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初めて会った日から何周か回って恋した 21

迎えた修学旅行初日


朝、○○は早起きをして蓮加を迎えに行くことにした


○○:昨日楽しみすぎて寝坊したとか言ってたから
  迎えに行ってあげよっかなぁ


○母:それは良いことだとは思うけど
  時間に遅れたらだめよ?


○○:わかってるって!


○母:じゃ、元気に帰ってらっしゃい


○○:はいは〜い
  いってきまーす


○○は元気にリュックサックを背負って家から学校に向かって走り出していった


○父:ふわぁ…
  おはよ


○母:あなた、遅いわよ
  子どもより遅いなんて…親として…


○父:まぁまぁ、それは色々とあって


○母:早く食べて仕事に行っちゃいなさいよ


○父:はいはい…





蓮加:あ〜、○○来たぁ


蓮加の家の前まで○○が走ってきた時

蓮加は既に家の外まで出てきていた


○○:あれ、今日は早いじゃん


蓮加:昨日とは違うの!
  蓮加本番に強いんだから


○○:本番って…
  まあ、いいやじゃあ行くか〜


○○は蓮加にそう言うと、学校に向かって向き直った


蓮加:え〜、まだ時間あるよ?


と蓮加がごねると


○○:早く行ったほうが、長く一緒にいられるでしょ?
  それに、バスに一番乗りできるよ?


○○は少し蓮加の興味の引き方を覚えたようで


蓮加:…悪くないね!
  よし、じゃあ行こう!


○○:ふふ、行こ行こ



蓮母:あらあら、○○くんは蓮加の扱いよくわかってるみたいね


蓮父:お、行ったか
  じゃあ、俺も行ってくるよ


蓮母:いってらっしゃい
  くれぐれも、寄り道しないでね?


蓮父:そこまで親バカじゃないさ


笑って答えた蓮加の父は、小さく見える二人の影を微笑ましく見ながら駅に向かってあるき出した



智也:…昌輝、昌輝っ


昌輝:んぁっ!
  あ、なんだ智也か…


昌輝と智也は、他のクラブチームのメンバー数人と一緒に学校に向かって歩いているのだが

案の定、昌輝が寝かかっている


智也:はぁ…
  これ、誰か背負ってくしかないかもしれないな


他のメンバーが、皆嫌そうな顔をした


智也:だよなぁ…

昌輝:俺は、まだ眠ってないぞ!
  眠ってない

智也:はいはい…



そんな面々の前に見えてきたのは

雑談しながら歩いてきている○○と蓮加だった


智也:お、あの二人


智也が声を上げると

昌輝もその二人を見つけて


昌輝:あ〜、○○だぁ


と声を上げる


智也:あいつら早いな…
  ○○も、岩本さんも朝強いイメージあんまりないけど…


男1:○○が張り切ってたのが、岩本さんにも伝わったんじゃないか?


智也:あ〜ありえそう


男2:にしても仲いいよなぁ
  幼馴染だっけ?


智也:そんな感じらしい


男1:いいよなぁ…
  

日頃、女子からも輝いた目で見られがちなサッカー少年たちも

それなりに色恋には興味があり

その羨望の対象は、もっぱら○○だ



○○:お?あいつらだ


蓮加:あ、ほんとだ


楽しく話していた二人は、クラブチームの面々を見つけて少しビートダウンした


○○:さくっとバス乗っちゃうか


蓮加:それはあり
  蓮加ちょっとまだ眠いもん


もうすぐ校門という辺りで、蓮加は○○に少し体を預けて言う

蓮加の腕が、○○の左腕に絡みつく


○○:暖かい…
  ほんとに眠いんじゃん、別に無理して早く起きなくても良かったのに


蓮加の体温の暖かさに、眠たい中無理して起きたことを悟った○○は優しく言う


しかし、蓮加は体ごと横に首を振り


蓮加:今日は、普通の日と違うし
  ○○ばっかりに大人な態度取られたくないし


なんとも可愛い理由

それでも、蓮加が必死なのを知っている○○は


○○:ありがと、そういうところが俺は好きだよ

蓮加:んぅ…すき?


○○:うん、好き


一層蓮加の腕の絡みつきが強くなった


蓮加:嬉しい…


………


智也:それで、バスについたら自然と寝たと


○○:そ、昌輝と違うのはちゃんとバスに乗るまでは起きてたこと

智也:全くだよ…
  あいつは、ほんとに学ばねぇな


昌輝は完全に睡魔が勝ったのか、智也達によって担がれてバスに乗り込まされた


○○:いやはや、お互い大変だったな


智也:あぁ、だな
  …にしても、お前の肩に頭預けて気持ちよさそうだな


蓮加は○○の肩に頭を乗せて

心地よいバスの揺れと共に絶賛夢の世界に入っていた


○○:なんかさ、六年になってから
  朝眠くなくなってきてよ


唐突に○○は言う


智也:へぇ〜
  だから、お前眠そうじゃないのか


○○:目がぱちんと覚めてるよ
  コーヒー飲んだのかくらいに


智也:俺からしたら、話し相手がいるだけでも嬉しいよ
  ほとんど周り寝てるから


朝早い集合だったからか

担任も寝ていることを咎めはしない


いずれどこかのパーキングに止まったタイミングで起こされるだろうが…


○○:これさ、首痛くなってくるんだけど


智也:はははっ、それは耐えてあげろよ
  岩本さんの愛の重さだろ?


○○:怖いこと言うなよ、全く…


智也:事実だろ?
  そんだけ心許してもらえてるんだから


智也に言われて、少し納得した○○は

静かに蓮加の寝顔を見て微笑んだ


修学旅行はまだ始まったばかり


まだまだこれらが長い




蓮加:○○さ?


○○:ん?

蓮加:れんかが、修学旅行のときに頭預けたとき
  疲れなかった?


○○:疲れ…はしたよ?
  でも、それより可愛さが勝ってたかな


ゆっくりと二人で、キャンドルの灯りを眺めながら話す

その時間が、何より至福だ


○○:この子が産まれてきたら
  後部座席で、蓮加が頭預けられてる姿見られそうだね

 

蓮加:それをミラー越しにニヤニヤしながら見るんでしょ?
  趣味悪ぅ



○○:どっちも可愛いんだろうから、別にいいでしょ?



蓮加:んもう、そうやってれんかのご機嫌取るような言い方してぇ〜


○○:別にそんなつもりないよ
  本心で言ってる


真っ直ぐな目で見つめる○○に、蓮加は堪らず目をそらす


蓮加:ほんとにずるいなぁ…
  ○○のそういう目、まともに見られないもん


○○:何でよ


蓮加:嘘じゃないってわかるから… 
  こっちが恥ずかしくなってくる


○○:…へぇ


蓮加:あ、照れた!
  照れたなぁ〜?


○○:べ、別に照れてないっ!


蓮加:いいや、照れました〜


○○:照れてません〜!



子供の時から、変わらずこの二人は

仲良しで、賑やかなカップルです

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