おこちゃま系彼女 Ⅲ
少しジメジメとしてきた、この時期
未だ帰ってこないやつを待つ僕
○○:にゃろ、連絡くらいしろよ
今日は食べて帰ってこないということだけは連絡してきたので、料理が食卓には並んでいる
疲れていると、餌付けをしなければいけないため
僕は起きている必要があるのだ
少しして、マンションのエントランスからの音がなる
○○:は〜い
宅配か?
と思っていると
?:あ、遅くなりました〜
うさぎを連れてきましたので
と少しハスキーな声が聞こえた
解錠して、玄関まで向かう
ガチャっと、ノブが押された
○:はいはい、ご苦労様です
?:いや〜、突然電車で寝るもんだから驚きましたよ
背負われたうちの小動物を受け取り
少しだけ話を聞いて寝室に…
○:寝顔もかわいいでやがるな、おい
こういうところまで、僕の心をくすぐるのはほんとに罪なやつだと思う
○:あ、少しだけ上がっていきなよ
疲れてるだろうし、どうせご飯しっかり食べてないでしょ?
?:いやいや、大丈夫ですよ
それに、りりあ起きたら説明するのあれですし
と遠慮する、理々杏の仕事の後輩ちゃん
しかし、お礼をしないと気がすまない面倒な性格の僕は
○:どうせまたUberするんでしょ?
食費浮かせなさいな
と手招きする
?:それじゃあ、お言葉に甘えて…
渋々、後輩ちゃんは家に上がった
蓮:うまっ…
○:お、よかったよかった
理々杏のご飯は、後で適当に作るから
と言って、残っていた夜飯を蓮加ちゃんに食べてもらう
蓮:ほんと、○○さんのご飯美味しいよね〜
料理人になればよかったのに
○:生憎、僕は商品にできるほどの料理の腕はないよ
褒めてもらえるのは嬉しいが、料理人には結構前からなれないことを思い知っている
蓮:あ、そうそう
この前、りりあがコスプレの一式買ってきませんでした?
蓮加ちゃんは話をずらした
僕への配慮があったのだろうか
まあ、できる子だとは前から思っているけど
○:あ〜、あった
中身は見せてくれなかったけど
蓮:それ、うさぎの衣装ですよ
○:…なんのために?
蓮:さぁ?
でも、仕事に関係あるとは思えないんですよね
確かに
それが仕事に使うなら、キャバ嬢とかそっちの職業だろうか
蓮:まあ、それはどうでもいいんですけど
りりあのうさぎ姿とか、絶対似合うと思いません?
○:そうね
欲を言えば、うさぎみたいにテキパキ動いてほしんだけど
朝起こしたりするのが、本当に一番疲れる
蓮:まあ、仕事場では寝てるとこ見たことないんで
そこのメリハリはしっかりしてていいじゃないですか
○:う〜ん、まあそうとも言えるけどね
そんなこんなで、意外と蓮加ちゃんとの雑談が盛り上がって
気づけば遅い時間に、
蓮:そろそろ帰りますね
うちのワンちゃんとか心配なので
○:送ってこうか?
蓮:それこそりりあに何か言われそうなので遠慮します
あ、でも他の日とかはもしかした〜らお願いするかもしれないです
と小悪魔とも言える顔をしながら言った
○:そのときは、LINE頂戴
蓮:了解で〜す
それじゃ、また
蓮加ちゃんは部屋を出た
○:あれ、そういや蓮加ちゃんなんでLINEくれなかったんだろ
帰ってくる時
蓮:いや〜、りりあ羨ましいわ
○○先輩と付き合ってるんだもん
駅に向かう蓮加は呟く
そこに、見るからにチャラい男が
男:お姉さ〜ん、これから俺と一緒に…
蓮:うるさい、どっかいけ
男:いやいや、そう言わずにさ
蓮:いやほんと、彼氏待ってるから
じゃあね
蓮加は早足でそれを振り切る
蓮:はぁ…
○○先輩が彼氏にほしいなぁ
月の中にはうさぎがいる
蓮の花は、その月光をただ眺めるだけ
天変地異でも、起こらない限り…