おわかれ
22年住んだ実家が引っ越すことになった。
引越し先は老人向けのマンション。
数十年のローンで購入した一軒家からすると手狭なマンションだ。
私が来年社会人になるということもあり、
また兄がアメリカにいることもあり、
60過ぎた両親には家の管理が大変だということでこのタイミングになったらしい。
なので引越し先のマンションには私が住む想定はされておらず、親が入る2部屋しかない。
ここ数日、我が家は引越し準備に日夜奔走している。
母から引越センターの箱を2つ受け取り
「これに入る分しかスペースあげないから」
と言ってきた。
ダンボール2箱
22年間かけて集めてきたチリツモをダンボール2箱にする。
私は渋々ダンボール2箱と向き合いながら選択に迫られている。
小学校の時に貰った手紙やアルバムなどの思い出類。音楽や本、漫画、お絵描き道具などの趣味類。
見れば見るほど、悩めばなやむほど、二度と手に入らないかけがいのない物のようにみえてくる。
でももう吹っ切れることにした。
人間死んだら骨壷に入る。
数十年使ってきた肉体ですら捨てる。
物は天国にも地獄にも持っていけない。
なら、変に考え過ぎずパッパと捨てよう
必要になったら集めればいいし、
本当に必要なものは周り回って帰ってくる。
きっとそういうものだと踏ん切りをつけた。
昔みた古い映画で
「物は人生の装飾品」
というセリフを思い出した。
物は所詮もの。その人を超えたアイデンティティになることは無いし、その人以上に表す物にはならない。
そんなことを考えながら、パラパラと思い出物とお別れしていく。