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「粒状えんどう豆たんぱく」を使ってプラントベースハンバーガーに挑戦-実験失敗編-


目指すは大豆ミート超え

こんにちは、ひよこ部のダンテ青木です。「プラントベースバーガー」や「ベジバーガー」などの商品を食べたこと、見かけたことはありますか?先日の記事「ソイパティバーガーを実食してみた!」でも紹介したファストフードチェーンに加え、レストランなどのメニューでも牛肉の代わりに植物性たんぱく質を使用したハンバーガーが最近続々と登場しています。

ブームの火付け役となった米国のImpossible Foods社のインポッシブルバーガーやBeyond Meat社のビヨンドバーガーは、食べた人が口々に「見た目も味も食感も、通常のハンバーガーと変わらない」といった感想を述べるそうですが、残念ながら現在(2021年7月)のところ日本では両社のパティは入手できず、バーガーとして提供する店舗もありません。正直なところ、これまでに自分が食べてみたものでは「見た目も味も食感も何かが違う...」と感じるものがほとんどでした(それぞれ美味しいのですが、やっぱり肉とは違うなと)。

調べてみた限り、現在国内で使用されているプラントベースパティの主原料はほぼすべてが大豆たんぱくを使用しているようです。それに対してビヨンドバーガーはえんどう豆たんぱくを使用。他には、IKEAが国内外の店舗内レストランで提供し好評されているというプラントベースボールにもえんどう豆が使われているそう。ひょっとして、えんどう豆でパティを作れば、大豆ミートバーガーが感じさせる壁のようなものを越えられるのではと思い立ち、今回は材料を揃えるところからDIYでえんどう豆ミートバーガーの調理に挑戦することにしました。比較対象として、粒状大豆たんぱくを使った大豆ミートバーガーも作ります。気分は大人の夏休み自由研究です。

参考にしたレシピと動画
ベースのレシピ:
・書籍『Making Vegan Meat: The Plant-Based Food Science Cookbook』Mark Thompson著 - "Making Meat Fat"と"Textured Protein Burger"の項
類似したレシピのYoutube動画:
・『DIY Impossible Burger The Secret Recipe is OUT!
(上述書籍の著者Mark Thompson氏の動画)
・『DIY Plant-Based Ground Beef | WTF - Ep. 179

Mark Thompson氏はバーガーをはじめ、ソーセージやチキンナゲット、ベーコンなどをプラントベースでDIYする料理動画を3年ほど前からYoutubeチャンネル「Sauce Stache」で公開し、その数百本もの動画のなかから厳選したレシピを書籍化したものが『Making Vegan Meat〜』です。

今回試してみるレシピの材料

書籍のレシピを基に出来上がりが大きめのパティ1枚ずつになるよう分量を調整し、以下のようなリストになりました。聞き慣れない調味料や添加物が並んでいますが、初回なのでできるだけ忠実に実践しようとしています(*印付きの材料はiHerbや米国Amazonで購入しました)。

A. 粒状えんどう豆たんぱくバーガー"ピーバーガー"の主原料
・粒状えんどう豆たんぱく* 60cc
・えんどう豆プロテインパウダー* 大さじ1
B. 粒状大豆たんぱくバーガー”ソイバーガー”の主原料
・粒状大豆たんぱく"TVP"* 60cc
・粒状大豆たんぱくのパウダー 大さじ1 (ソイプロテインの代用)
C. 共通の調味料(まとめて作った後A・B用に2等分)
・オニオンパウダー 小さじ1/4
・ガーリックパウダー 小さじ1/4
・ビーツパウダー 小さじ1/2
・ニュートリショナルイースト* 大さじ1 1/2
・マッシュルームパウダー* 小さじ1/4
・メチルセルロース* 小さじ1/2
・水 120cc
・リキッドスモーク* 小さじ1/4
・ブラックストラップモラセス(糖蜜)* 小さじ1/2
・リキッドアミノ(醤油代替品)* 小さじ1/4
D. 共通の"代替脂身"(おおよそパティ6枚分)
・水 60ml
・メチルセルロース * 小さじ1
・キサタンガム 小さじ1/2
・精製ココナッツオイル* 120ml
E. 共通のソースとバンズ(バーガー2個分)
・マヨネーズ、ケチャップ、レリッシュ 各大さじ1
・ごま付きバーガーバンズ 2個


