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企業の採用面接、下手になっている?

人事のプロがいなくなってきている

先日、あるイベントで、人材サービスに関わる人たち、
つまり、採用支援企業で働く人たちや企業の人事担当者たち、
学校の就職課やキャリアセンターで働く人たち、
キャリアコンサルタント、学校の先生たちなどと
話をする機会がありました。
そこで、共通の話題として出たのが、
「最近、企業の人事担当者、採用担当者からプロがいなくなった」
ということ。
確かに一昔前に「プロ人事」などと呼ばれる方々が存在し、
人材採用や入社後の配置配属に至るまでを取り仕切り、
採用現場や育成現場はもちろんのこと、
経営陣や配属先の管理職に対しても、
人材関係において問題があれば、一言物申す!
といった人たちが存在していました。

ところが、昨今は、ジョブローテーションや人材の総合職化が進み、
一生涯を通じて、どっぷりと人事や採用に携わる人が少なくなりました。
おそらく、こういう状況から、
「最近、企業の人事担当者、採用担当者からプロがいなくなった」
ということになったんだと思います。

「ガクチカを訊くなんでナンセンスだよね」というCM

そんな折、ふとテレビを見ていると、
「コロナ時代の世の中。面接でガクチカを訊くなんてナンセンスだよね。」
という言葉が。これはあるCMだったのですが、唖然としてしまいました。

わからない人のために説明をしますと、
「ガクチカ」とは、新卒採用において、
企業の面接官が行なう「三大質問」の一つで、
自己PR、志望動機(理由)とともに、
学生に質問する「学生時代に力を入れたことはなんですか?」というもの。言葉的には、注力したでも、取り組んだ、でも良いのですが、とにかくこの「学生時代に力を入れたことはなんですか?」という質問を略して「ガクチカ」と呼ばれているわけです。

このCMでは、現在の大学生は、入学してすぐにコロナ時代に入り、授業はオンライン、アルバイトやサークル、部活なども制限され、旅行や留学、などなど、大学生として夢見ていたものができなくなった。
こんな中で、学生時代に力を入れたことなんてあるわけない。だからそれを質問するのはナンセンスだ、と言いたいのでしょう。

このCMを見た、面接官や人材関連の人たちはどう思ったのでしょうか?
僕は前述した通り、唖然としました。

何のための面接なのか?

あのCMを見て、「そうだよな」と納得された方は、
誤解を恐れずに言うと、面接官をお辞めなられたほうが良いですし、
人材関連の仕事から手を引かれた方が良いかと思います。

そもそも、面接とはなぜ、行なうのでしょうか?

本屋に行くと、面接に関するノウハウ本がたくさん並んでいます。
僕も、お客さんから質問事例が欲しいと言われます。

面接官をすると、何を質問したらいいのか?という思いがあり、
質問を事前に準備して、面接に臨むようになります。
そうするとどうなるのか?
一問一答の面接になって行きます。

もう一度問います。
なぜ、面接を行なうのか?

面接は、学生を含む求職者の「本質」の部分を見極めるために行ないます。
目の前の求職者の、行動・思考動機は何か?
価値観やこだわりは何か?
モノの見方や捉え方はどうなのか?
これを明らかにするのが、面接であり、面接官の役目です。

ところが、多くの面接では、表面に現れている、求職者自身が意識できている特性や特徴、学習経験で培ったモノなど、ともすれば状況や環境が変われば、すぐに変えること、変わってしまうような部分を質問し、さもその人のことがわかったようになります。
こうした面接に入社してきた方は、入社後に違和感やギャップを感じ、辞めていくことが多くなります。


面接官に必要なスキルとは?

つまり、面接は質問を事前に準備して、一問一答形式でのやり取りが展開されるのではなく、目の前の求職者に合わせて、その場、その場で質問を繰り出し、さらに求職者の回答を拾って、更に深めていくということができなければならないということです。

そのため、面接官は、「傾聴力」「インプット力」「質問力」「アウトプット力」「想像力」「創造力」「洞察力」が必要です。
さらには、他社と迷っている場合には、自社の魅力を伝えて、最終的には口説いて、自社への入社を決断させなければなりません。

さて、先程の、
「コロナ時代の世の中。面接でガクチカを訊くなんてナンセンスだよね。」
というCMの答え合わせですが、この質問をする面接官側の「意図」があるから質問をするのです。
何を意図しているのかは、面接官に聞いてみないとわかりません。
逆を言えば、求職者側は、質問をされた際、どんな意図を持って訊かれているのかを考える必要がある、ということです。

ちなみに僕が「ガクチカ」を訊く意図は、目の前の学生が、どんなことにならばのめり込むことができ、逆にのめり込めないものは何なのかを知りたいからです。これを訊いておかないと、入社後に、のめり込める仕事を重点的に任せられますし、のめり込めない仕事を任せて、やる気なく、問題を起こされては困るからです。


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