときに他の相続人から
金銭の支払いを受けることができる
可能性がでてきたのです!
金額は、
寄与の時期や寄与の程度など
様々な事情を踏まえて
決めることになるので、
一概にはいえませんが、
100万円などの特別寄与料が認められる
可能性はあるのではないでしょうか?
この改正は、
さまざまな週刊誌に取り上げられたり、
インターネット上でも
話題になっていますね(^^)
4 特別寄与料は万能ではない
しかし、実は私は、
特別寄与料を過信してはいけない
と考えています。
⑴ 内縁、同性愛者の方は救済されない
特別寄与料が認められるのは、
「親族」に限られます。
したがって、
法律上、「親族」ではない
・内縁の配偶者
・同性愛者
の方は、救済されないのです。
例えば、
事実婚で長年連れ添った方が、
パートナーの親御さんの介護を
一生懸命にしていたとしても、
特別寄与料は認められないのです。
同性愛者どうしのカップルが、
パートナーの親御さんの介護を
一生懸命にしていたとしても、
特別寄与料は認められないのです。
このような場合は、
一生懸命に介護等を行なっても
金銭的には「0円」ということになってしまいます。
⑵ 亡くなった方の財産の維持・増加が必要
特別寄与料が認められるためには、
亡くなった方の財産を維持または増加させることが
必要です。
このハードルは低くないと思います。
例えば、
亡くなった方が
本当は施設に入所しなければいけない状態
だったのに、
施設へ入所させずに面倒を見た
などの事情が必要です。
これは一例ですが、
ただ面倒をみているだけだったときに、
亡くなった方の財産を維持・増加させたことになるか
というと、
疑問を感じるのは私だけではない
と思います。
財産を維持・増加させることができたことを
特別寄与料を請求する側が
立証しなければならないはずです。
これができなければ、
「0円」ということになってしまいます。
このハードルを越えることが
できるかどうかは、
一つの障害になると思います。
⑶ 特別の寄与が必要
特別寄与料が認められるためには、
特別の寄与が必要です。
ここでいう特別の寄与は、
寄与分のものよりは緩やかに考えてよい
ようですが、
それでも、
「その者の貢献に報いるのが相当と
認められる程度の顕著な貢献」
があったことが必要ということになっています。
どのようなものが、
この特別の寄与に該当するのかは、
今後の事例の積み重ねを待たないと
なんともいえないところがありますが、
「顕著な貢献」とされているので、
単に同居して面倒を見ていましたくらいでは
特別の寄与があったと認められない可能性もある
ように思われます。
この特別の寄与も、
特別寄与料を請求する側が
立証しなければならないはずです。
これができなければ、
はやり「0円」ということに
なってしまいます。
特別の寄与があったといえるかも、
一つの障害になりそうです。
⑷ 特別寄与料を請求することによる争族
長男の妻が行った介護が報われないのは
不公平だという一般論は
よく理解できるのですが、
具体的なケースを見ていると、
疑問を感じるケースも多々あるのが現状です。
たとえば、
長男の妻が介護をしていた部分はあったものの、
長男の親御さんと長男の妻の
仲がよくないということは
たくさんあります。
長男のきょうだいの方は、
たまに会う親御さんから、
長男の妻の愚痴を聞かされていることも
たくさんあります。
そのような中、
相続が発生したときに、
長男の妻が特別寄与料を請求したとしたら、
長男のきょうだいの方は、
どう思うでしょうか?
きっと、良い思いはしないでしょうし、
特別寄与料を認めまいと
争うことが予想されますよね?
このように、
特別寄与料が新設されたことによる
新たな争族も増えていくことでしょう。
⑸ 万能ではない
このように、特別寄与料は、
これまで報われなかった方が救われるようになる
一方で、
制度から漏れる人がいたり、
認められるためのハードルは低くなかったり、
新たな争族を招く可能性があったり、
決して万能といえるものではありません。
5 結局、遺言書が最も有効
そうすると、結局のところ、
遺言書を作成し、
その中で介護への報いも踏まえた
財産の分け方を決めておく
というのが、
もっとも確実で、
円満な相続に繋がる方法だ
ということになります(^^)
ただし、
遺言書があっても、
相続人のだれかが作成させたようなもの
の場合には、
遺言書の有効性を巡って
結局、争族になってしまうことも
あります。
遺言書は、
自分の意思で、
自分の思いを伝えるために作成するというのが、
とても重要です(^^)
以前のnote記事
「遺言書は『もめないため』に書くものではない?!」
でも書いていますので、
読んでみてください(^^)
6 まとめ
・特別寄与料は、相続人以外の親族がした介護などに報いるためのもの
・例えば、長男の妻が介護を一生懸命にしていたときに、相続人に金銭請求できるようになる可能性がある
・内縁の方、同性愛者の方は救済されない
・特別寄与料が認められるハードルは低くない
・遺言書で介護への配慮を見せておくのが最も有効
・遺言書は自分の意思で書かないと、争族を回避できない可能性がある
以上、
【すべての相続を「円満相続」に】
【だれもが夢をもてる社会へ】
家族・会社の世代交代をアシストする
弁護士の盛田哲矢でした!