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初めて会った日から何周か回って恋をした 27

新婚夫婦の小学生時代の思い出話は止まらなくて

寝室に入っても、イチャイチャしている


◯◯:あとなんだろうなぁ…
  小6の時のクリスマス覚えてる?

蓮加:小6の時?
  …あぁ、あれだ!
  初めて◯◯とクリスマスパーティーしたんだ


◯◯の質問に少し思い出すように考えてから答えを出した蓮加

クリスマスパティーのことを口にすると、蓮加は少し頬を赤くした


◯◯:あれれ〜?
  もしかして“あのこと”を思い出してます?

蓮加:う、うるさい!
  クリスマスパーティーって言ったら、思い出しちゃうの!

蓮加は◯◯の目の前でふくれっ面をして、ムスッとしている

◯◯:はいはい、からかってすみませんでしたよ
  でも、やっぱり高校のが一番か

蓮加:んぅ?
  その言い方だと、他の時がいいの?

◯◯:高校の時のが一番なのはわかるけど、同率で小6の時なんだけど…
  

◯◯がそういうと、蓮加はムスッとした顔から

ニタニタと悪巧みをするような顔になる


蓮加:へぇ…◯◯はああいうのが好きなんだぁ

◯◯:ねぇ、おちょくらないでよ
  一番最初の時だから、覚えてるんだもん


この二人が楽しそうに話している最初のクリスマスパティーとはどんなものだったのか…


それは、小学校6年の12月24日のこと



◯◯:久しぶりだなぁ…蓮加の家の中に入るの


◯◯は冬休みに入ってすぐのクリスマスイブの日に蓮加からクリスマスパーティーに誘われていた

まともに蓮加の家の中に入るのは約半年以上ぶりなので、◯◯は緊張していた


が、インターホンを鳴らして自分の名前を言った途端

玄関へと向かってくる音が段々と大きくなってきて


蓮加:◯◯!
  いらっしゃい!

すごく上機嫌の蓮加に迎え入れられたため、頬が少しほころんだようで


◯◯:今日も洋服似合ってるね

蓮加:えへへ、そうでしょ〜?
  ◯◯が来るからね、おめかししたんだ〜

◯◯:すごく可愛いよ


◯◯の誑しっぷりも発揮され、二人はニコニコとしながら家の中へ


◯◯:で、どこでパーティーやるの?

蓮加:お庭

◯◯:庭?
  狭くない?


◯◯は自分の家の庭を思い出してそう言った

が、蓮加はキョトンとした顔で


蓮加:うちは、基本的に行事は庭でやるよ
  節分も、七夕も、クリスマスも

◯◯:そうなんだ

蓮加:まあ、来てみればわかるよ


リビングを抜けて、大きな窓を越えると…


◯◯:…これが、庭?

蓮加:うん、お庭


◯◯と蓮加の目の前には、とても広い人工芝の空間が広がっていた

◯◯は数歩歩いてみて言った


◯◯:公園並の広さじゃない?この庭
  てか、この芝の感じピッチみたい

蓮加:そうなのかな…蓮加他の人のお庭見たことないからわからないかも

◯◯:こんなのが一般邸宅にあったら、維持費とか坪のお金が馬鹿にならないと思うんだけど


ここで初めて、◯◯は蓮加の家が裕福であり

少し蓮加がお嬢様なことを知った


だからといって、◯◯が蓮加との接し方を変えるわけもなく

◯◯:で、パーティーで何するの?

普通に◯◯は蓮加に聞く


蓮加:とりあえず、ケーキとかチキン食べて
  蓮加が◯◯にあげたいプレゼントあげて…

◯◯:ちょっと待って
  俺、蓮加にプレゼントとか用意してないけど…


蓮加の言葉に焦った◯◯は、少し早口で蓮加に言った

しかし、蓮加は気にすることなく


蓮加:あぁ、別にいいよ
  急に呼んだのはれんかだし、来てくれるだけでプレゼントみたいな感じだから


と言って、庭の真ん中に置いてあるテーブルからサンタの帽子を二つ持ってくると

◯◯の頭に、少し背伸びをしながら被せた


蓮加:そんなプレゼントとか気にせずにさ
  れんかと一緒に、楽しもうよ

上目遣いと、至近距離で見つめながらの笑顔を食らった◯◯は

一瞬、蓮加の行動と可愛さで思考が停止してしまった


蓮加:ん?◯◯?


それに疑問を持った蓮加が◯◯との距離をさらに近づけると…

◯◯:か、可愛すぎる…

蓮加:へっ?


