7/6 何が腹立つって!

モテ子は要領いいし、愛嬌もあるので、一気に人気になった。

それは構わないし、内心ホッとした。

嫌なのは上の人から色々モテ子に関して聞かれる事。

「あの子いいねー」ってまるで比べられてるようで・・・

私は頑なに堅物で愛想と技だけで接客を貫いていたので、なかなかお客さんが付かなかった。

おまけにスタイルも悪ければブスなんだから愛想良くしないとそれこそなんの価値もない。

それに比べてモテ子は別に抵抗ない人間なのでお金がもらえればなんでもやるって自分でも言ってた。それがなんとも理不尽に感じて・・・

どんなに真面目に頑張っても表向きの評価で決められる事にちょっとイライラした事は確かだった。

だけどそんな事を言っても言われても私の営業スタイルは変えられないし、

勝ち負けではない、自分がマイペースにやればいいだけって思って頑張った。

私は長く時間をかけてやっとランカーにまでなれた。

それをモテ子は数週間でランカーになった。

そんな時に店長から「モテ子ちゃんの事オーナー気に入ったみたいだよ」って聞いた。

「えーなにそれーどこでどう繋がったの?」聞いてみたら、

待機室の前でオーナーとすれ違った時にとても愛想のいい元気のいい可愛い子に会った、

あれは誰だって話になって、わざわざホテルの部屋を取ってモテ子を呼んだらしい。

もちろんそーゆー仲になったんだろう。

私はその話を聞いて「気持ち悪ーーーーー」としか思わなかった。

私はオーナーの事を知ってるし、会った事も話した事もある。

初めの頃、事務所のスタッフと営業に携わってて、オーナーのやり方を知った上で、

気に入らなかった。

女を利用価値でしか考えない金の亡者。儲かるための戦略は上手いかもしれないけど、

女の扱いはゴミ以下なのを知ってたので、モテ子に「オーナーは本当に辞めた方がいいよ!」って言ってしまった。

ちょうどその時、待機室の場所を個人的に変えたばかりでモテ子と話す機会がなくて、

かいつまんでしか話ができなかったのがいけなかったのか・・・

店長から「オーナーが事務所で呼んでるよ」って言ってきた。

事務所に行くとオーナーが「久しぶりだなー頑張ってるみたいだなー」そう言った。

オーナーが個室の会議室に入るように促して来たので、

一緒に個室に入り、オーナーの前に座った。

「モテ子から聞いてると思うんだけど、俺ら付き合ってるんだわ」

ちゃんちゃらおかしいわ、付き合うってなんだよ、オマエ既婚者じゃねーかって言いたくなった。

「はぁ」それしか答えようがない

「モテ子、優しいじゃんか、悩んじゃってさ・・・」

その時点で「んん???」ってなる。

「AKANEがどうもヤキモチ妬いて拗ねて自分を避けてるって言うんだよ」

キョトンとなった。

「は?何をどう誰にヤキモチ妬くんですか???」

「いや、わかるよオマエの気持ちもな」

ちょっとカッとなってしまった。

「私のなんの気持ちがわかるんですか?」

「お前はさ、入店時からなかなか上がれなくて、苦労して頑張ってやっと最近芽が出てきたわけじゃないか?そんな時にパッと入店して一気に上り詰めたモテ子に抜かれてるわけじゃんか、

その上オーナーである俺と関係ができてさ、羨ましい気持ちもわかるよ、そりゃやってらんないよな」

って一気に捲し立てるオーナーの言葉を聞いていて、腹立たしさしか感じなかった。

訳すると「冴えないオマエが頑張ってランカーになっても要領のいいモテ子には敵わないし、

俺みたいな金持ちに相手にされるモテ子にヤキモチ妬いちゃうよねーごめんね俺はAKANEちゃんには興味ないんだよねー好みじゃないもーん」

って事でしょ?

一個も当てはまらない!

「言わせていただきますが、一切羨ましい気持ちはありません。私オーナーの事興味ないし、

待機室がたまたま変わっただけなんで別に避けてません」

ランカーになるのはやりまくって自分から腰振ってたら嫌でも人気になるわ!とは

言わなかった。それは言う必要がないと思ったし単にやっかみだと思われるだけだと思ったから

違う意味で悔しかった。

そんなちっちゃいプライドのない人間と一緒の考え方だと思われた事が信じられないくらいに悔しかった。

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