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初めて会った日から何周か回って恋をした 20

春風とともに、月日は過ぎ去り


5月中旬

○○や蓮加たちは修学旅行目前となった



○○:いや〜、修学旅行目前だぜ?


智也:だな
  な〜んか早いよな、もう6年になって1ヶ月だもんな…


智也と一緒に、公園で○○はパス練をしていた


○○は母親に準備が遅いことをよく怒られると智也に相談した


すると、智也は


智也:いや〜、実は俺も直してほしいと思うよ

○○:えぇ…マジ?


智也:準備遅いとよ、なんていうか…
  こっちがイライラしてくる感じなんだよ


○○:母さんも同じこと言ってたな
  …ちょっと直すことを前向きに検討しておくわ


智也:今更かい


智也は呆れながら言った


それから、また二人はパス練やら一対一をしながら時間が過ぎていき


○○:さてさて、そろそろ家帰るわ

智也:お?今日は早くないか?


○○が、まだ鐘の鳴る前に帰ることに智也は疑問を投げかけた


○○:実はさ、色々と買い物行くことになってて

智也:あぁ、カバンとか?


○○:あと、薄いウインドブレーカーとか


智也:ほ〜ん
  じゃあ、また明日な


智也と別れ、○○は家へと走って帰っていった


 




○父:お〜い、○○いいのがあったぞ!


ショッピングモールにきた○○と父は

まずアウトドアグッズのコーナをみていた


○○:あ〜、いいね
  何より、色がいい


○父:だよな〜
  きれいな青だもんな


○○の父が見つけたのは、鮮やかな青色のウインドブレーカーだった


○父:これにするか?


○○:これにする

○父:よしきた!
  じゃあ、次はリュックサックだな


○○の父はとても選ぶことに熱が入っていた


理由は、自分自身がアウトドアなタイプで

キャンプ好きだから


どうも、アウトドアグッズの売り場に来ると血が騒ぐらしい


○○:あ、父さんこれなんてどう?


○父:あ〜ちょっと小さいかなぁ…
  もう少し大きさがあると良いと思うんだよ


○○の意見にも、とても細かく言ってくる


○○は、大してそれについて気にしてはいないが…


○父:あ〜、これくらいが良いかもな

○○:えぇ…デカくない?
  大きすぎるとバランス崩れちゃうし、重いよ?

○父:いや…まあ…そうだけど

○○:やっぱりあれくらいのサイズにして、サブバッグとで中身分けるのがいいんじゃないかな


○○はとても合理的な意見を口にした


○父:そうするか?
  でも、重さは多分そっちの方が重いぞ?

○○:何で?

○父:手持ちのカバンより、リュックサックの方が軽いように
  手で持つよりも背負うほうが軽く感じるんだよ


○○:はへ〜
  知らなかった


勉強になったと、少し満足げな顔をした○○


○父:とりあえず、このでかいの買っておいて
  肩とかのベルトで調節するか


○○:オッケー



ただ、帰ってからリュックサックの大きさを見た母に父が怒られたことは

言うまでもない




○○:母さん!
  後詰めるのは、タオルと体洗うやつだけです


○母:はいはい…
  後で渡すから


修学旅行前日の朝


起きて早々、○○は母に言った

母は、少しだけ面倒くさそうに答えて流す


○○:いや〜たのしみだなぁ


○母:浮かれて怪我してこないようにしなさいよ?


○○:はいはい


○○の浮かれる性格について、母は釘を刺すが

○○はそんなこと上の空の状態で朝食を摂り


○○:ごちそうさま〜


と部屋に一旦戻り、ランドセルを背負って学校へと走って向かっていく


○母:はぁ…ほんと、いつまでも根が子どもなのよね…




学校に○○が着くと、昌輝と智也と合流した

昌輝:お前ら、明日は修学旅行だぜ!?


明らかにテンションがいつもより高い昌輝

智也は少し面倒くさそうな顔をして


智也:そんなに浮かれるなよ?
  怪我しても知らないぞ?


○○:そうそう、昌輝ってそういうとき危なかっしいから


昌輝:何だよ、二人共
  俺がそんなに危なかっしいか?


廊下で3人話しながら教室へと向かう


智也:いやいや、昌輝忘れてないよな?
  林間学校のときのこと


○○:あ〜あれね!
  俺も智也から聞いたときは笑っちゃったよ



○○のことがあって、あまり覚えている人間がいないのが残念だが

昌輝は、あまりにも睡眠時間が短すぎたためか

オリエンテーリングのとき、抱きまくらのように同級生に抱きつきながら歩いていたという



昌輝:か、過去のことを言ったって何もならないじゃんか!


