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今年のお誕生日はカラオケへ

9月になったとはいえ、やはりこの暑さ…

残暑とかいうものではなく、普通に夏が続いているような感覚がするこのごろ


僕は、炎天下の駅前で人を待っています

一人は姉で、もう一人は姉の友達でもあり、僕の中高の後輩でもある子


綾:お、待った〜?

◯:暑い…

綾:まあ、そうだよね…
 てことで後ろ失礼


姉が先に到着し、僕の影に入って涼みだした

夏に外に出ると毎回こう

身長が高いからしょうがないらしいけど…


◯:普通にさっきより暑いんですけど?

綾:まぁまぁご愛嬌よ

◯:はいはい、わかりましたよ


最早注意する気すら失せている

そんな風にしてまた数分待つと


理:ごめ〜ん…!


とトテトテという効果音が似合いそうな歩みで、もう一人もやってきた


◯:よし、行こう
 すごい暑い

綾:私はそんなに暑くない〜

◯:梅澤さんとランチしてきたばっかりだもんね?

理:えぇ…いいなぁ
 僕もランチ誘ってよ〜


わちゃわちゃしていると、時々三兄弟に間違われたりするくらい仲が良かったりする僕たち

まあ、嫌な気はしないよね


◯:で、今年のお誕生日はカラオケですか

綾:そう!
 梅も誘おうとしたんだけど、用事があるらしく
 りりあを召喚しました

理:え…そういう理由だったの…

◯:まあ、こんなこともザラよ
 前なんて梅澤さん見ないからってロマンス映画に付き合わされたことあるし

理:◯◯も大変だ


と、色々と話しているうちに駅近のカラオケ店につき

サクッと受付を済ましてお部屋へ


綾:よし、じゃあはじめてのチューいきま〜す!

◯:飲み物持ってくるわ
 理々杏ちゃん何がいい?

理:え〜っとコーラかな

◯:あいあい
 で、姉さんはメロンソーダでいいのね?

綾:おん


こっちを見ることさえしない姉さんの返答を聞いて僕はドリンクを取りに部屋を出た

姉さんがはじめてのチュー歌ってる間に飲み物とかを調達してくるのが毎度毎度のルーティン


◯:あい、持ってきたよ〜

綾:おぉ、さすがは◯◯仕事が早い

理:ありがとね


二人にドリンクを渡したついでにデンモクで歌を入れる


綾:好きだね〜◯◯も

◯:これ歌わにゃ始まらんのよ

理:え…◯◯これ歌うの!?


理々杏ちゃんの驚きの声を耳に入れながら

僕は中森明菜ちゃんの十戒を歌う


◯:ほい、姉さん!

綾:もう…しょうがないな〜


ラスサビの前で姉さんにマイクを渡し、二人でセッション

時々テンション上がってるとやったりする


まあ、今回はパフォーマンスだけど…


◯:いやぁ…清々する

理:ストレス溜まりすぎでしょ…
 てか、普通こんなの歌わないって

綾:アニソンだけじゃなくて◯◯こういうのも好きだから
 会社入ったら可愛がられると思うんだよ

◯:いやはや就職楽しみだ

理:理由が不純すぎてるでしょ…


その後、理々杏ちゃんと姉さんがアニソン歌ったり

流行りのK-POP歌ったりして、ドリンクでもと思って僕が立つと


綾:あ、◯◯
 今からこれいくから、コールよろしく

◯:え、やだ


姉さんから疲れる曲のコールを強要され、拒否る

すると…


綾:さっきの貸しもあるし
 なにより、私の部屋に保管してるアイドルの…

◯:よし、全力でやりましょうかね

理:今なんか、綾からの圧すごかったんだけど…

◯:誰しも知られたくない秘密の一つや二つはあるものでしょ

理:いや、それを実の姉に知られてる時点でアウトじゃない?


あーいうことをしてくるところがちゃんと姉なんだなと思ったりします

いつもはあんまり姉らしいことをしないうちの姉なので余計ギャップがすごいです


◯:やばい…これほんとに疲れる…

綾:◯◯、休むな
 こっちもやるぞ

◯:いや、ほんと…三分待って…
 無理…辛い

理:本気でやるからだよ…全く◯◯は…


理々杏ちゃんに呆れられるほど全力でコールした僕は息が切れて膝を抱えています

…いや、ほんとに全力ですると一曲でもきつい


綾:しょうがないな、全く…
 時間つぶしするか…

理:綾もほんと容赦ないね…

綾:昔からこうだよ?
 ◯◯とのカラオケなんて
 私が疲れる日とかもあるし

◯:散々アニソン歌わせたりするからね
 姉さんもノリノリではあるけど

理:この姉弟…狂ってやがるぜ…


その後も日が傾き、月が昇るまで歌い明かしました



理:えぇ…今日は泊まりたい!

◯:今日も…の間違いじゃなくて?

綾:今日は駄目なんだなぁ…
 髪の毛念入りに洗う日だから

◯:つまり僕の業務が増えるってことね

理:いいじゃん、私手伝うよ?

綾:りりあより◯◯がいいんだよね
 勝手がわかってるから


すっぱり断った姉さんに、理々杏ちゃんはしょんぼりとしながらも帰っていった


◯:あんなすっぱり言わんでも…

綾:あれくらい言わないと、りりあは大人しく休まないから
 時には休息も大事なのだよ

◯:四六時中休息な人に言われたかないね…

綾:…流石に仕事のときはちゃんとしてるよ?

◯:全て否定してほしいとこなんですが…


そんなことを言いつつ、腕を組んで帰りましたとさ

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