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感想:ゲイツ、マジェスティ 2号ライダーから学ぶ人生講座
皆さんこんにちは、たいらーです。
先日「騎士竜戦隊リュウソウジャー」が完結しましたね。
最初はその前の「ルパパト」が徹頭徹尾素晴らしい作品だったこともあり、どう楽しめばいいのか分からないところも多々ありましたが、終わってみればそういうところほど魅力。「愚かでも学ぶことで変わっていける」ことを話の構成も含めて体現してしまうという、特撮界でもなかなか見ない荒行を達成した作品として後世に語り継がれるでしょう。
あと「ルパパト」に引き続き後日談Vシネの情報がありませんが、個人的には生き残ったドルイドン3バカの珍道中が見たいですね。せっかく生き残ったプリシャスがどう成長するのかも気になります。
さて、それはそれとして今回感想を書くのは、平成ライダー最終作として話題を集めたTVシリーズ「仮面ライダージオウ」のその後を描く東映Vシネクスト
「仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ」です。
監督は東映特撮に多数関わり、ジオウでもゴースト回、クイズ回などでメガホンをとった諸田敏。脚本は本編でも多数のエピソードを手掛け、夏映画の後日談となるファイナルステージも担当した毛利亘宏。
すっかり恒例となった仮面ライダーTVシリーズの本編後を描くVシネマ作品。「エグゼイド」以降は「東映Vシネクスト」の発足により、円盤発売に先駆けて劇場で限定公開される流れができました。
新型肺炎の影響で舞台挨拶は中止となったものの、2月28日から公開が始まった本作。TOHOシネマズ西宮OSにて鑑賞してきました。
平成ライダーの総括として作られ、最終的には主人公にして我らが「最高最善の魔王」、常磐ソウゴが時空を再編することでレギュラーキャラが同じ学校に通う生徒という設定になり、「ここで完結するのではなく、より良い未来へ進む」という形で幕を閉じた「ジオウ」本編。
昨年末の「令和・ザ・ファーストジェネレーション」では一旦本編の状態に戻した上で話を展開しましたが、今回は完全に再編後の状態から新たな物語が始まります。
全体の感想としては……
かなり良かったです。
今回の主人公は本編では2068年からソウゴを倒すために現れ、最終的にソウゴを庇って死亡し、時空再編後に柔道部員の同級生になった明光院ゲイツ。「景都(渾名でゲイツ)」という名前の彼は、柔道で金メダルを取ることを夢見ていましたが、都大会で足に深刻な怪我を負いその道を諦めることになります。
本作のストーリーは、一度夢を諦めたゲイツが、様々な人との交流を経て自分の夢の原点に立ち返り、新しい目標を見つけるまでのお話。
ここで目を見張ったのが、1時間程度という映画としてはかなり短い尺で「学園青春モノ」をしっかりやりきってしまったところ。
ソウゴ、ゲイツ、ツクヨミに、本編では敵だったタイムジャッカー達も交えた新しい人間関係や生活模様の描写とストーリーが並行してサクサクと進む展開のスムーズさがまず見ていて気持ちいい辺り。
そして幼馴染ということになっているらしいメイン3人が、「夢」を巡って時には衝突しながらも終始「友達」としての距離感を保ちながら対話を重ねていくというのが、ジオウ本編からの繋がりで見るとどこか懐かしくも新鮮な空気を感じさせました。
後日談らしからぬフレッシュさに溢れた本作ですが、同時にこれは「仮面ライダージオウ」の、そして「平成ライダーシリーズ」の流れを汲む1本なんだと思わせてくれる周到さも兼ね備えているのがまた上手いところ。
それはメインキャラ達の関係や言動にも表れています(ウール君がまたオーラの尻に敷かれてたり)が、特に良かったのが「歴代の2号ライダー」達の登場シーン。
夢破れたゲイツの前に現れ、「人生の先輩」としてアドバイスやエールを送る伊達明/仮面ライダーバース、照井竜/仮面ライダーアクセル。照井の「大事なのは誰に何をしたいか」は非常に刺さる台詞でした(ここで会うカフェが「平ジェネFOREVER」で登場したカフェなのも地味にグッとくるポイント。照井はカフェオレを飲んだのでしょうか…)。
