Repos inexistant
廊下ですれ違ったのは僕と変わらないくらいの身長がある長身の女性
梅澤さんと言い、グループの他のメンバーからも慕われている人
梅:今さっき戻ってきたとこ
ボスに報告をってね
◯:お疲れ様です
で、いつも通り報告は梅澤さんだけと
梅:まあね…
二人はいつも通りここに来た途端どっかいっちゃった
ため息と、少しの手振り
毎度毎度のことだ
他の二人は自由人だから、報告に来るのは班のリーダーではなく実質的なまとめ役である梅澤さんがやっている
○:あの二人纏めてるの自体凄いことですよ
僕じゃできない
と感動して言ったんだけど
梅:いや、あんたも大概だよ?
あんな曲者と組むなんて
あ〜、この人よくわかってらっしゃる…
ほんとに
○:あ、どうもありがとうございます
否定はしておかない
梅:否定しないんかい
まあいいや、早くボスのところ行かなきゃ…
じゃね、
と手を振って去っていく
かっけーと思いながら僕は別棟にある仮眠室ゾーンへ
着いてみると、いつも僕が使う部屋の隣には誰かいるようで鍵がかかっている
○:さて、と
ノブを捻って、部屋に入る
黒を基調とした部屋に革のソファーと、天板がガラスのテーブル
テーブルにボスからもらった書類とトランクを置き、体を伸ばす
そしてトランクを開けた
◯:ん〜…最近これ使ってなかったからな
手入れしとくか
僕は思い立って部屋を出た
そして手入れ道具を取りに行くついでに、飲み物を自販機で炭酸を買いに行くことにした
糖分がないと頭が回らないから…
あと、相棒ばかり甘いもの摂っているのが気に食わなかったのもある
○:…あれ?
自販機がある下の階に行くと、体育座りしている見知った顔が
さっきの梅澤さんと同じ班の
○:山下さん?
山下さん、近距離での暗殺の名人で
拳銃やナイフとかの刃物の達人
山:あ、○○くんじゃん
いつもよりローテンションだ
○:どうしたんすか?
こんなとこで、そんな顔してて
僕は山下さんに聞きつつ硬貨を入れ炭酸のボタンを押す
すると、山下さんが
山:梅にね、、捨てられた
と言った
○:いや、あの人が捨てるわけないでしょ
山:あれ?騙せてない?
今度は小悪魔的な顔で見つめてくる
どうやら、演技だったらしい
○:はぁ…
そんなことだろうと思ってましたよ
ゴトンっ という音が響き
炭酸が出てきた
山下さんという人は、こういう人を騙したりからかって遊ぶのが好きな人で
山下さんが加入したての頃はよく僕も引っかかっていた
今はもう慣れたけど…
山:いやー、○○くんは騙せないか
流石は、○○くんだよ
褒められてるのか、これは
褒められるてるとしたら付き合い長いからかな?
ん〜、、あ…
○:あの、山下さん
スカート、気を付けたほうがいいですよ
山:え?
そう言ってから山下さんは自然と自分の体制を省みたようで
山:あ、、見た?
○:見た、ていうかそれも作戦かと思ってました
他の男じゃなくてよかったですね
後ろを向いて、山下さんにそう言い残し
階段を駆け上る
山:いやー、○○くんには敵いそうにないなぁ
山下は、立ち上がり自販機に写る自分の顔を見て微笑んだ
スコープの掃除や、自動拳銃の埃を払い、こちらも掃除していく
○:えっと、今回のターゲットは…
ふーん 元議員で、ヤクザ絡みか
こっちの仕事にはある程度免疫ありそうだな…
と、すると
○:これ不意打ち通じるのか?
てか、不意打ちもできるかどうか…
命の危険も孕んだものだとはわからず議員をやる人間はまずいない
今回のターゲットである元議員となると、現役時代よりかは少ないだろうが護衛はいたりするだろう
○:あっちも同業者雇ってたりしそうだなぁ
一度、そういう経験がある
その時は、相棒の驚異的なショットでことなきことを得たが
○:運任せは良くないね
トランクを持って、また部屋を出る
◯:梅澤さんに助太刀頼もっかな
梅澤さんは、他の班員の二人と違って直接人を殺すことはない
あくまでもサポート、同業者と思われる人だったり、一般人の探索や時差爆弾の起動だったりをする
○:すごいよね、、
あのカッコよさで人の死んだ姿嫌いって言うんだから
なぜ、ここにいられるんだ
とか思いつつ梅澤さんを探すため、ボスの部屋のある本棟に向かおうとすると
隣の扉が開いた
○:あ、すみません起こしちゃいました?
