嫁なのか、妹なのか…
恐らく、男性の中には
幼馴染みと結婚したい…
というなんとも甘く、浅はかで、とても難しいことを夢見ていた人がいるのではなかろうか
かくいう自分もその一人
まあ、そんなことが例えできたとして
あなたはその幼馴染みであった奥さんと、仲睦まじい生活できますか?
意外と難しいものだと想いますよ
まず、遠慮ってものがないですからね
我儘言ってきたり
やりたくなりだの、気分じゃないだの
あとは、知りすぎてるっていうのもつまないものです
??:ちょっと、○○起きなって
おっと…呼ばれてしまった
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
○○:いや、危うく寝過ごすところだったよ
ありがとさん
朝ごはんのパンを口に運びながら、起こしてくれた張本人に礼を言う
蓮加:ったく、○○は蓮加がいないとまともに朝も起きられないんだねぇ
人のことを弟かなにかだと思っているのか
頭に手を置き、数回ポンポンしながら言われた
顔は見れていないけど
すごい煽るような顔してるんだろうなぁ…
○○:まあ、一週間ゲームのやりすぎで
10時に起きてきてた人に言われたくはないんだけども…
蓮加:それとこれとは話が別です〜
今度は口を少しだけ尖らせながら、抗議してくる
まあ、その顔は可愛いから全然怖くないんだけど
○○:とりあえず、昼過ぎには帰ってきてるから
僕の仕事場は、家から近く
加えて一時間自由時間を取れるので、昼過ぎに一回帰ってきてから
また出勤することになる
蓮加:はいよ〜
社長と副社長のアイデアらしいけど
蓮加と会える時間、接する時間が増えるからとても嬉しいことだ
○○:…さてと、ご馳走様でした
パンとスープと簡単なおかずを食べて
鞄を置いてある玄関に向かう
○○:やべ、靴が靴箱ん中だ…
昨日そういえば掃除するとかなんとかで靴を全部しまわれてたんだった…
靴箱の中から、革靴を出して
靴べらを使って履く
蓮加:はい、いってらっしゃい
鞄を手渡してくれる蓮加、
○○:はいよ、いってきます
鞄を受け取ろうと、取っ手を持った
○○:おっと…?
しかし、蓮加が手を離してくれない
○○:蓮加さ〜ん?
蓮加:すること、あるんじゃないの〜?
とおちょくるように言ってきた
○○:…ったく、ほしがりめが
蓮加の首の所に腕を回し
軽く抱き寄せながら
ほっぺにキスをした
蓮加:…んもう、ケチ
○○:夜はたくさんしてあげますよ
鞄を受け取り玄関から僕は出た
………
蓮加:…期待させやがって
私は、○○を見送ってから
ゆっく〜りと朝ごはんをいただきます
蓮加:…あ、まずいまずい
洗濯機を回していないことに気づき
急いで洗面所へ
今くらいから回しておかないと、○○が一時的に帰ってくるときに家事が増えてしまう
○○との時間は、できるだけ多く
密接に取りたいのです
蓮加:よしっ、朝ごはんの続き
色々と私もやることいっぱいです
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
上司:○○、時間だぞ〜
○○:わかりました〜
昼過ぎ、蓮加の作ってくれた
とっても健康的に見える
実は、味付けの濃い弁当を食べ終わって少しした時
上司に一旦帰っていいと伝えられた
璃果:奥さん大事にしろよ、このやろっ
オフィスから出る時、同期で一番の出世頭に肩を叩かれた
○○:お前は、いい男見つなよ
会社の男じゃなくて、外に
璃果:うぐっ…
痛いとこ突いてくるね
○○:大学からの長い付き合いだからな
んじゃ、とオフィスを一旦後にした
○○:蓮加、ただいま〜
蓮加:おかえりぃ…
○○、いきなりだけど手伝って!
とリビングの方から呼ばれた
急いで靴を脱いで、リビングに行くと
足を痺らしたのか、なんとも妖艶な大勢でカーペットに突っ伏している蓮加が…
○○:なにやったのさ
ゆっくり蓮加の背中に腕をやり
抱っこしてソファーに座ってもらう
蓮加:いやね、洗濯物畳んでて
足が痺れてきたなぁ、と思って足伸ばそうとしたらさ足がつっちゃって…
めっちゃ変な声出ちゃった…
その話を聞いて、その声を聞きたかったな…
なんて思ったのは秘密
○○:んもう…
おっちょこちょいめ
蓮加:へへへっ
○○:んじゃ、今日はゆっくり休みましょうかね
蓮加:え〜、ゲームしたかったのにぃ
座ったまま、クッションをポンポン殴ったり
ジタバタするのが、なんか妹っぽいように見えて
○○:はいはい、そんなジタバタしないの
頭の後ろから通して、蓮加の左肩を持って
こっちに抱き寄せた
蓮加:うおっ…
○○:夜は、い〜っぱい付き合ってあげるから…ね?
