初めて会った日から何周か回って恋をした 6
入学式から、時間が経つこと一週間
蓮加と○○は、あのままの通り
クラスでもずっと一緒にいる
なんてたって、休み時間になれば
○○:れんかちゃ〜ん!
蓮加:なぁにぃ〜?
○○:きょうも、かみがたかわいいね
蓮加:そう?
ありがとう〜
○○:あとさ、きのうおかいものいったときに
これ、れんかちゃんに、にあうかなぁって
巾着袋から取り出したのは、ガチャガチャで出た某女のコのヒーローの指輪
蓮加:え〜、くれるの?
○○:もちろん!
蓮加:ありがと!
先生:はぁ…
あの、二人はぁ…
先生すらも、呆れるほどのバカップルだった
他のクラスの先生からも、そういう風に認識されているのに加え
あのテンションで、先生にも絡みに行く
蓮加が、先生の妹と呼ばれるほどフレンドリーに接しに行くのに対して
○○は、先生の召使いと呼ばれるほど先生の手伝いをよくする
先生:高橋先生…
あの二人は、先生のこともお好きですよね
高橋:そうみたいです…
なんか、あれを旦那に見せたくなりますよ
先生:高橋先生、旦那さん
少し静かだな方ですもんね…
そんなこんなで、二人はいつでも仲良し
勿論、学校が終わっても
○○:ねぇ、またサッカーするの?
蓮加:うん!
○○くんのちかくでみてたいから
○○:いちおうきをつけてね?
ぼくでも、コントロールできてないところあるから
蓮加:うん!
じゃあ、またあとで!
二人は、共に笑顔で家路へ
○○:母さん、ただいま!
○母:おかえりなさい…
手洗いうがい、しなさい
○○:はい!
リビングで待っていた母に言われて、洗面所に行く
サクッと、済ませてリビングを通り過ぎて公園へ
○母:また行くの?
○○:けいじょくは、ちからない!
○母:継続は力なり、ね
怪我しないでよ
○○:だいじょうぶだよ!
いってきます!
○母:…お買い物行こうかしらね
蓮加:ママ!
スカートじゃなくて、ズボンだして!
蓮母:はいはい…
また○○くんのサッカー見に行くのね…
呆れた声で、蓮加の母はクローゼットから蓮加のズボンを出す
蓮加:○○くん、ほんとにすごいよねぇ…
蓮母:まあ、すごい子よね…
蓮加をこんなにも長く夢中にさせるなんて…
蓮加:なに?
蓮母:ふふふ、なんでもないわよ
また、キスされたら
キスしかえしてあげるのよ?
蓮加:…!
そ、れは、わからない!
じゃあいってくる!
勢いよく飛び出した蓮加
その後ろ姿を蓮加の母は
蓮母:あれが、恋だと
いつ気付くのかしらね
と笑いながら、蓮加の脱いだスカートを洗濯機に入れた
蓮母:おやつ…いらなかったのかしら…
リビングにポツンと置かれたままの、お菓子の山を見て呟いた
○○:ん、きたきた
蓮加:ごめんね、おくれた
蓮加が来たときには、○○はリフティングをしていた
○○:いいよ、気にしてないし…
蓮加:よかった
と一応会話はしているが、○○が話しながらずっとリフティングしているのを
目を輝かせながら見ている
○○:ん…?
蓮加:………
じーっと、自分を見つめてくる蓮加の目線に
○○は少し恥ずかしくなってきた
○○:れんかちゃん…
そんな、じっと見られると…
蓮加:ふふふ
訴えても、微笑んでニコッとされる可愛い顔を見た○○は…
○○:や、やってみる?
珍しく戸惑っていた
蓮加:え、いいの?
…でも、できる?
○○:ぼくがてつだうから
やってみようよ
と、ボールを蓮加の足元に蹴った
○○:とりあえず、つまさきを
ボールの下にいれて…
蓮加の前に来て、実践する
蓮加:こう?