思考が止まった状態の◯◯から溢れた本音を聞いた蓮加は◯◯同様固まってしまった


蓮母:ほら、お二人さん
  そんなところで立ってないで、こっちにいらっしゃい


蓮加の母が、二人が動かず立っているのを見て

すかさず二人を呼び寄せた


蓮加:と、とりあえずいこ

◯◯:う、うん…


珍しく◯◯も照れていて、二人共テーブルの前まで来たときには顔がほんのり赤かった



その後、◯◯と蓮加は蓮加の両親と楽しくクリスマスパーティーを過ごしていた


途中、◯◯がチキンを食べていて手がベトベトになってしまって

一旦手を洗うために家の洗面所まで行った時以外は

ずっと一緒に二人はいた



◯◯:すごい楽しいや

蓮加:よかった、◯◯呼べて
  あ、そろそろプレゼント渡しちゃおっかなぁ


もうそろそろ夕方に近づいてくる時間になった頃

蓮加はそう言って、窓の近くにおいてあった青いラッピングのされた箱を持ってきた


蓮加:はい、これれんかからのプレゼント
  ◯◯なら喜んでくれると思う


少し照れている蓮加からプレゼントを受け取った◯◯は

この場で開けていいか蓮加に聞いて、プレゼントを開けた


プレゼントの中には…

◯◯:お、これマフラーと…リストバンドじゃん

蓮加:マフラーはね、蓮加とお揃いのやつ
  リストバンドは、サッカーのときにつけてくれたらなって


◯◯はありがとうと、蓮加のことを抱きしめた

蓮加は満足げに◯◯とのバグを満喫していた


しかし、この時の◯◯の心は少し複雑な状態だった

理由として、中学に入るとリストバンドとかを禁止されることがある

そのため、試合で着けることができないかもしれないのだ

でも、折角蓮加から貰ったものだから蓮加を悲しませたくない…


そんな思いが◯◯の心の中で渦巻いていた


蓮加:今日はありがとね〜

◯◯:こちらこそ、ありがと!

蓮母:またいつでも来てね

◯◯:はい!


16:30過ぎ

◯◯は蓮加の家を後にした



蓮加:いや〜…あの時のクリスマスパーティーめっちゃ緊張してた

◯◯:え、そうなの?そんなふうに見えなかったけど

蓮加:まあ、緊張してたはしてたかな
  楽しさと言うか興奮がそれを抑えてた感じかも


アロマキャンドルの煙がゆらゆらと揺れている


◯◯:そういえばだけど
  プレゼントって言えば、バレンタインくれたも小6が初めてだったよね

蓮加:あ〜…あれ?
  お母さんからは手作りはまだ無理とか言われたけど、結構美味しかったでしょ?

◯◯:んまあ、俺的には最高に美味しかったよ
  すごいビターだったから


◯◯が苦笑いしながら言うと蓮加はびくっとした


蓮加:え…あれ、そんなに苦かった…?

◯◯:苦いというか、深い…感じ?
  知ってると思うけど、昔から甘いチョコ嫌いだからさ
  あれくらいでよかったんだよね

蓮加:…ほんと、蓮加が好きになったの◯◯でよかった〜!


◯◯の腕に抱きついて、顔をスリスリする蓮加

少し感情の起伏が激しい気もするが、◯◯からしたらもう慣れっこらしく


◯◯:俺も、好きになったのが蓮加でよかったよ

と答えた



2月の14日

所謂バレンタインデー


◯◯の周りでも、チョコ貰ったもらえなかったという話題は結構出てきていて…


智也:昌輝…いい加減諦めろって

昌輝:いや、まだあきらめない!
  机にないなら下駄箱だ!


必死に自分宛てのチョコを探す昌輝と、それを止めようとする智也がいた


そのとき◯◯はというと…


◯◯:え、僕に?
  ありがとね〜


クラス外の女子から数個、チョコを貰っていて

それをランドセルに入れるため、教室に帰る途中だった


◯◯:お、二人共〜
  どうしたの、こんな放課後まで残って

智也:昌輝が俺へのチョコもあるはずだ!って探し続けててよ…

◯◯:ありゃ…
  1個くらい分けてあげようかな


◯◯は手に持ったチョコを見ながら言った


智也:発言がやばいやつみたいになってるぞ…
  早くしまってこい、昌輝に見つかったら嫉妬で殴られるかもしれないし

◯◯:んまあ、確かに…
  

智也の忠告を聞いて、◯◯は急いでランドセルの中にチョコたちをしまって

ランドセルを持って教室からでてきた


◯◯:俺、もう帰るけどどうする?

智也:んぁ…悪いけど今日は一人で帰ってくれ
  昌輝を待たないといけないから…

◯◯:ん、そう?
  俺も待ってようか?


◯◯が優しさからそう聞くが、智也は首を横に振った


智也:まだ岩本さんからもらってないんだろ?
  早く貰っちゃいな

◯◯:…ほんと、ともは鋭いなぁ
  んじゃ、また明日な


智也の気遣いを感じた◯◯は、すぐに帰ることにした


そして、案の定

◯◯の下校ルートの途中で一足先に帰っていた蓮加が待ち伏せをしていた


蓮加:◯◯っ!

◯◯:うぉ…
  あ、なんだ蓮加か

蓮加:えへへ、びっくりしたでしょ


笑顔の蓮加を見て、◯◯も笑顔になる


◯◯:うん、びっくりした

蓮加:じゃあね、れんかがもっとびっくりさせてあげる
  じゃーん!これね、れんかの手作りなんだよ


蓮加は後ろ手に隠していた小さな箱を◯◯の前に出すと

自慢気に◯◯に言った


◯◯:え、蓮加の手作り?
  すごい嬉しい!
  
蓮加:初めて作ったから、少し形は変かもだけど…
  味は保証するよ

◯◯:ふふふ、ありがたくいただくね
  ありがとう


◯◯は大事そうに胸に抱えると蓮加に礼を言った


蓮加:どういたしまして〜
  ふふ、じゃあね


蓮加はそのままルンルンの足取りで家へと向かう


その背中を見て、◯◯はきちんとしたお返しをしなければと心に決めたのだった


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