今回使用する"粒状えんどう豆たんぱく”

商品名:Meatless Crumbles (Noble Plateブランド)…材料A https://www.amazon.com/gp/product/B08NTV42DV/
同様の製品が日本では流通していないので、米国Amazon.comで購入しました。原料は米国産のえんどう豆(Non-GMO)100%です。
粒は一般的なひき肉タイプの大豆ミートよりも少し大きめで、丸っぽいものとフレーク状の中間のような形状。豆っぽい匂いがしますが、一般的な大豆ミートの大豆っぽい匂いとは違う気がします。
えんどう豆プロテインパウダーは、開けた瞬間は大豆プロテインに似たものに感じましたが、色はより黄色く、豆の匂いは多少抑えられているような気がしました。(写真上)

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比較用として使用するのは、材料Bの粒状大豆タンパク"TVP"(Textured Vegetable Protein)
Bob’s Red Millという穀物系の輸入食品でよく見るブランドのものをiHerbで購入しました。食感や風味など多少変わるかもしれませんがスーパーなどで入手できる日本の大豆ミートでも代用できるはずです。
形状は細かめのフレーク状(輸送中に崩れた結果かもかもしれません)
このTVPに混ぜる脱脂大豆粉が手に入らなかったので、代わりにさきほどのTVPをミルサーでパウダー状にします。

味の決め手となる調味液

続いて、共通の調味料(材料C)をボウルで混ぜ合わせます。この液が、豆由来の粒状たんぱくにはない、肉っぽいうま味と風味を持たせる働きをするはずです。

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"代替脂身"の準備

主な材料を確認したところで、肉らしいジューシーさを生み出す一つの鍵、材料D:代替脂身を準備しておきます。

まず、Dの材料のうち、ココナッツオイル以外をミキサーで混ぜます。パウダーが溶けたら、ミキサーを回しながらゆーっくりとココナッツオイルを加えていきます。水と分離していないことを確認しながら、少しずつ加えるスピードを上げ、全量を投入します。すべての材料が混ざると、このような感じに。(写真中央)

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今回の分量はパティ6枚分なので、3回に分けて使えるようにボウルに入れてラップをします。冷凍庫に30分以上置き、冷やし固めます。

パティのタネ作り

パティの作り方は、材料A/B・C・Dを混ぜていくというシンプルなもの。
1.えんどう豆たんぱくミックス(A)と大豆たんぱくミックス(B)をそれぞれ混ぜる(左が大豆、右がえんどう豆)↓↓
ビーツパウダーのおかげで赤色がついて、リアルな肉感が出てきました。

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2.冷凍庫で固めた代替脂身(D)をフォークなどを使ってチャンク状に砕いて、さきほどのタネに加えて混ぜる。

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この時点で、左の大豆パティに比べて右のえんどう豆パティは粒が大きく目立っているのがわかります。

(左が大豆、右がえんどう豆)

パティの成形と焼き

それぞれのタネを手でパティに成形していきます。
大豆パティはしっかりと粘り気があり、一般的なハンバーグ状にできましたが、えんどう豆パティはくっつきが悪く、平たくしようとすると割れてしまうので、ボール型のままにしてフライパンで伸ばすことにしました。

熱したフライパンに入れて中火で焼いていきます。混ぜたココナッツオイルが溶け出すので油はしかなくてよいはず?

