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悪魔さんと契約させられた

今日は、街中でカボチャの化け物関連のものが溢れ、仮装した人間がチラホラと見かける日

そう、ハロウィン


…まあ、正直お菓子をもらえること以外はただの平日なわけですけど

そんなちょっと特別?な日に僕はなんもやることがなく

とりあえず外に出て、ショッピングモールの周りにいそうな仮装したお姉さんでも見に行こうと思い立った

決してただそのお姉さんを見に行くことが最終目標ではない

ケーキとか買えたら買おうという目的の線上にあるもので、それが真の目的とかそういうのじゃない


◯:クリスマスの時みたいに、太ももがチラッと見えそうな恰好のお姉さんいたらいいな〜


はい、そこ!

ほーら、やっぱりその目的じゃんとか言わない!

健全な学生の証拠でしょうが!


そんな風にお姉さん見たさに出てきた僕は、駅に着く前にあるものを見つけた


段ボールがブロック塀の前にぽつんと置いてある

そう、漫画とかでよく見る捨て猫がいそうなシチュエーションだ


しかし、その中には何も入ってなくて

ただめっちゃ汚い字が段ボールの前面に書かれているだけだった


◯:んだこれ…


書かれている字はひらがなとかではなく、漢字が乱雑に書かれているように見える

当て字か何かだろうか


◯:あ、く、ま、ちゃ、ん?


んだけは漢字がないからか、ひらがなで書かれている

僕が読み上げた瞬間、あたりが揺れ始めた


◯:うぉおぉ!
 な、なんだ…!


少しして揺れが治まると

段ボールから、ひょこっと顔を出した存在がいた


?:あなたがご主人様?

◯:はい?

?:私のこと呼び出したでしょ、今


…な、なんかまずいことをしたのだろうか

ただ段ボールに書かれた字を読み上げただけなんだが


そうやって驚き焦っている僕をよそに、顔を出した存在がゆっくりと段ボールから出てきた

さっきまで空だったはずの段ボールから、女の子のような存在が出てきて僕はさらに驚いた


?:お初に目にかかります
 私、悪魔の桜といいます

◯:さ、桜ちゃん?

桜:はい!そうですご主人様!


ニコッと僕に笑いかけた桜ちゃんはそのまま僕の手を取り、僕の手を胸の方へと引っ張っていく


◯:ちょっ!
 何してるの

桜:何って、契約の証をですね

◯:契約の証って、契約書にサインとかそういうのじゃないの?

桜:あ、私たちの界隈ではそういう手法を取らせて頂いてます


界隈、という言葉に引っかかりを覚えつつ僕は桜ちゃんの手を振りほどいた


◯:と、とりあえずだね、僕は別に桜ちゃんを呼び出そうとしたわけじゃなくて

桜:あ、そうなんですか

◯:そう、そうなんだよ
 偶々ね、この段ボールに書かれてる字を読み上げたら…


僕がそうやって段ボールを指しながら言うと、桜ちゃんは目を大きくして


桜:ご、ご主人様はこの上級悪魔言語が読めるのですか!?


と言ってきた


◯:じょ、上級悪魔言語?

桜:はい!こちらに書かれています汚い漢字のようなものは、実は上級悪魔言語の文字でして一般人には読めないんですよ

◯:いや、まあ…確かに字が汚すぎて読めない人もいるだろうけど…

桜:天才ですね、ご主人様は
 こんな才能のある方をみすみす見逃すのは惜しいです!


そう言ってまた僕の手を取ろうとする桜ちゃん

しかし、2度同じ手は食わない

僕は桜ちゃんの手を躱した


桜:ぶぅ…
 ご主人様は、そんなに私が嫌いですか?


すると、桜ちゃんはいきなり目をうるうるさせ出した

泣き落としの作戦に出たらしい


◯:いや、別に嫌いとかではないけど

桜:でも、そうやって私の手をかわしたり拒否したりするじゃないですか

◯:いや、だっていきなりそんなこと言われても…ねぇ
 それに僕には行きたいところあるし

桜:行きたいところ?

◯:うん、今日ハロウィンだからケーキとか買いに行こうかなって


僕がそう言うと、桜ちゃんは目を輝かせて


桜:私もご一緒したいです!

◯:あ、そう?
 じゃあ、一緒に行く?

桜:はい!行かせてください
 あ、その前に私の胸に触れていただいて

◯:あ、そっか…じゃあ失礼して…
 って、引っかからないからね?

桜:ちぇっ…つまらないですね
 もう少しだったのに


なんか、ちょっと口調が汚くなったような…

まあ、それはいいか


◯:とりあえず僕、もう行くからね?

桜:あ、ちょっと待ってください


僕が後ろを向いて歩きだそうとしたとき、桜ちゃんに声をかけられ手を取られる


◯:なに?


ムニッ

振り向いたとき、僕の手には知らない柔らかい感触が…


桜:引っかかりましたね?
 私の勝ちですよ、ご主人様

◯:な…っ!
 し、してやられた…


僕はついに桜ちゃんに契約の証を取られてしまったのです


桜:さ、これで私のご主人様は◯◯様ですからね
 ほら、早く行きましょ〜

◯:一生の不覚…
 悪魔の胸に触れてしまうなんて…

桜:なんか失礼ですね、どうせご主人様童貞のくせに

◯:あ、違います

桜:へぇ〜意外だな〜

◯:なんかご主人様に失礼じゃない?
 てか、ケーキ二人分払うんだからもう少し誠意がほしいな


そう言うと、桜ちゃんは


桜:トリックオアトリートですよ
 さっきのがトリックの方です、なので私にお菓子をくださいよ

◯:な〜んかハロウィンを履き違えてる気がするけどまあいいか
 ご主人様になっちゃったわけだし

桜:太っ腹ですね〜ご主人様
 あ、そうそう


桜ちゃんは僕の耳元に顔を寄せると


桜:私、夜は激しめなのでご勘弁ですよ?


そう言ってきた


◯:はいっ!?

桜:ほら、早く行きますよ〜




To be continued?

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