○○:そうそう、でそれを
エアで、かかとを起点に上げる動作をして見せる
蓮加:こう…!
見様見真似で、やってみると
力を込めすぎたせいか
蓮加の頭上にボールが大きく飛んだ
蓮加:えぇ!!
○○:力込めすぎたかもね…
と冷静に、ボールの下に入って
ポンッと、若干ぎこちないながらも胸でトラップして落とした
○○:もう一回、やる?
○○が振り向くと…
蓮加:すごぉい!
○○:え?
蓮加:いまのかっこよかったよ!
○○:ありがとう…
蓮加:○○くんって、ほんとにかっこいいね!
と○○の目の前まで寄ってきた蓮加が、上目遣いで○○に言う
○○:…かわいい
蓮加:へ?
○○:ん、なんか
れんかちゃん、やっぱりかわいいなって
至近距離での、かわいいという言葉
もろに、カウンターを食らった形になった蓮加は
後退りしながら、
蓮加:かわいい?
れんかって…かわいい?
○○:かわいいよ
ふくとか、かみとかもきれいだけど
おかおが、ばつぐんに、かわいいのよ
それを聞いた蓮加は…
蓮加:はっふ…
○○:蓮加ちゃん?
不思議な声を上げた蓮加を不安に思った○○が、近寄っていく
それに対して、以前のキスされたことを思い出してアタフタしている蓮加は
わけも分からず、目の前まで来た○○に
○○:ふぇ?
蓮加:……、あ
思わずというか、なんというか
公園でキスをしてしまった…
蓮加:え…っと、これは、その…
○○:何?してほしいの?
完全に自分のペースを、取り戻した○○は
蓮加に迫る
蓮加:あぁ〜!!!!
突然奇声を上げて、蓮加は走って公園を出てしまった
○○:んぅ…なんかまずいことしたかな…
とうの○○は、キスすることに何も抵抗がないためか
ことの意味を理解していない
その頃、走り去っていった蓮加は…
蓮加:ママ!
全速力で家に帰ってきていた
蓮母:どうしたの?
蓮加:○○くんに、キスしちゃった…
どうしよう
蓮母:あらら、しちゃったの?
それで、○○くんはどんな反応したの?
蓮加:キスでしかえそうとしてきたから、にげてきちゃったよ…
蓮母:あらあら…
○○くんも、結構積極的なのね…
と心で思いながら
蓮母:明日、ちゃんと謝りなさいよ?
逃げちゃったんだから
蓮加:はい…
ちなみに、○○も…
○母:なにやってのよ!
ほんとに…
明日、ちゃんと謝りなさいよ
○○:はい…すみません…
○父:まあまあ、キスしちゃっただけなんだから…
○母:あんたが、キス魔にさせたからこうなのよ!
○父:…すいませんでした…
母親にこっぴどく叱られたそうです
キャンドルライトの仄かな灯りに照らされたリビングで
蓮加:ほんと、○○はキス魔なんだから…
お腹をさすりながら、蓮加はマグカップを片付ける○○に言った
○○:あれは、父さんが悪いのよ
昔から従姉妹にキスしても怒ったりしなかったから
蓮加:初めてされたとき、ほんとにびっくりしたんだから
照れたのか、少し俯きながら言った
○○:いや〜、でも蓮加からいきなりキスされるとは思っても見たかったよ
蓮加:あれは、まあ、
テンパってて…
○○:今の蓮加じゃ、そんな中キスしたら怒りそうなのに
蓮加:今は、別に驚かないし
○○:ふふ、まあね
かたんと、扉の閉まる音がして
食器棚に、カップと皿をしまった○○
蓮加:ねぇ、○○?
○○:何?
ちゅ…
蓮加:ふへへへっ
好き
○○:いきなりしないでよ
驚くから
顔を手で抑えて、ゆっくりと唇を交わす
○○:キス魔にしちゃったかなぁ
蓮加:へへへへっ
あいも変わらず、バカップルでした