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ゆるふわ兄妹の戯れ〜浴衣編〜

夏というのは何でこうも暑いのかと問いたくなります

トイレに行ったり、部屋の外に出たりするとクラッときたりして…

嫌になります


そんな時に限って、祭りとかがあるというのが罪ですよ

行きたくなるじゃないですか



桜:お兄ちゃん〜

◯:ん?どした?


リビングでエアコンに当たりながらプリントとにらめっこしてるところに

何やら長いものを携えた妹がやってきた


◯:なにそれ

桜:帯だよ、帯!

◯:あ〜、帯か…
 …え、何浴衣着るの?


暑さで脳がやられてるのか、変なことを言ってしまって妹は呆れ顔


◯:あ、ごめん…暑さにやられてるみたい

桜:まあ、お兄ちゃん夏弱いもんね
 しょうがないよ


と笑って言いつつ、帯を差し出してくる妹


◯:え、着付けをしろと?

桜:うん、お兄ちゃんならできるでしょ


とても信頼されているようで、嬉しいは嬉しいけど

さすがに着付けまではでき…



る。


◯:しょうがないな…
 中ちゃんと一枚着てよ?

桜:そこまで私は不用心じゃないよ
 浴衣から透けそうで怖いことは怖いけどね

◯:まあ、なんかあったら呼んで
 イカツイ顔したの連れて助けに行くから


そんな冗談を交えつつ、妹の部屋へ

何気に入るのは久しぶりです


◯:はい、じゃあまず腰紐結んじゃって?

桜:了解っ!


妹は綺麗な浴衣に袖を通すと、少しぎこちない動きながら腰紐を締めた


◯:んじゃ…持っててって言われるまではバンザイしててね

桜:なんか子どもに言ってるみたい…

◯:ちょっと思った

桜:むぅ…


はい、そうやってすぐ頬を膨らませるのなし

かわいいんだから…ほんと


微調整の為に襟や裾を直しながらしっかり帯を締めていると


桜:お兄ちゃんは、ほんとなんでもできるね

◯:ん?どうしたの急に


妹は少し寂しい声で言った


桜:私、こんなことできないもん
 みんなママから習ったの?

◯:あ〜、ママからは確かに教えてもらったけど
 着物の着付けはばぁちゃんだね

桜:ばぁば?

◯:何でも、おおばぁちゃんが明治生まれなもんだから死ぬまで着物着てたし、浴衣を縫ってたりしたからうるさかったらしいね


帯は締め終わり形を整えるだけになった

妹は話を続けた


桜:でも、私には教えてもらってないよ?

◯:そんな悲しい顔しないの
 桜には、もっと他のこと教えてくれてるでしょ?

桜:他のこと?

◯:着付けなんて、正直自分一人でできるもんじゃないからいいの
 大事なのは、メイクアップすること
 ママもそう言うと思うよ

桜:…子どもあやしてるみたい

◯:まだまだ子どもだよ
 桜も、僕もね


はい、おしまい

そう言って、妹から離れた


妹は姿見で浴衣姿を見て笑い

一周して笑顔になった


桜:私綺麗?

◯:うん、最高に綺麗だよ

桜:えへへ…ママにお化粧教えてもらってよかった

◯:桜、そういうの雑誌とかで見ないの?

桜:基本、ママか友達情報だね


妹はありがとう、と言って携帯をいじりだした

大方、友達と連絡を取っているのだろう


◯:さ、用無しのお兄ちゃんはリビングに戻りますかね

桜:待って、お兄ちゃん


妹が呼び止めたので振り向く

すると、少しだけ顔を赤くして


桜:和たちには、お兄ちゃんと一緒に来てもいいこと聞いてオッケーもらってるからさ
 一緒にいこ?


上目遣い…

それはまずいって…


◯:10分だけ待ってて
 すぐ終わらせるから


急がずにはいられなかった



桜:お兄ちゃんとデートだ〜


妹はそう言って、お友達の前でも腕に抱きついて離してくれず

ずっと一緒に回りました




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