蓮加:…わかったよ
ようやくわかってくれたみたいで
力が抜けたように思える
と安心していたのもつかの間
蓮加が僕の腕を払ったかと思うと
僕の膝に頭を置いて寝転んだ
○○:ちょっ…蓮加
蓮加:いいじゃ〜ん
こうするの、なんだかんだで久しぶりでしょ
あ〜、○○のお膝って寝やすいなぁ〜
頭の骨で、膝をグリグリされると中々痛い
けれど、膝でゴロゴロしているのを見ると癒やされるし
なにより、ずっとこっちを笑顔で見られると
怒る気もなくなる
○○:甘えん坊だこと
蓮加:え〜、なんだって?
○○:何でもないよ
家を出る、ほんと少し前までこの状態だった
○○:じゃ、お互い頑張ろう
蓮加:おぉ〜
僕と蓮加が別れたのは、マンションの前だった
僕は職場に再出勤
蓮加は幼児を預けておく預かり所みたいなところに
………
私が児童預かり所で働くようになった理由は
一つに、お姉ちゃんに頼まれたこと
お姉ちゃんが一応実質的な責任者で、人手が足りなくなったから手伝いをお願いされたこと
二つめに、○○の収入だけに頼るのもなんか申し訳ないなぁって思うようになったから
意外と私がゲームするのに使うパソコンなんかは設備投資が高くなるし
それを○○のお金から出させるのもね…
蓮加:お姉ちゃん〜
来たよ〜
蓮姉:蓮加っ、ありがと
早速で悪いけど働いてもらうわよ
蓮加:任せといて!
今日はいつもより元気たっぷりだから!
私は意気揚々と、取り掛かり始めた
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
○○:よぉし、上がりだ
仕事が終わり、僕は一路
先輩や同期からの飲みの誘いを全部断って家へと一直線に戻る
僕からしたら、酒を飲んで一日の自分の働きを労うより
蓮加と一緒にいる方がよっぽど労われる
○○:ただいま〜!
と意気揚々に玄関から言葉を放つ
しかし、声は聞こえず
蓮加はトコトコと、無言で寄ってきた
そして、玄関の上がるところの手前で
腕をフラ〜っと上げてピタッと止まった
少しだけ行動を待ってみたけど、動かないので
靴を脱いで、その温かくて柔らかい体を抱擁した
○○:充電には、何分かかる?
意地悪質問をしてみると
蓮加:…明日の朝まで
という答えが返ってきた
こりゃ、相当嫌なことがあったなと思い
ゆっくり、強めに一回抱擁した後
腕を離し
上がったままの腕と、物寂しそうな顔をよそに
蓮加:ひやっ…
お姫さま抱っこして、ソファーまで運ぶ
○○:抱きつくだけじゃ、なんにも解決しないでしょ?
ご飯食べながらでもいいし、このままでもいいから話聞かせてくれないかな
溜め込んだままにしておくのは良くない
一回辛くても、吐き出さないといけない
蓮加:んぅ…○○…
ゆっくりと蓮加は話し始めてくれた…
子供が、全然言うこと聞いてくれなかったこと
親御さんに歳下ってことで舐められたこと
なによりも、足がよくつって人に迷惑かけてしまったこと
○○:そっか…そっか……
でも、蓮加が頑張ってるのは僕も知ってるし見てくれてる人はいるよ
だから、そんなに落ち込まないの
ゆっくり
母にしてもらっていたように
背中を優しく叩く
これが、意外と落ち着いてくる
何故かは知らない
多分、何か本能的に安心してくる何かがあるんだろう
蓮加:そう…だよね…
うん…ありがと
蓮加は、涙をまだ浮かべながらも笑顔になっていた
それがとても、愛らしく
守りたいものだと再認識しできた
蓮加:よしっ、ご飯食べよ
○○:そうしよ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
蓮加:あ、○○後ろ
○○:んっ、ほんとだ
蓮加サンキュ
今は、○○に私の好きなゲームに付き合ってもらっている
○○のこういうところが好きだし
○○とゲームしていると、一緒にプレイするスタイルなら安心感があるし
お互いが戦う系なら燃える
なんだろう、うん
相性いいんだな〜って思えるところが
多分好きなんだろうなって
ずっと思ってる
蓮加:ねぇ、○○
○○:ん?
蓮加:蓮加さ、児童預かり所に勤めてて思ったんだけど
○○:うん
蓮加:そろそろ…その…
子供、ほしいなぁ…
……なんて
画面で○○が珍しくやられていた
○○:…え…えっ…
ま、まじで?
蓮加:本気だよ?
…なんかさ、可愛いのみんな
○○:いや、まあ…わかるんだけども
蓮加:じゃあ、ね?
男らしいところ、また見せてほしいなぁ
こうやって言えば、○○は大体
○○:蓮加が…その気……なら
ほら、ね?
蓮加:じゃあ…
行こっ
○○:うん…
新たなステップに進む私達夫婦なのでした
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