記念日だった日に一人でソファを迎えたり。
何年か前のこの日。「付き合おうか」とかなんとか言われて、ドキドキソワソワしてたんだろうけど。今年は一人で一人用のソファを迎えている。ようこそ。
時の流れの早さと、記憶の良さと、心の回復。
嗚呼、人生。
何年か前の浮かれていたであろう当時の私に言ってみたいな。「数年後、仕事終わりの夕方、一人でソファの配達を待ってんだよ。」って。なんて顔するかな。何も未来を知らない恋のプールに溺れてる私は、そんなこと信じないだろうな。
本当に、何もかも忘れてしまうし、乗り越えてしまえてきちゃったな。
そもそも何年前の記念日だったかさえちゃんと覚えてないし、去年のこの日に何をしてたかさえ覚えてない。
多分いつか、めちゃくちゃ泣いた日の一年後にはめちゃくちゃに笑ってる日も来るだろうし、めちゃくちゃ大雨が降った日の一年後にはカラッカラの晴れになる日もあるんだろうな。
一年前、一ヶ月前、いや一週間前のことすら。セーターの糸を引っ張ると思いの外、ほろほろと解けてしまうみたいに、色んな記憶を無くしていくんだろうな。
悲しい?まあ、辛いことはずっと覚えていたくないから、都合の良い頭の機能と捉えようかな。
でも嬉しいことは覚えておきたいかも。
お供えのメロンが美味しかった日。夏なのに結構涼しかった日。友達と無限に遊んだ日。猫が日向ぼっこしてた日。たまたま良い店を見つけた日。
猫って、嬉しいことしか覚えてないらしい。
私も猫になって、嬉しかったことだけ思い出せるように記録していこうかな。それか、自然に身を任せて記録せずに頭の記憶力に委ねようかな。
とりあえず、新しい恋が始まろうとしていたあの日、の何年後かに、一人でソファを眺めてニヤニヤしてる私がいることは記録しておく。
これからソファを愛でる一生が始まる日。