粒状えんどう豆たんぱく (1)

上から押して伸ばしたところ、見事に亀裂が入りました…
片面4〜6分焼いてひっくりかえします。亀裂はなんとかカバー。反対側も4〜6分ほど焼きます。

バーガーの仕上げと実食

材料Eを混ぜてソースを作り、バンズをフライパンかトースターで温めておきます。よりダイレクトにパティを比較できるよう、今回はチーズやその他のトッピングは入れません。あとはパティが焼き上がるタイミングに合わせてバンズにソースを塗り、焼けたパティをバンズに挟むだけ!

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断面確認してみます。

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見た目はかなりリアルなビーフパティ感があり、特にえんどう豆パティはレアでジューシーな肉肉しさが感じられます!食べてみると…!?(以下の反省と収穫につづく)

今回の実験の収穫と反省、次回以降に試してみること

〇 収穫や気づき
●ビーツパウダーの効果と注意:
・タネにビーツパウダーを加えることで赤身っぽくなり肉感がグッとアップしました。調理中も普通の感想大豆ミートを扱っているときより見た目で食欲をそそられる感じがしました。
・ただ、ひき肉と違い焼いて火が通った後でも表面以外は色が変化しないので、内部はレアというか生焼けのお肉のような色になりました。食べる方がレアっぽい見た目のハンバーガーはちょっと…という場合はパウダーの量や使用の有無を考える必要がありそうです。


〇 反省やミス
●パティ成形時に代替脂身がとけてしまった:
(A)、(B)、(C)の材料を混ぜ合わせた後に30分ほど馴染ませる工程を常温で行ったうえ、手で小判型にしようと苦戦している間に手の熱が伝わったため、冷やし固めてフレーク状にした油分が焼く前に溶けて小さくなってしまいました。混ぜた材料を冷やしておき、手早く(または冷やした手で)成形すれば、もっと脂身が中に留まってジューシーさが増すのではないかと思います。

リキッドスモークを入れすぎて風味の違いが隠れてしまった
・分量通り入れたはずなのですが、混ぜた段階で強い香りがつき、仕上がったバーガーでも燻製の匂いが(悪い意味で)全面に出てきて、粒状大豆たんぱくや粒状えんどう豆タンパクの風味の違いがほぼ区別できなくなりました…。使用したリキッドスモーク↓。ほんの少しの量で燻製の香りがつきます。

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焼く前に塩コショウをふるのを忘れた
成形出来た時点でほっとしてしまい、終盤に凡ミスしました。焼き上がり直前に気付いて焼き時間残り1分くらいで片面に加えたので、味の他に焼き目や食感などにも影響してしまったかもしれません。

〇 次回以降に試してみること

●調味料のレシピの調整:
・レア感を少し抑えるために、ビーツパウダーを少し減らしてみます
・風味の確認ができるよう、リキッドスモークを抜いてみます
・一旦納得のいく仕上がりになったら、食品添加物に該当する材料をどれだけ減らして出来を維持できるかを試してみるつもりです
● 粒状えんどう豆たんぱくの調整:
・えんどう豆バーガーはパティに粒感が目立ち過ぎていました。粒状えんどう豆タンパクを他の材料と混ぜ合わせる前に少し細かくするなどして、成形時の結着性や仕上がりの食感が改善するか試してみます
●他の粒状たんぱくを使用した比較:
・今回は比較用に米国ブランドのTVPを使用しましたが、次回は日本のスーパーで気軽に手に入る大豆粒状タンパクも使用してみます
・大豆、えんどう豆に留まらず、今後はひよこ豆やそら豆などのプラントベースたんぱく(パウダー/粒状)を使用した実験を行いたいと思っています。

By ダンテ青木
新潟県出身、コンサルタント・技術翻訳者。フリーランスxリモートのかたちで新潟市を拠点に活動し、ひよこ部では原料の輸入調達や商品・マーケティング企画を担当。 好きな食べ物は、ハンバーガー、チリビーンズ、ピザ、ひよこ豆。義理の兄弟はアメリカ人とイタリア人。

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