そしてこれを単なる楽観的な話で終わらせてくれないのが、ゲイツと直接は出会わなかった草加雅人/仮面ライダーカイザの登場シーン。
ウェットティッシュで手を拭くところのアップが映るのなんてこの人くらいでしょうが、「仮面ライダーになる事」が一面として持つ重みを今一度観客に分からせてくれるある種象徴的なシーンであり、ハッとさせられる下りでもありました(詳しくは「仮面ライダーファイズ」で)。
平成ライダーの様々な世界観が混ざり合った「ジオウ」の世界。この世界では「仮面ライダー」は人生の選択肢の1つであり、ゲイツは「自分が本当にやりたいこと」を思い出した末にその道を選ぶわけですが、その道もまた苦難が待っているということをキャラの配置で教えてくれているわけです。
「ジオウ」の後日談ならではの設定として面白い部分も多々ありました。
おいしい役割だったのはやはり改変の影響外にあった黒ウォズと、時空を越えるコソ泥、海東大樹/仮面ライダーディエンド。
海東は結局自己都合とはいえ本編の落とし前と言わんばかりの大活躍でしたね。ゲイツに一発殴られるのもまあ当たり前と言えば当たり前。
黒ウォズは今回終盤以降しか登場しないものの、我が魔王に再会した時の一言で思わず泣いてしまいました。完全に仕事忘れて推しになってますねあれは。
今回特に「敵をどうするのか」問題があったと思いますが、それも「白ウォズ」の解釈にまさかのツイストを加えることでクリア。同時に本編スウォルツ氏の何してんだお前度がアップ。
衝撃的だったのが「ソウゴとツクヨミは記憶が戻らず、海東の未来ノートで変身能力だけ取り戻す」という展開。理屈としては分かるものの「え⁉いきなりグランドジオウ⁉」と驚きを隠せない部分もありました。本来の白ウォズの力で今回の「白ウォズ」に対抗するというのは海東なりのエスプリなのでしょうか。
アクションもかなり良かったと思います。ツクヨミの必殺技披露やグランドジオウの召喚など、低予算で制作したであろう中で演出にも力が入っていました。ただ肝心のゲイツマジェスティが「ウォッチを押すと2号ライダーの武器が出てくるだけ」なのはもう一工夫欲しかったというのが正直なところ。
そして気になったのが戦いを終えた後の示唆に富んだラストシーン。ゲイツは黒ウォズのことも思い出し「救世主」の道を歩み出しますが、ソウゴとツクヨミには何も知らないままウォッチだけが残ってしまう結果となりました。ポストクレジットでも意味深なやり取りがあり、これはこの先への布石になったりするのでしょうか(単に「置いただけ」の可能性もありますね、「平成ライダー」なので)。
総括としては「ジオウ」のTVシリーズの後日談として、「NEXT TIME」を始める1作としてのバランスの非常に取れた、Vシネマシリーズでも相当出来の良い部類に入る作品だったという感想です。
「草加に変身シーンが無い」等批判されている部分もありますが、登場人物の多さに対して皆ちゃんとキャラ立ちができていましたし、終始無駄と言える場面も無くスーッと進行してこの尺で纏めきるのは結構驚異的な完成度じゃないでしょうか。
ゲイツの夢の話は色々と共感するところもありましたし、少なくとも「この続きが観たい!」という意味で「未来に向かいたくなる」と観た人に思わせる仕上がりにはなっていたと思います。
「ビルド NEW WORLD」シリーズの流れから言えばこの作品の売れ行き次第で「NEXT TIME」の今後が決まるでしょう。
もっとジオウが観たいと思った方、公開期間中に是非観に行ってください!
以上が「ゲイツ、マジェスティ」の感想です。
次回の予定はまだ決めていません。
候補としては東映つながりで三池崇史監督の「初恋」か、アカデミー主演女優賞を受賞した「ジュディ 虹の彼方に」のどちらかにしようと考えています。
それではまたお会いしましょう。
ここまでのお相手は、たいらーでした。