飛鳥さん
飛:うん、独り言で起こされた
○:それは申し訳ない…
飛鳥さん、グループ中でもトップクラスの敏腕スナイパー
最高のタイミングを待てる忍耐力と一発で決める精確さを尊敬している
ちなみに、ここに入ったのは僕と同じ時期
飛:誠意がないぞ…誠意が、
怠そうにしながら、強めに僕を殴る
○:痛いなぁ…あの二人より長い付き合いなんだからいいでしょ
飛:付き合いが長ければ、こんなことをしてもいいと
○:んまあ、はい
飛:ここで死にたい?
いきなり飛鳥さんが背から拳銃を出して
それを僕の目の前に構える
しかし、僕はうろたえない
○:いや、飛鳥さん
あなた近距離滅法だめじゃん
そう飛鳥さんはスナイパーライフルの腕はピカイチなのだが 拳銃とかとなると全然だめ
変だよね
飛:この距離なら…
そう言いながら飛鳥さんは一歩前に出た
○:アウトです
僕は人差し指を折る
飛:うおっ、、
飛鳥の体のバランスが崩れる
そしてすかさず頭に拳銃を
○:よく見ましょ?
飛鳥さん
一応僕は近距離にも心得があるから、細いワイヤーを話しながら足元に張ることはできる
音が出ないように張るには訓練しないと難しいけど…
飛:山みたいでムカつく…
話しながら嵌めるとか…ほんとに嫌い
○:えぇ、意識しましたからね
山下さんほど僕はまた上手くないですけど
こういうやり取りをできるのは仲のいい証拠
と、他の先輩がよく言っている
まあ確かに、お互い本気で殺し合いをしようとは思ってはいないけど
飛:はぁ、今回はドローね
飛鳥さんがため息をつきながら言った
○:いや、どう考えても飛鳥さんの負けでしょ
飛:え? このまま襲われるーって叫んだら?
………
○:ドローで
うちは性の乱れ的なことへの規律が厳しく、バレると指一本詰めたりした先人がいたらしい
今の状態的に、飛鳥さんに告発されたら逃げようはなさそうだ
飛:女という立場すらも使うのがプロだ
○:偉そうに言わないで
ワイヤーなかったら僕勝ってたから
僕はそう言うと本棟へと歩いていく
飛鳥さんも数歩後ろをついてきている
○:あ、そうそう梅澤さん借りたいんですよね
飛:何、同業者いそうなの?
たった一回で意思が通じるのは、やっぱり付き合いが長い証拠だなと思う
○:えぇ、もぎのはんかたですから
飛:はー、めんどくさい仕事だね
私なら、断るやつだ
○:できるなら僕もそうしたいです
変な言葉で濁すのはスパイを警戒してのこと
こういうところには同業者のスパイや、警察系統のスパイが入ってきてたりする
…まあ、うちは徹底的な身辺調査をしてるからあり得ないだろうけど、建物に忍び込まれてる可能性もゼロじゃないから対策はしている
本棟への廊下も半分くらいのとこまで来たとき
○:あれ?梅澤さんとボス
まるで来る時間がわかっていたかのように二人がこっちへ歩いてきていた
ボ:お、丁度いい
酒木、齋藤、今回の仕事合同でやれ
ボスから言われたのは、僕にとっては嬉しく
飛鳥さんにとっては最悪のこと
◯:ありがとうございます、ボス
飛:え、いやですよ
ボ:まあ、齋藤はそういうと思ったよ
これ、頼んどくから
ボスが見せたのは、高級肉のお取り寄せのカタログだ
○:物で釣るんすね
梅:飛鳥さんにお金だと、どれだけ積んでも承諾しないだろうからね
それにしても、美味しそう…
そんな風に言う梅澤さんを横目に、飛鳥さんは言った
飛:コイツらにはやらないけど、いいですよね?
梅:え〜、飛鳥さんのケチ
いっつも自分だけ美味しいもの食べて…私がどれだけ羨ましいと思ってるか…
梅澤さん、心の声がそのまま漏れてます…
ボ:好きにしていいぞ
お前のものだからな
飛:なら、やります
梅:え〜、ほんとに私たちにはくれないんですか?
明らかに拗ねてる梅澤さん、ガチで食べたいんだな
飛:○○に頼め、私の気は変わらないぞ
◯:僕は持ち合わせないんだよなぁ
全部、相棒が使うから
梅:え〜、そんなぁ…
ま、嘘だけど
面倒事は関わらないのが一番
沙:んっ、今悪口言われた気がした
パンケーキを食べながら、薄目で遠くを見る沙耶香
沙:うーん、、今度◯◯の部屋に行くときは裸で寝といてやるか
仕事を忘れて、他のことを考えていた