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初めて会った日から何周か回って恋をした 22

修学旅行のバスはどんどん進んでいき

一つ目のパーキングエリアに着いた


◯◯:やっとだわ
  この肩の重みから開放される…


智也:お疲れさん
  とりあえず起こせば?


◯◯は◯◯の肩を枕に気持ちよさそうに寝ていた蓮加の体をゆすって起こす


蓮加:んっ…んぅ〜
  ふぁ〜

◯◯:おはよう、蓮加

蓮加:ん、◯◯おはよぅ


まだ少し呂律が回っておらず、眠いということがわかる

だが、それをずっと眺めているほど時間がないので

◯◯は蓮加の手を取りトイレに行ってもらうためバスを出た



智也:よし、俺も…
  おい昌輝!起きろ!

昌輝:んぅっ…あぁ…
  もう日光か?

智也:まだだよ
  とりあえずパーキングエリア着いたからトイレ

昌輝:俺は大丈夫だから…
  おやすみ


また寝ようとしてる昌輝の腕を智也は強引に引っ張って外に出てもらう


智也:悪いけどみんな行かないといけないんでね

昌輝:んぅ…面倒だな




蓮加:◯◯…れんかまだ眠いよ

◯◯:しょうがないよ
  また少し寝ててもいいから

蓮加:わかった…
  じゃあ、行って来る


蓮加はトボトボとゆっくりとした足取りで女子トイレの列へと並んでいく


◯◯:まあ、一回スイッチ入ると蓮加は元気になるからいいかな
  …それにしても、肩が痛い


◯◯は肩を少しずつ回しながらトイレの列に並んだ


比較的、男子トイレの方が空いているので男子たちはどんどん戻って来る 


◯◯:あ、昌輝連れてったのね

智也:あぁ…大変だったよ


昌輝が眠そうな目をしながら起きていることで、智也が連れて行ったことがわかった◯◯

智也はめんどくさそうな顔をしながら答えた


智也:で、岩本さんの方は?
  だいぶ眠そうだったけど

◯◯:まあ、他の女子たちと話せば目が覚めて来ると思うけど

智也:まあ、元々岩本さんって賑やかだもんな

◯◯:そ、だから多分大丈夫だよ


そして、その後から女子たちも帰ってきだして


全員が揃ったのを確認を終えてから、またバスが走り出し始めた


◯◯:目が覚めてきた?蓮加

蓮加:うん!
  冷たい風でぱっちり目が覚めた

◯◯:そっかそっか
  なら日光まで話しながら過ごす?

蓮加:いいね、◯◯と話すと楽しいもん!


バスの後方から蓮加の賑やかな声が聞こえてきた

その声に、クラスのみんなも段々と目を覚ましだし

バスの中が明るくなりだした




パーキングエリアから1時間半ほど


◯◯たちは日光東照宮の駐車場に着いていた


先生:ここからは班に分かれて見学するけど
  くれぐれも、行ってはいけないところには行かないこと

“はい!”

先生:じゃあ、班に分かれて
  案内してくれる方に着いて行って見学してください


あいも変わらず、仲の良い◯◯たち三人組は一緒の班だった


昌輝:東照宮ってあれだろ
  門がすげぇ綺麗なんだよな

智也:そうそう、金ピカらしいよな
  それを見れるってだけでテンション上がるわ

昌輝だけでなく智也も興奮気味で話している

やはり初めての修学旅行というのに、誰しも浮かれているようだ

◯◯:俺もめっちゃ楽しみだわ

勿論、◯◯も


蓮加:じゃあ、れんかこっちからだから
  楽しんで〜

◯◯:蓮加もね

蓮加も同じ


◯◯:一緒に行動できるなかったら駄々こねるとか言ってたけど
  いざ始まると、そんなこと気にしてないみたいだな


元気よく仲良しの女子たちと話しながら歩いていく蓮加の姿に◯◯はポツリと漏らした


智也:お〜い、◯◯
  もう行くぞ

◯◯:お、悪い悪い
  今行く


蓮加たちの班が歩いていく姿を見ていた◯◯は

智也に言われて、案内してくれる方の後ろに着いて歩き出した




そして…


◯◯:うわ〜…めっちゃでかいし綺麗…

昌輝:よくテレビとかで見るよな


陽明門に◯◯たちは興奮し


智也:おい2人とも!
  三猿だぞ!

◯◯:…うわ、マジじゃん!
  こんなところにあるのか

昌輝:…え、三猿って何


見猿、聞か猿、言わ猿の三猿を発見しテンションが上がり

 

本殿まで階段を上がってきて、話を聞いていた◯◯は

◯◯:…何気に階段をキツイな

と小声で呟いた

すると、◯◯のボヤキに案内してくれているおじさんが少し笑いながら

案内:これから、もっと階段上がるよ?
  大丈夫?

智也:大丈夫です、俺達サッカーで鍛えてるんで

案内:おぉ…そっかそっか
  でも、長いと流石に疲れるよね

昌輝:…昼ご飯早く食べたいなぁ


徳川家康の墓まで上がるコースの◯◯たちは

このあと本当にキツイ上りを感じることとなった




蓮加:あ、帰ってきた


一足先に昼食場所に着ていた蓮加たちは、◯◯たちの班が来たのを確認した

◯◯に近づいていく蓮加だったが、すぐに様子が変だとわかった


蓮加:え、どうしたの

◯◯:めっちゃ歩いた…
  足がまあまあ痛い

すでにお疲れ気味だった


昌輝:後々気付いたことだけど、俺達の班って
  他クラスも含めてスポーツやってる奴らばっかだったよな

智也:な…多分そういうの含めて班作ったんだろうな


結構ハードだったらしい

智也も昌輝も少し疲れている


◯◯:早くご飯食べたい…

昌輝:だなぁ…マジで腹減った

智也:激しく同意


女1:珍しいよね、あの元気なサッカー組が疲れてるの

女2:多分大回りさせられたんじゃない?
  ほら、上行って来てからまたぐるっと回るコース地図にあったじゃん

蓮加:いや〜お疲れ様


蓮加は◯◯の頭を、修学旅行前のお返しとばかりにぽんぽんと叩いた

◯◯:ありがと、蓮加
  何か元気が湧いてくる気がする

蓮加:でしょ?


昌輝:◯◯も大変だな

智也:ま、慣れっこだろうよ


二人は◯◯の言動を苦笑しながら眺めていた




先生:よ〜し、じゃあお昼ご飯も食べ終わったので
  これからバスに乗って、戦場ヶ原の散策に行きます!

“やったー!”


智也:え、また歩くの…

昌輝:俺、行きたくねぇ

◯◯:右に同じ…


他のクラスメイトは基本的に喜んでいたが、◯◯たちハード組はまた歩くのかと

絶望的な表情をしていた



修学旅行はまだまだ始まったばかり

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