智也:そういうことがあるから、俺たちは言ってるだろうが
  少しは気をつけろよ


○○:そうそう、ほどほどに睡眠時間取らなきゃ


昌輝:…ったく、二人共バカにしやがって…


不服そうな顔をしながら、昌輝は教室に入っていった


智也:あれ、そういえば
  ○○、今日は岩本さんと一緒じゃなかったのか?


○○:あぁ、何か今日は約束の時間までに出てこなくてさ
  来なかったら置いていっていい約束だから、置いてきた

智也:そう…なのか


○○:大丈夫だよ、喧嘩とかにはならないから


智也の心配な顔を見て、○○は笑顔で答えた



そして、蓮加が教室に姿を現したのは

遅刻スレスレだった



蓮加:危な〜い


女1:どうしたの、蓮加ちゃん

蓮加:いやね?
  楽しみすぎて全然寝れなくて、寝坊しちゃった


近くの友達に聞かれた蓮加は、明るくそう答えた


女2:いやいや、結局寝れてるんじゃん!


蓮加:えへへ…


その可愛らしい笑顔に、○○は頬を緩ませ


○○:かわいいなぁ…

智也:ほぼ昌輝と同じじゃん
  ○○、のろけてるなぁ…




蓮加:○○、今日さ委員会ある?


昼休み終わり

次は修学旅行の前日指導のために体育館に集まるというときに、蓮加に呼び止められた○○


○○:いいや、今日はないけど
  どうかした?


蓮加:いや…なんでもない


蓮加は照れるように○○に背を向け、体育館に走って向かっていった


○○:…朝のこと怒ってんのかな


朝の智也の顔を思い出し、少しだけ○○は不安になった
  





蓮加:あ〜、どうしよう
  ほんとは、今日○○のこと誘ってお菓子買いに行こうと思ってたのにぃ…


少しだけ早く体育館にきた蓮加は、小声でそう呟きながら必死に考えている


面と向かって、一緒に行きたい

と恥ずかしくて言えないことが、もどかしいらしい


蓮加:どうかした?
  とか言われると、切り出しづらいぃ


ウジウジしている蓮加の元に


女1:蓮加ちゃん、どうしたの?


と仲のいい友達が寄ってきた


蓮加:いや、持っていくお菓子何にしようかな〜って

女1:あ〜、悩むよね
  あんまり偏ったのだと飽きちゃうし、すぐに溶けたりするチョコ持っていくのもね…


咄嗟に思いついた言い訳で、なんとかスルーできたものの

蓮加は、これからどうしようかで頭がいっぱいだった






昌輝:お〜い、○○
  放課後、お菓子買いに行こうぜ!


そんなこととは露知らず、いつも通りのメンツで○○はお菓子買いに行こうとしていた


○○:よ〜し、いくかぁ

智也:おんなじのばっかり買うなよ?
  どうせ、交換とかすんだから

昌輝:わかってるよ、そんなこと
  あ〜、何買うかなぁ


昌輝は、既にそっちに気が行っている


○○:…あ、そういえば


智也:どうかした?


○○:蓮加、お菓子買いに行ったのかな


智也:いや、それは流石に知らん


○○:蓮加って、結構好き嫌いあるから
  買い物限られてんだよね


○○は、はたとしてそのことに気付いた


○○:悪い、多分俺…


智也:そんなことで、別に謝ることないだろ
  あいつには適当に言っておくから


○○:悪いな、とも




蓮加:え、ほ、ほんと?

○○:おう、一緒に…行こう?


○○から誘ってくれたことに、蓮加は顔を赤くしながら喜んだ


蓮加:ありがと!
  ねぇ、何でわかったの?
  …あ、わかった!蓮加の顔から心が読めるんでしょ〜!?


一人で盛り上がる蓮加を見ながら


○○はかわいいなと思い


少しだけある身長差を利用して


頭を撫でた


○○:ほぉら、そんなはしゃがないで
  時間無くなるから、早く行こ?
 

その○○の顔が、蓮加にはとても大人に見えて…


蓮加:○○…かっこいぃ…

○○:ん?何か言った?
  あ〜、ポイフルは捨てられないなぁ



蓮加:でも…まだ少し、子供なんだよなぁ





その日、二人で仲良くお菓子を買って

ご満悦な二人は



しっかりと修学旅行前日は眠ることができました



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